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はんなりとした京男二人の間怠っこしい恋模様。
京都は毎年旅行しているのですが、これを読んだらまだ行ったことのない夏の京都や、あじき路地なんかに行ってみたくなりました。
薄幸でありながら、したたかさも兼ね備えた夏生が色っぽいです。途中までは完全に夏生の片思いで、智明が夏生に優しくするのは、事故に対する責任や同情だったりするのかな、と思ってました。付き合いが長い分、智明も今さら夏生を突き放すことができず、そばで世話を焼いているのかな、と。
でも、実は智明の方がより激しい情熱を持っていることにドキドキしました。
奥ゆかしい京都人らしく、なかなか想いの丈を告げられなかった二人が漸く結ばれた事にホッとしました。できれば、秋の描写をもっとみたかったなぁ。
甘く蕩ける様な恋愛や、変化に富んだ恋愛がお好みの方には物足りないかもしれません。
二十代のお若い方よりも、三十代以上の方にオススメしたい作品です。表紙や挿絵も、とても美しいので、じっくりと読んで味わってほしいと思います。
かわい有美子さんの京都BL、そして挿絵が笠井あゆみさんと来れば手に取らずにはおれません!
期待通り京都の魅力が詰まった一冊で、笠井あゆみさんの美しい挿絵も堪能できました。
京都で小さな刃物店を営む夏生(受け・30歳)と、近所の町医者・智明(攻め・32歳)は幼馴染み。
「なっちゃん」「智ちゃん」と呼び合い仲の良い二人ですが、京男同士故か?
互いに容易には本音を口にせず、なかなか恋愛に発展しません。
何気ない言葉の中にも相手の腹を探るような意図が見て取れ、穏やかながら緊張感ある二人のやり取りは大変読み応えあります。
夏生は涼やかな美形で、人当たりの良さと京都人らしい(?)イケズさを兼ね備えた人物。
自身に想いを寄せる年下の男・宗近をやんわりスルーしていたかと思えばバッサリ切る手厳しさもあり、良い意味で強かな大人だと思います。
そんな夏生、実はなかなかの苦労人。
10代の頃交通事故に遭い、その後遺症で片足を少し引きずるようになったこと。
父の死後、実家の老舗刃物店が叔父とその息子のものとなり、自身は別の場所で店を出さざるを得なくなったこと。
色んな辛さ、悔しさを内に秘めスマートに振る舞う姿がいじらしいです。
智明は夏生の足をマッサージしたり、マスコミから守ってくれたりする面倒見の良い男前。
夏生の幸せを願うあまり、彼が宗近に口説かれていると知りながらも普段通り接してしまう、ちょっと優しすぎる人物です。
攻め受け両視点あり、両片想いであることは伝わってくるものの、クライマックスまで互いへの気持ちがハッキリ書かれないところもポイント。
地の文でも直接表現が避けられているところに奥ゆかしさと情緒があります。
こんな二人と対照的なのが年下の刃物職人・宗近。
「あんたのこと、抱き潰したい」
とストレートに口説いてくる彼は普通のBLであればもっと存在感ある当て馬になっていたのでしょうが、イケズ文化の根付く京都BLではあまり歓迎されず?
夏生にフラレて以降フェードアウトした彼がその後どうなったのか、全く描かれないのはやや消化不良でした。
クライマックスの告白からラブシーンまでの流れに大盛り上がりはないものの、幼馴染みが恋人に移行する初々しさや照れ臭さが伝わってきて、萌は充分。
智明が夏生を「なっちゃん」ではなく「夏生」と呼ぶシーンにドキッとしました。
全体として、京都人特有の奥ゆかしさやエスプリに満ち溢れた一冊。
伝統芸術と現代アートが同居する古都の魅力も存分に伝わってくる素敵な一冊でした。
BLとしては盛り上がりに欠けるかもしれませんが、京都ならではの言葉や空気感を味わいたいという方にオススメです。
※唯一残念だったのはラストシーンの下り。
一箇所だけ、智明の名前が「宗近」になっている!
