SS付き電子限定版
中原先生のこの間の作品が面白かったので購入。表紙の表情が今一つなんだけどなーと思っていたのですが、この表情に意味があった!!!!私みたいに表紙でピンと来ていない方でも、職人さん話がお好きな方にはオススメしたいーめっちゃ惚れる男前さんでした!しっくいです、しっくい!!!超男前職人さんたちのお話、「本編240P弱+先生のあとがき」です。受けさんに一方的にストーキングする方がいることをお伝えしておきます。
お話は、東京郊外の自然豊かな渓谷の橋の上、思いつめた表情で名波が目を閉じるシーンから始まります。ポケットの150円が全財産となった今、死ぬしかないと飛び込む予定だったのですが、突然後ろから「何してやがる!」と引っ張られ・・・と続きます。
登場人物が全員素敵(除くストーカー等)。
攻めさんが左官職人さんを抱える社長さんで、その職場の仲間が皆素敵。気のいいおっちゃん、ヤンキーあがり?の粋な兄ちゃん、もの静かにみえる眼鏡さん等々。攻めさんだけでもとっても素敵なんですが、周りの人たちがとても魅力的だったので、本の面白さも倍増でした。
********すごく好きだった部分
一番好きだったのは、攻め!!!!!惚れる!手に職をもってて、失敗に裏付けられた自信や人たらし能力のすばらしさ!スパダリより、こういうタイプの方が好きだったのかもと、今回気付きました。ガテン系といってもおかしくないんですが、汗臭さや泥臭さというものより、仕事に対する熱意を凄く感じるから惹かれるのかな。カッコよかったー。
それからあまりに不憫な人生を送ってきた受け。儚げ美人という訳ではなく、表紙にあるように「なんであんたがモテるのよ」というビジュアルなんだけど、とにかく悲惨。聞いてる途中で「・・・ごめん、ちょっと休憩させて」と言いたくなる歴史でした。
なんだけど!不憫なままで終わらない!こいつがまた格好よくなるってどういうこと!
仕事の面白さに目覚め、不器用なのに一生懸命さと集中力で自分のものにしていくなんて、爽快感満点!
攻め受けとも好きな上に、周辺キャラがまたどいつもこいつも楽しいということで神!でした!ああ楽しかった。中原先生、あまり好きじゃないなあと思う事もあったのですが、なんだかファンになりそうだなあ。
魔性の男ってどんなタイプなんだろうとドキドキしながら読み始めました。
勝手に好意を押し付けられる、受けの名波はとても気の毒な人でした。
そしてもう一人の魔性の男の比嘉がとても素敵でした。大人の魅力と男気に溢れていて、名波が惹かれたのも分かりました。
比嘉は本当の名波の良さが分かった上でメロメロになっていました。
2人のセックスがとても色っぽくて叫びそうになりました。
中原一也先生の文章って読みやすいし、随所が上手いと感心しました。脇キャラの仕事仲間が魅力的でした。
一冊があっという間に読み終わりました。
個人的に、中原先生の書かれるオヤジが大好きなのです。
懐が深くて人情味があり、そしてエロい。今回も、そんな魅力溢れるオヤジが堪能出来ます。オマケに作品の大部分を占めているお仕事パートが左官職と言う事で、こちらも個性に溢れたオヤジだらけ。オヤジ好きとしては大変楽しく読めました。
内容ですが、平凡な地味顔なのに何故か男にモテて、恋愛沙汰でのトラブルが絶えない名波。打ちのめされて身投げしようとしていた所を、たまたま行き逢った漆喰職人の比嘉に救われます。名波の事情を聞いた比嘉は、自分の会社で雇ってくれると言い出し-・・・というものです。
名波は自分が男に惚れられるフェロモンの、呪いのようなものにかかっていると思っています。この設定でいつものアホエロ話を連想される方が多いと思われますが、今回はごくごくマトモ(?)な深みのあるお話です。
そもそも名波が何故、それ程男を惑わしてしまうかと言うと、生来ののんびりした性格に、焦点が合いづらい目線。本人は素直で頑張り屋なのに、そんな醸し出す雰囲気で支配欲が強い男の悪戯心をくすぐっちゃうんですね。端的に言うと、無知なアホの子に見えるのです。
そんな彼に嗜虐心を刺激された男とのトラブルが絶えず、男不信気味になっていた名波。比嘉の会社でも最初は怯えが先に立っていますが、そこに居たのは個性豊かな面々。強面のオヤジ率高しです!
