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表題作ああッぼっちゃま…!

須賀崎富之介,22歳,引きこもりのゲーム廃人
黒田セバスチャンこと黒田楓,30歳 ,須賀崎家執事

その他の収録作品

  • あとがき
  • 描き下ろし番外編
  • カバー下:4コマ漫画

あらすじ

黒田楓ことセバスチャンは、
日本屈指の貿易商・須賀崎家の執事として
充実した日々を過ごしていた。

だがそんな彼を悩ますのは、
引きこもりのゲーム廃人(ぽっちゃり)の
須賀崎家長男・富之介。

次期社長の彼がいつまでもこんな調子ではいけないと思いつつも、
セバスチャンは可愛いぼっちゃまにほだされて甘やかしてばかりいた。

そんなある日のこと、旦那様に呼ばれたセバスチャンは
「100万円貯めるまで帰ってくるな」と
富之介とともに屋敷から追い出されてしまい……! ?

作品情報

作品名
ああッぼっちゃま…!
著者
月之瀬まろ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
イースト・プレス
レーベル
Splushコミックス
発売日
ISBN
9784781615493
3.8

(75)

(21)

萌々

(32)

(15)

中立

(5)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
16
得点
283
評価数
75
平均
3.8 / 5
神率
28%

レビュー投稿数16

まさにああって言いたくなるぼっちゃま

ギャグ。タイトルと表紙でほぼおわかりかと思いますが、ギャグBLです。

ストーリーは重くないので気軽に読むことが出来るかな。むしろ、かなりぶっとんだぼっちゃまが、執事と一緒に暮らすためにとんでもない勘違いをしつつも必死に成長していこうとする姿はよかった。

最初はぽっちゃりしているんですよね。ぼっちゃま。そんなぼっちゃまも好きな執事、セバスチャン。なぜセバスチャン?

しかし、社会に出て苦労してこいと父に家から追い出され、なんとか100万円を稼ごうと悪戦苦闘。
しかし、やせてイケメンになったのでホストで、とはちょっと安易だったかな。。

まあ、深いことは考えず楽しめる作品です。

0

タイトルと表紙とあらすじの吸引力!

タイトルと表紙とあらすじでそそられ読んでみました。

振り切れたギャグものかな?との予想が外れ、すんごく読み応えがあり泣けました。

発想がすごくいいです!(何様?)

愛しいぼっちゃまは引きこもりぽっちゃりゲーマーな22歳、資産家の長男。ついついぼっちゃまの望みを叶えてあげたい執事の楓。
ある日旦那様から100万円貯めるまでは帰ってくるなと二人で勘当されて…。

ピザとゲームとセバスチャンがいればそれでいい。って言ってたぼっちゃまがセバスチャンさえいればいいって(泣)
ぼっちゃまが頑張るところと、楓が心配してオロオロするところが良かったです。

ぼっちゃまが想いを遂げるところとか、楓がぼっちゃまを想って行動するところとか、もうもう予定調和なのに読み応えがありまくりました!

神にしたいところなのですが、ホストクラブの三人のこだわりや思想家の彼の真意がイマイチよくわからなくて…。思想家とか必要だった?重要な役どころなのに理解が追いつかなかったです。

0

タイトルは読み方によって様々

上記のあらすじ通り、お屋敷を、追い出されたぽっちゃりぼっちゃまと、セバスチャンの笑える奮闘記かと思ったら、途中からシリアスになってきました。
何も分かっていないぼっちゃまかと思ったら、実はずっとセバスチャンが好きだったから、かなり早いうちにセバスチャンに手を出します。
セバスチャンは快楽に抗えずにいますが、自分の立場と、いずれバレた時のぼっちゃまの父親からの叱責に怯え、ぼっちゃまの為と離れていきます。
私は、この2人の話だけでも良かったのですが、ホストの先輩の話や内部事情なども出てきて、ちょっとお腹いっぱい。
すごく気になったのは、ホストクラブでぼっちゃまに入れ込んで貢いでいた、女の人がどうなったのか。。。
犯罪にまで手を出し、挙句の果てそのお金も奪われてしまったのかと思うと、後味が悪くて。ぼっちゃまが家に戻った後に、彼女の使ったお金を肩代わりして助けたなどの後日談があればなぁと期待して最後まで読みましたが、2人のラブラブのみでちょっと心残りになってしまいました。

1

笑う準備はできていた…のにぃ!!

表紙からコメディだと思い込み、笑う準備は万端だったのに…
ちっくしょぉお!めちゃくちゃいい話でした!

笑いも期待通りでしたが、それ以上に登場人物の成長や葛藤を通じて
人間味までしっかり描かれ、哲学的な思索にまで踏み込み、予想以上に
ずっしりとした読後感を味わってしまいました。

8年の引きこもり生活ですっかり肥えたゲーム廃人と化し、
見かねた父(社長)から遂に家から放り出されてしまった
〝ぼっちゃま〟こと須賀崎富之介(社長子息)。

けれど、その傍らには幼い頃から彼の世話をしてきた
須賀崎家の執事〝セバスチャン〟こと黒田楓がいました。

「100万円貯めるまで帰ってくるな」という父の鬼畜指令を達成するべく
外の世界へ歩み出す二人でしたが、金なし・世間知らず・思春期以降ニート
という最悪の三拍子により即効路頭に迷い、公園でのホームレス生活へ。