粋な京都BLにあってはならないミスだったと思います(;^ω^)
両親を早くに亡くし、自身も学生時代の事故で足が不自由な夏生。
そんな夏生を傍でずっと見守ってきたのが、向いに住む幼馴染の智明。
二人は互いに”相手の存在”に依存していますが、でもその間には深く踏み込みすぎない一定の距離があり、二人だけが分かっているその距離感が好きでした。
京都弁の独特の雰囲気も夏生の不幸な生い立ちとそれを過保護に見守る智明の雰囲気とマッチしていてよかったと思います。
お互いに「自分が相手を縛り付けてしまっているのではないか」と悩み、ずっと変わらないと思っていた関係がバランスを崩したとたん脆くなってしまった二人が切なかったです。
ただ、夏生に惹かれている宗近の話が尻切れトンボで終わってしまったところはすっきりしませんでした。
あと最後のいいところで、名前の誤植があって残念でした。
京言葉いい……
身近にこんな喋りをしてくれる人がいてくれたらなぁ……。
お互いに相手が「特別枠」な両片思いなんだけど、あからさまな言動はしないし、本音ははぐらかしたまま……
だけど男二人で花見行って膝枕とかしちゃうんですね。
32歳と30歳で「仲良しこよしな幼馴染」というには無理があるんだけど、肝心なことははぐらかしたまま二人で浴衣着て祇園祭とか出かける。
腹に一物を隠したまま、ほのぼのとしたやり取りをする様子はさすが京男同士としか言えない。
攻めの智明も温厚で好ましかったけれど本音が見えなさすぎて……
それよりも当て馬の宗近のほうが好みでした。
こういう無骨で一途な年下キャラが大好物なので。
時折、許される可能な限りで宗近が距離を縮めてこようとするんだけど、それに対する夏生ときたら、いけずぅぅぅ〜……!!
京男、怖いわ。。。。と思いました。
私は宗近推しなので、宗近が不憫でならなかった……。
宗近の気持ちをのらくら交わしてきた挙句「血迷い」だと切り捨てた夏生が不誠実に感じました。
単なる「血迷い」で親父さんの目を盗みながらコツコツとスプーンを作らないって!
それから宗近を泊めることを智明に了解求めるくだり、察してちゃんぽくてちょい苦手……。
恋人モードになってからの智明のほうが好き。
「なっちゃん、こんな声出すんやなぁ」ってところが萌えた。
そして欲がないように見える人なのに、夏生に関しては仄暗い欲を秘めてたとか、結構ムッツリとかその方が人間臭くて好き。
「猫」がタイトルに含まれているわりには、猫感が薄い……
確かに時折登場するんだけど、猫を期待して読んだ私からすると、肩透かしでした。
電子:挿絵なし がっくり。
かわい有美子先生のSATシリーズが大好きで、それから既刊も色々読み漁っています。
笠井あゆみ先生の表紙が素晴らしいこちらの作品。
京都で町医者を営む2歳年上の幼馴染・智明 × 左足を引きずり、刃物専門店を開いている夏生というカプです。
いや、静かに進むめちゃくちゃ雰囲気のある両片想い物語なんですが、なんですが、、
最後の最後のページの誤字が残念すぎて、、思わず「えーー!」と叫びました;
攻めの名前が当て馬の名前になってるんです。
そのほか中盤にも「攻めが攻めを振り返る」だったかな?「受けが受けを振り返る」だったかな?…小さいんですが、ちょっと興醒めしてしまうミスがあり、そこがなんとも残念でなりません。。
幼馴染の京男同士の、波風立てない、けれど心の奥底を時折見せて探り合う恋模様。
「ぶぶ漬けでもどうどす?」じゃないけれど、そんな一筋縄ではいかない二人のやりとりに、かなり焦ったさを感じました。この焦ったさを楽しめるかどうか、で作品の評価が分かれるんじゃないかな。
自分は正直なところ、攻めの智明より当て馬の宗近とくっ付いて欲しかったような気もする…
粋ではないけど、ストレートに想いをぶつけてくる宗近の分かりやすさが好きでした。
なかなか心の内を見せない智明にかなり焦ったさを感じたけれど、終盤、硬い結界が崩れて二人が抱き合うシーンは痺れました。
「なっちゃん」呼びではなく、本名の「夏生」って呼ぶその呼び方がセクシーで、攻めの長年の想いがこもっていて。欲を言えば、もう少し二人のそんな甘いシーンが見たかったなあ。
京都の町屋に浴衣に弓道(道着姿の智明、格好良かった…!)、和菓子に祇園祭…
そんなはんなりとした京都の雰囲気がおおいに感じられる、両片想い幼馴染の物語でした。