ボタンを押すと即立ち読みできます!
英田サキの初期傑作読みきり、新たに書き下ろしを加えて待望の文庫化!!
英田サキ先生の作品は初めてなので、拝読させて頂くのが楽しみでした。
個人的、各項目5段階で
愛憎 4
シリアス 3
痛々しい 2
エロ 2
涙 2
な感じだと思います。
湊さん×加持さんのカプです。
過去の出来事の所為で、湊さんのことを憎んでいる加持さん。逆に湊さんの方はあまり棘のある言動では無いなと思っていたが、時折、加持さんの言動で憎しみを抱くのか、加持さんを手酷く身体を繋げたりします。でも憎んでいる割には優しげな言動もあったりして、何となく加持さんへの愛憎と物凄い執着が垣間見えるので、そこまで嫌悪感は感じなかったです。
それどころか、ヤクザとなった冷徹な湊さんから、加持さんに対しての執着やめちゃくちゃ拗らせた言動に、意外と脆くて弱い一面もあるんのだなとギャップもあり、少し好感が持てました。
今作は湊さんと加持さんのカプだけでなく、脇役キャラの武井さんのお話も収録されています。
武井さんのは過去のお話で、湊さん達のお話の時に、過去にどういう出来事があったのか、何となく語っているので、武井さん達の結末は分かっているのに、涙が溢れてしまいました。物語りの結末、情景描写、心理描写、その全てで泣かされます。
因みに今作はヤクザ物だったりするので、精神的にも肉体的にも、少し痛々しい描写が何度かあるので、苦手な方は用心してください。
湊さんと加持さんの愛憎渦巻く物語り。そしてそれを乗り越えて、一緒に幸せを噛み締め、歩み出す姿に胸を打たれますので、是非とも読んでほしいです。
この作品が初コンビだそうですが、笠井あゆみ さんの挿絵は電子版にはなかった。残念。
2007年発刊の新装版。
英田先生の、耽美風結末の人情ドラマ。
登場する人物ごとの短編集6話で、時系列で並んでいないです。
すべてはこの夜に: JUN掲載 デビュー前 :湊
春宵一刻 : 書き下ろし
優しい夜のなかで
夏の花 : JUN掲載 デビュー前 : 切ない武井の過去
春に振る雪 小冊子
青嵐 :書き下ろし :湊の今
一番古いデビュー前の作品だけど、古さを感じない。
人の基本というか、土台を成す情念を扱っている作品だからかもしれません。
読後の余韻が良かった。
英田先生の作品に登場する人物は、余り外観の美醜にしつこく拘らないのが常で、一度外観容貌について触れたら、その後はあまり触れない。行動や振舞でなんとなく美を感じるように書いてます。
外観に強く拘らない点が、好き嫌いの分かれ目になるのかも。
評価に迷いはありませんでした。傑作ですね。
こういう連作短編、もっと読みたいな~と思いました。
英田先生の簡潔な表現に多くの感情をこめるスタイルは読みごたえがあって、圧倒されっぱなしでした…。
湊への憎しみを抱えて生きてきた加持と、いびつな形でずっと加持を想っていた湊の不器用な愛に痺れます。若さゆえに互いを理解しようとせず、事実を見誤ったまま離別した後、10年を経て運命的に再会した2人の愛憎劇にはドキドキしました。徐々に過去の真実が明らかになって関係性が変わっていく展開に、”なんとかなってー”と祈る読者を裏切るような事件が衝撃的でした。が、そんな状況下において希望が見えるようなラストシーンの表現、文字を追いながら身悶えました。ゆえに、その後の掌編読んだときの幸福感は半端ないです。
武井と陽一は、涙腺崩壊案件です…。彼らの間にあった愛情が、その後の武井の中に確実に息づいていて、湊やそのほか彼に関わった人たちにつながっていくような流れは連作短編の醍醐味です。なんちゅー壮大な愛の物語やねん!と感動しました。憎しみからは憎しみが、愛情からは愛情が生まれるということを改めて実感できる素晴らしい作品でした。
大大大好きな作品で、読むたびに泣いてしまう。
もはや、泣くために読んでるのかも。
文句なしの神作品なのですが、神すぎてこれを基準にしちゃうと神の基準がおかしくなっちゃうので、自分の中では殿堂入りという立ち位置にしてます。
それくらい素晴らしい!
実は旧版も既読なのですが、掲載順序が入れ替わっている本作の方が読みやすい。
そして、小冊子だった『春に降る雪』、描き下ろしの『青嵐』がいい!
旧作のみ既読の方にも是非読んでもらいたい一冊です。
加持と湊の不器用な恋に胸キュンとし、武井と鈴原の切ない恋に涙。
何度読んでも泣ける。分かっているのに泣ける。思い出すだけで泣ける。もうどうしようもないですよ。
BLというカテゴリーには収まらない人間ドラマですよ。
いつも思うんですけど、武井が麻子と鈴原という大切な人を2人も失ったのは、殺人という業を犯したからなんだろうか……と。
でも、そうじゃないといいなと。
だって、人は必ず死ぬものでしょ。
宿命からは逃れられないし、病と戦うのは勝負じゃない。
大切な人のために生きたい、生きてほしいと思うのは欲じゃなくて、愛でしょ?
いつか武井に死が訪れたとしても、きっと怖くないし悲しくないよね。
だって、麻子と鈴原が必ず迎えに来てくれるから。
そう思うと、少し救われる気持ちになるんです。
加持と湊には後悔しないように、今を精一杯生きてほしい。
遠回りした分、たくさん愛して欲しい。
そして、志郎が本作唯一の明るさであり清涼。癒されました。
志郎にも愛する人、愛してくれる人が見つかりますように。
最後に武井が志郎に言った言葉も、重みと深みがありますよね。
あー、もう何回読むんだろう。でも、まだまだ読むぞ!
出会えて良かったと思わせてくれる作品の一つです。
今更ですが、素敵な作品をありがとうございます。
大きく分けて2カップルのお話です。
笠井あゆみ先生の描かれる2カップルがまた最高に素敵でした。
湊×加持
武井×亮一
表題作「すべてはこの夜に」と「夏の花」はプロになる前に書かれた同人誌作品だったそうです。
小説JUNEが初出とのことなので、題材に少し当時の古さが感じられるのは否めないのですが、そんなのは読み進めていくうちに気にならなくなり、どんどんお話の世界と彼らの人生に惹き込まれていきました。
特に武井×亮一のお話は涙なくては読めませんでした。
・・・というよりも武井と亮一の話がメインのような感じもうけました。
(ただ商業BL的にこちらをメインにするのが難しかったのかもしれませんが・・・)
このカップルの話があっての1冊だなと感じています。
湊と加持は同級生で、お互い本心を伝えないばかりに擦れ違い、不幸な別れからの驚きの再会。
すごくわかりにくくて不器用な攻、湊と、情けない面と優柔不断というか流されるというか憶病な、けれど心根の優しい受、加持。
ヤクザな世界に身を置く湊と彼の舎弟も含めた関係には、前半はハードで紆余曲折ありますが、後半は家族とも言える繋がりがあり、恋愛だけではない、優しくて甘いその後の生活にはほっこりします。
そしてそして、問題のもう1カップル。武井と亮一。
過去のお話なので結末はわかっているのだけれども・・・
とても素敵な優しくて切ない恋物語でした。
心がギュっとなって涙なしには読めませんでした。
地雷とか言わずにこれはぜひ読んで欲しいお話です。
人と人とが出会うことの必然を強く感じずにはいられませんでした。