しかし、皮肉にも質素な路上生活と過酷な強制就活が富之介のタプついた
贅肉をそぎ落とし、みるみるうちにイケメンへ変貌を遂げてゆきます(笑)

体格の変化をきっかけに初めての仕事、家、お給料を手にしたことで
富之介自身、そして、二人の関係にも少しずつ変化が生まれ始めます。

それまで聖母のごとく富之介に愛情を注いできた楓ですが、
突然の富之介からキスで一人の男として意識するようになり…

普段は無表情で思考の読めない富之介ですが、
ただ一つ、楓への愛だけはだだ漏れでした。
けれど、鈍感な楓は富之介がゲイであることも
彼の好意にも気づいていませんでした。

そして、ある日、長年の一途な想いを告げてきた富之介を
拒み切ることもできず、二人は遂に体を繋げてしまいます。
そのときの富之介の切羽詰まった、切なげな表情ったらもう…
痛い程に胸を締め付けてくるのです。

はじめは必死な富之介に流され、抱かれた楓。
けれど、そこに主従以上の情が生まれ、富之介への恋を自覚してしまうと、
彼の将来を壊してしまうこと・主家への裏切りの罪悪感が楓を苛みます。

対して、富之介には全く迷いはありません。
いつだって彼が欲したのは楓だけでした。
ゆえに楓が姿を消すと、それまで築き上げてきたものをいとも簡単に
投げ出し、楓を探し彷徨い、痛々しい程にボロボロになってゆきます。

まだ富之介がニートライフを満喫していた頃に言っていた
「セバスチャンとゲームとピザがあればそれでいい」は
生活の変化の中で〝ゲーム〟と〝ピザ〟が消え、
「セバスチャンさえいればそれでいい」に変わり、
けれど、最後までセバスチャンだけは消えることはありませんでした。
富之介の人生において楓は全てであり、唯一の拠り所でした。

富之介と楓にとっての愛とは依存も執着も
狂気も優しさも慈しみも、全てが同義なのでした。

コメディだと思っていたら、富之介のゲイとして生きる葛藤や切なさ、
楓の富之介の愛を受け容れる覚悟にうっかり感動させられていました。

二人を見守る人々も個性的で味わいのある人たちばかりでした。
ゲイでNo.1ホストの潤は意外に真っ当で面倒見よく、八神もまた
どこか哲学者めいてはいるけれど、決して悪人というわけでもなく。
冷酷に見えた父親も実は息子の性癖をも受け容れる息子想いなパパでした。

書き下ろしでは楓のやらかしっぷりにいたたまれなすぎて爆笑でした。
普段は貞淑で落ち着いてるのに、浮かれると意外にもドジっ子で(笑)
眼鏡をはずすと息子そっくりな富之介パパの素顔も明らかに!

ぜひ次作も読んでみたいと思える1冊でした。
本書以降はまだ出ていないようなので気長に待ちたいと思います♬

3

一本筋の通った純愛

初読のとき、「こんな作品、待ってた」と思いました。
BL界の執事は真面目すぎか、傲慢の2択に分かれるものの、どちらのタイプにもほぼ共通しているのは揺るぎない主人愛。
先祖代々お仕えしているパターンでは真面目+溺愛が主流で、この場合の「生まれたときからあなただけと決めてました!」という主人一筋、主人が存在しているだけで愛おしいという愛情の深さが魅力的ですよね。

日本屈指の貿易商の長男として生まれながら、6年間引きこもり生活を送る富之介と、彼に仕える楓(セバスチャン)。
富之介の愚行を腹に据えかねた父親に「100万作るまで帰ってくるな」と放り出されるところから始まります。
悠々自適な生活から一変、住む場所もなく、あるのはリクルートスーツと2,000円だけという「最低限の生活」すら送れない条件で、2人が奮闘する物語です。

そこここに笑いが仕込まれていて、前半は世間知らずのぼっちゃまが大事なものを守るために奮闘する姿にたびたびきゅんとさせられたりしつつ、成長記として面白おかしく読むこともできます。
後半はシリアスさを増して切ない展開に突入していくので、1冊でいろいろな楽しみ方ができる作品でした。
前半後半通して言えるのは、ぼっちゃまの思いが一貫して揺るがないということです。
自堕落に甘えてばかりだったぼっちゃまが、極限状態で一切文句も言わず、ただ前を見て進み続けたのは愛する人のため。
「ゲームとピザとセバスチャンがいればいい」と言っていたぼっちゃまが、早い段階から「セバスチャンだけいればいい」と言うシーンがあるのですが、そこからぼっちゃまはセバスチャンがいる人生しか考えていません。
だから強くなれるし、強くなった自分がセバスチャンのためになにかをしてあげられることが嬉しくて仕方ないのもビシビシ伝わってきます。

その一方でセバスチャンは、ぼっちゃまのことだけを考えることができない。
ぼっちゃまのためと言いつつ、「家」をベースに考えるからぼっちゃまより複雑になって、拗れて、見失ってしまうわけですが、これもひとつの大きな愛なわけで。

脇キャラもきっちりと描かれているので、動かされている感もなく、すんなりその世界に入っていけるのも魅力ですが、笑いあり、陰謀ありに中でもぼっちゃまの揺るがない愛が一本筋の通った軸になっているから萌えまくりです。
初めての朝のぼっちゃまの台詞がかなり笑えるのですが、それと同じコマにセバスチャンの苦悩も描かれている。
笑いと切なさが絶妙に混在する、そんな素敵な作品でした。

0

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