ヤクザの若頭×元マル暴刑事ラブロマンス!!

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表題作真昼の月(1)

辰巳剛士, 桐山組の若頭, 27歳
神崎秀一, 元刑事・調査事務所経営, 30歳

その他の収録作品

  • 真昼の月2
  • 唯一の長所
  • あとがき

あらすじ

同僚の裏切りが原因でマル暴の刑事を辞めた神崎秀一は、祖父の死を機に、大阪へ生活の場を移す。祖父から相続した雑居ビルに住もうと赴いた一室で、秀一は桐山組の若頭・辰巳剛士と出会う。強烈な存在感を放つ辰巳に、臆することなく接する秀一-。数日後、辰巳は秀一のためにと部屋を勝手に改装、その見返りとして体を求めてくる。秀一は手錠をかけられ、強引に抱かれ……!?

作品情報

作品名
真昼の月(1)
著者
いおかいつき 
イラスト
亀井高秀 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
真昼の月
発売日
ISBN
9784344840287
4.6

(6)

(4)

萌々

(2)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
28
評価数
6
平均
4.6 / 5
神率
66.7%

レビュー投稿数2

ボーイズラブではなく大人の男達のエロスを描いたメンズ・ラブ

面白そうなBLCD及び声優さんを探していたら本作に行き着き、二度も復刻された古き良き名作である事とBLCDのキャストが「大川透(27)×浜田賢二(30、初受け)、成田剣(インテリ補佐)」という雄々しくて良いお声な人達と知って久々に血が騒いだ。
それで、小説をネットで試し読みした末3冊まとめて購入。
丁度今1冊目を読み終えたところ。

廃盤で困難だったとはいえ中古でCDを入手したのにも拘らずCDより原作小説の方に真っ先に手が出たのは本作が初めて。
それ位、本作には一瞬で読者を磁石の如く惹きつける魅力がある。

第一印象を一言で言うと、白身魚の鯛の刺身を食べたような美味しいけれど淡白であっさりしている。
良い意味で個々の描写の満足感が7〜8分程で若干物足りないので読み終えても飽きず一から読み返したくなる作品。

文章構成が源氏物語のように主人公の日常を描く短編集を繋ぎ合わせた形式なので、ヤクザ・サスペンスというジャンルに区分されているが、サスペンスのダークさ・濃さに関しては英田サキ氏の方が何倍も濃い。

にも拘らず本作が名作な理由は、攻めに半ば無理矢理ヤクザの情婦にされようが、それで他のヤクザに目を付けられようがあっさり受け流し逆に利用する超絶クールで頭がキレる男前受け様を中心に成功も挫折も味わった等身大のアラサー男達のエロス(生への衝動)を短編集形式で描いているからだと思う。

ややネタバレになるが、元刑事だった神崎秀一は元相棒の裏切りを切欠に警察組織内で居心地が悪くなり刑事を辞めてしまったため生きる屍となっていた。
しかし、ヤクザの辰巳に出会い事件に関わったため、秀一は刑事を辞めたのにも拘らず刑事紛いな行動に出る。
そして、ヤクザは嫌いだと言いつつも自ら進んで辰巳や事件に関わっていく。

また一方で、わずか27歳で桐山組の筆頭若頭に上り詰め退屈していた辰巳は、危険を省みない行動を取る秀一に振り回される事に生き甲斐を見出す。

攻めも受けも優秀で容姿も優れており安全に遊べる方法はいくらでも選べるのに、安定した「静」な人生を否定しリスクを覚悟で「動」に出る様は男らしく、互いが互いに生き甲斐を見出しエロスの衝動に駆られる様はハードボイルドで美しい。
愛や恋などといった陳腐な台詞では表現出来ない二人だけの世界が崇高に感じる。

絡みの描写は回数は多いけれど個々の描写は短く台詞も必要最小限でプレイも割と普通なので過激さはない。
セックス=コミュニケーションの一つな感じ。
しかし、普段何やっても暖簾に腕押しでツンツンしたクールな受けの唯一の弱点が調教された敏感な体に触られることで、スイッチ一つでツンを剥ぎ取られて快楽に飲み込まれていく様はエロいの一言に尽きる。

そんな感じでただのボーイズラブでは満足出来ないBLファンに是非一読をお勧めする作品だが、不満が一つだけある。

作家及びファンには申し訳ないが挿絵のイラストが合ってない。
辰巳はともかく秀一の外見は人それぞれで大きく異なると思うので絵は必要最小限にして読者にイメージを任せるのがベストだと思うが、それが無理なら前の海老原氏の挿絵そのまま転用で良かったと思う。
表紙絵に裸の男同士が絡む絵を載せるべきじゃなかったと思う。






0

男臭いハードボイルド、でもしっかりBL!

いつもの私の評価からするとこの作品、
ちょっと……いや多大にらぶらぶ不足なんですが、
それを差し置いてものこの評価。

なかなかハードボイルドなお話で、
何より主人公の秀一がかなりクール。
BLの受け様にしては珍しいタイプかと。
攻め様の辰巳にいきなり拘束されてイタされちゃっても、
悲壮感の欠片もない。
更に自ら囮になって、裏ビデオのモデルになったりと、
多少自暴自棄にもなってますが、それでもやっぱり悲壮感は無し。

そんな秀一をいい具合に翻弄し、
彼の本質を見抜いて好きに行動させてしまう辰巳はズルイ男でもある。
秀一の行動が自分の利益になると分かっているから。
それでもヤキモチ妬いちゃうところがちょっと可愛かったりするv

クールな秀一と面白い事が大好きな辰巳。
一見損得だけで結びついているような二人が、
本当の意味で繋がるのはもう少し先の気がしますが、
その辺が気になる二人です。

甘々らぶらぶとは程遠い、男臭いお話ですが、
ハードボイルドとしては面白く、更にBL要素もたっぷり。
多少唐突感があったりはしますが、
実に上手く纏まっていてキャラクターも魅力的。
私のイメージするいおかさんの根源的なお話かなと。
これは二回目の新装版となるのでしょうか?
長く愛されているお話なのも納得。
まだまだ二巻三巻と続きがあるのが楽しみです。

評価は、神に近い「萌×2」で!

4

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