この脇役達が大変魅力的で、オカン系の世話焼きオヤジから、下ネタ好きのお調子者系。お菓子をいつもくれる和み系から様々。お約束のヤンキー系もおります。皆から温かく受け入れられて、名波がなついていくのが可愛くてほのぼのするんですね。また、皆でワイワイ騒いでいるシーンが多いのですが、この会話が面白くてプッとさせてくれます。
そして、そんな個性の強い面々をまとめる社長の比嘉。中原先生らしく、人情に溢れた懐の広い男前なオヤジです。いつも男どもを惚れさせています。ちょっとネガティブ気味な名波を、その大きな心でどーんと受け止めるのが格好良すぎる・・・!!いやもう、器のデカいオヤジを書かせたら、中原先生の右に出るものは居ないんじゃないでしょうか。
帯に書かれている、無防備な名波に対する「ーあんまり信用されても傷つくぞ」のセリフにはホント萌えました。これぞオヤジの余裕と渋さをストレートに感じさせてくれるセリフじゃないでしょうか。
名波の前の職場のストーカーが現れ、刃傷沙汰とちょっとバイオレンス部分はありますが、笑えて温かい気持ちになれてと、深みのある素敵なストーリーだと思います。
電子書籍で読了。挿絵有り。
今回もオヤジスキーの期待を裏切らない中原節!
中原さんの『オヤジ』は、ひょっとしたら広い世界のどこかに一人や二人くらいは本当にいるかもしれないと思わせるリアルさを持っているんですよね。いや、いないんだけれど。ドリームなんだけれど。でも、掠っている部分があるというか、心意気さえあれば比嘉社長の様になることが可能なんですよ。比嘉は、図らずも男を惹きつけてしまう名波に「誰かがお前にフラッとするのは、お前のせいじゃない。自分を責める必要もねぇからな」なんて格好いいことをさらっと言っちゃう。「性被害に合う女性って、自分も悪い所があるんじゃないの?」なんてアホなことを言う男性は全て、中原さんの本を読んで素敵な男性になるべく学習するべきだと思うんですが。
今回の主人公は『平凡な容姿なのに何故か周りにいる男性を惚れさせてしまう魔性の男』名波。その体質の所為で勤め先では様々な問題が起きてしまい、ある大事件が起きてしまったこで将来に絶望し自殺を図った所を漆喰職人の比嘉に救われて、彼の会社に雇ってもらうことになります。比嘉は芸術的とも言える仕事をし、かつ、男気に溢れていて、彼の元で働く職人達は全員が比嘉に男惚れしている状況。名波は生まれて初めて落ち着いて仕事が出来、比嘉の仕事に触れる中で、自分も一人前の仕事がしたいと真剣に思う様になるのですが、過去に名波に執着し事件を起こしたストーカーが現れて……(さあ、どうなる?)
比嘉はカッコイイ、名波は健気で可愛らしい、エッチは「エロい」というより情熱的で雰囲気がある、というのは言わずもがな、その二人以外でも、萌えが満載なんです。
まず、名波の同僚達の群れている様がかわいすぎる!
