おまけ漫画付きRenta!限定版
人生まだ諦めていないクズ男と男運のない男
ハルコさんは美智子さんと付き合ってるのかと一瞬びっくりしてしまいました。彼女が悪いのははあくまでも男運である。夜職の朝って感じの、美人なのに陰があるハルコさんがいい。丸木戸先生は女性を描くのが上手い。
もっと泥沼で暗い終わり方をするかと思いきや割に朗らか。本編ラストはまだ不安がありますが、描き下ろしを読むと一層明るい。通信制でも何回かは通学があるのかな?シズオはどこでJKに"アケミちゃん"と知られたのか。
◾️青い影
こちらがかなり好きでした!こういう余分な説明を極力省いて読み取らせる、漫画らしい作品が好きです。ハッピーエンドとはいかなくても。あとがきを拝見するに先生としてはハッピーエンドのようで、続きが見たいような自分にとって蛇足になるのが怖いような。
あ〜〜なるほど…という。そうね、見てたんですね葉は、試合で兄の横にいる彼を。「好きだ」が本心なんですね…
萌〜萌2
「ポルノグラファー」3部作を読んでからこちらを読みました。
「續・ポルノグラファー プレイバック」に登場していた"スナックアケミ"の静雄が主人公ですが、こちらが先に出版されていたようです。
「〜プレイバック」ではどちらかというと春子ママの方がメインで、静雄のエピソードは深くは描かれてなかったので、ちょっと謎めいた存在だったのですが静雄の過去にも触れられています。
分かりやすくクズっぽい蒼介が相手なのはちょっと心配もあるけど、静雄があの街から出られたのは良かったと思う。
静雄はお母さんが居るから、と出ていけなかったのかもしれないけど春子もまた静雄が居たから(蒼介の父親への未練も勿論あったと思うけど)この町を離れなかったのかもなと思ったり。
描き下ろしでは蒼介は、大学進学は迷ってるみたいだけど仕事もしてるみたいだからちょっと安心したかな。
この2人って、腹違いの兄弟って事だよね?そこはあんまり気にしない感じ?私も別に深くは気にしない方だけど、誰も触れてないからちょっと気になった。
他に短編が同録されていて、作者さんの描く男子高校生が新鮮な作品でした。
双子の優秀な方が亡くなり残された弟と、兄の方を好きだった同級生のお話。
切ないお話で、まさにここからLOVEになる展開…ってところで終わってしまってるんですね。
いい余韻なのですが、もう少し欲しい!貪欲な読者ですみません。
久々に再読して自分の中の評価が変わり、
レビューしたくなったので投稿します。
元々丸木戸先生作品は商業デビュー前、二次創作の別名義時代から拝読していました。
その時からキャラの心理描写を丁寧に描き、同じ作品のファンのファンをしていても気づけないような可能性、キャラの多面性を引き出した作品を描かれる唯一無二のサークルさんという印象でした。
本作はレイプで犯罪歴ありのクズ男が主役というなかなかBL界ではみない設定で、読み手からみても難しい設定から入ったなと感じるほどですが、すんなり読ませてしまうのはさすが丸木戸先生。
何者にもなれない自分、人生の約束されたレールから外れてしまった自分。
そうした、「主役になれるはずのない人々」が田舎という閉塞した世界で少しずつ距離を縮めて、歩み寄って行くところに小さな幸せを感じます。
場末のバー、過疎が進む田舎、母親はほとんどの常連客と寝てしまうスナックのママ(この人がまたいい味をだしているのですが)。キラキラしたものはでてきません。
故に、4年前の初見時は「うーん…?」が正直な感想でしたが、ふと思い立ち4年寝かせて再読してみると、はきだめのラブストーリーもありじゃない!
独特の丸木戸ワールドに夢中になってしまいました。それだけ自分も大人になったということでしょうか。
二篇目の「青い影」もそう。
最後のコマで「誰にだってストーリーがある」と思わせてくれるんですよね。
先生のストーリーテリング力おそるべしです!
BLとしてめちゃくちゃ萌える!ハッピーになった!を求めると評価が分かれそうなので萌2とさせていただきました!