20代から50代までのガデンな男達がくだらない話をしながらわいわい言っているのがやたらかわいい。だって、名波に付けたあだ名が『スルメ』なんですよ。曰く「噛めば噛むほど味が出るから(最初は解らなかったけど、確かに長くつきあうと魔性っていわれるの解る)」。ほとんどの人がワケアリなので、こんな軽口をたたきあっている絵面を想像するだけでニヤニヤしてしまいます。
こんな感じにほのぼのしている所と、ストーカーが引き起こす不穏な気配や、ガッツリ書かれるバイオレンス、熱のあるラブシーン、そして『人として認めてもらう・愛される幸福』などがメリハリをもって書かれているので、読み終わるまでがあっという間でした。
熱が入って長くなっちゃいました。オヤジスキーだけではなく、もっとたくさんの人に読んでもらいたいと切に願っております。
地味な顔立ちなのに何故か男にモテモテの女性が時折いますが、それの男性版といった感じです。賢く立ち回れたらとても楽な人生だったのでしょうが、いかんせんぼんやりした性格なので、それがトラブルのもとになるばかりの気の毒な人が今回の受けです。
男に一方的に惚れられトラブルに巻き込まれてばかりの名波(受け)は一文無しになってしまい、とうとう自殺を試みるまでになりました。それを助けたのは漆喰職人の比嘉(攻め)でした。
比嘉は助けたアフターサービスだといって、名波の身の上を聞いてくれ、行くところがないと聞くと自分の会社に誘ってくれます。
心機一転、名波は漆喰職人見習いとして比嘉に雇ってもらうのです。
タイトルでいうところの魔性の男とは名波のことです。
地味な顔立ちなのになぜか男を惑わす名波は、物心つく頃から周りの男たちに取り合いにされるのに巻き込まれる人生を送っており、同じ職場に長く居つくことができません。
追い詰められた挙句、占い詐欺にあい、有り金全部持っていかれ人生に悲観して自殺未遂を起こすのです。
比嘉に助けられて職場に誘われても、せっかく仲良くしている職場に波風を立ててはと遠慮するのですが、今までのことを告白しても自分の会社の職人は信頼できるからと言われ、やってみようと思うのです。
比嘉の会社の職人たちは訳ありの人が多く、見た目もいかつかったりするのですが職人気質で気のいい人ばかりです。
あらかじめ名波の受難の話をしているので名波の特性も理解した上で面倒を見てくれます。名波も年下の先輩職人について教えを請い、不器用ながらも真面目に働くのでかわいがられます。
何故名波が男をを惑わすのか。名波は焦点の合っていないようにみえる目で相手の顔をじっと見る癖があり、それが相手を誘っているようにみえるということがわかります。一緒にいるのが長くなるとやはりフラっとくる職人たちがでてきますが、漆喰職人として男として魅力的な比嘉がいるためか今までのような展開にはなりません。また、あけっぴろげに「今ムラっときただろう」とお互い言いあうので陰湿な雰囲気にはならないのです。フラッとするのを避けるため、すぐじっと見てしまう名波に、先輩職人が「じっと見ないじっと見ない」とコテを猫じゃらしのようにして視線を誘導しているシーンがあるのですが、ほほえましいやらかわいいやらですごくいいです。
そんな中、噛めば噛むほど味がでると「スルメ」とあだ名され、比嘉という職人としての目標もでき、初めて仕事に生きがいを感じ、一生懸命楽しく仕事をしている名波に人生を悲観する原因となった男が現れます。
この男が本当にしつこい男でした。蛇のような執念深さは恐怖でしたが、比嘉の力強さのおかげで名波は救われます。
今まで一方的に好意を向けられるだけで、名波の心を置き去りにするような迫られ方しかされなかった中、初めて名波のことも考えた比嘉は本当に男前でした。過去がどんなであれ自分の職人たちを信頼し、一生ついてこいと言い切る比嘉は本当にいい男で、名波が男を惑わす魔性なら比嘉は男も惚れる魔性でした。
男ばかりの会社で、仕事をしているときは真剣に、仕事以外では皆で和気あいあいとしたとても居心地の良さそうな会社で、みんなとわちゃわちゃ話している時が一番読んでて楽しかったです。いままで人と接触を避けてきた名波は比嘉に愛されるとともに彼らから大事にされて幸せになれるだろうと思われるとても幸せな読了感でした。