「續・ポルノグラファー プレイバック」に登場していたスナックアケミの息子・静雄と元同級生・蒼介の話。
出版は本作の方が先。
時系列は本作がプレイバックの後なんですね。
蒼介と静雄があんな過去がありながら…あったからこそピュアにくっつく場面にぐっときた。
ちゅうのシーンや。
描き下ろしの、セックスするまで半年かかったとか。
過去のトラウマを、2人一緒にいることで乗り越えたんやね。
静雄が色っぽくかわいいこと。
静雄にハマりまくって蒼介がまたダメ男に戻りませんようにw
春子が蒼介に辛辣にズバズバ言うとか痛快だったし、静雄を送り出すシーンもよかった。
で、結局春子がおいしいとこ持っていったのが笑えたし、たくましいなとw
「ポルノグラファー」の続編が出ていたのに今更気付いて購入。
さらに旧作を読み返していたときに、この作品を読んでいないことにも気付いて相当遅れて購入からの読了。
何という作品。
読み終わってしばし惚けました。毒気を抜かれた感じ。
「續・ポルノグラファー プレイバック」で先生が身を寄せたスナックアケミ。
街中元カレ今カレだらけのママ・春子とその息子・静雄の2人暮らし。
そこへ中学の同級生だった蒼介がやって来て…。
田舎町にある大病院の末息子。そこそこ良い東京の大学に入って、人生イージーモードだった蒼介に、突然降りかかった「レイプ魔」という前科。
母の身持ちの悪さのせいで中学ではいじめられ、高校では評判の良い教師を誑かしたとして中退せざるを得なかった静雄。
2人とも悪い「看板」を背負って、田舎で暮らす窮屈さを感じながら、蒼介は「人生をもう一度やり直したい」と前を向き、静雄は母のためにこの町に留まるのが当たり前と思って生きています。
静雄が「續・ポルノグラファー〜」のときより色気を増してます。
謂れのない罪と責任感を被ってなお、ここから逃げようとしない静雄は果たして強いのか弱いのか。表面に漂う脆さや儚さと相まって、強さや弱さよりも「虚無」や「諦観」というのがぴったりくる青年です。ずっと自分に起こる悪いことは何もかも「仕方ない」と思って受け入れてきたような。後ろ向きでもなく、ただそこにいるだけ。
蒼介は悪い意味のボンボンで、ある程度自分の思い通りになる人生を送っていたところで初めての挫折を味わったけれど、「もう一度東京で人生をやり直す」ことで底辺まで落ちた「自分」を救おうという強い意志を持っています。
何もかも正反対の2人です。
そんな2人が蒼介がやり直すためのお金を家から引っ張るまでの間、一緒に暮らして、お互いを知り、相手を見ることで自分と正面から向き合う過程がつぶさに描かれています。まるで映画を観ているかのように、それぞれの心情や変化がすんなりとこころに届いてきました。
周囲の噂による閉塞感、スナックの常連の静雄への態度や、蒼介に対する春子の歯に衣着せぬ言葉、蒼介の母の歪んだ愛情、お互いの未来に対する思い。そういうものが全部、2人に真っ直ぐに届いて、乾いた地面に沁み渡っていくような心境の変化の描写が素晴らしかったです。
春子ママの過去とのリンクも秀逸で、2人の行く先をはっきりと描かず、ただ旅立つ2人を見送る。
クライヴがモーリスと森番の後ろ姿を屋敷の窓から見守る「モーリス」のラストを思い出しました。先は希望に溢れているのか、つらいだけなのか分からない。でもきっと2人でいるだけでしあわせなんだろう、と。
長い。でも全くこの作品の良さは語り尽くせません。
「ポルノグラファー」シリーズの中で一番好きな作品になりました。
同時収録の「青い影」は2年前に亡くなった何もかも万能な双子の兄と出来の悪い弟。その兄とテニスでペアを組み、兄を好きだった同級生の話です。
短い作品ですが、どこへもぶつけられない想いが交錯して、切ない作品でした。
描き下ろしで「續ー」にあった「春子、宝くじが当たる!」の辺りと、その後の2人がちらっと描かれています。
ひとつのことにしか夢中になれない、不器用な蒼介が愛おしい話でした。
「ポルノグラファー」シリーズを読んでからこの作品を読んで、また「續ー」を読むと更にこの作品が好きになります。
むしろそのループから抜け出せなくなって、延々読み続けてしまう危険性が。
ご注意を。