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小説の冒頭って結構重要だと思うんですよね。この小説は受けが理不尽な目にあうところからはじまります。理不尽なことをするのがヤクザの攻めです。結構衝撃的で、そこから物語に引き込まれます。
理不尽な目に合わせられた受けは攻めを嫌がっています。ですが、最終的には結ばれます。あんな酷いことされて、しかも攻めが無理矢理受けを攻めの世界に連れてこなければ、しなくてもいい辛い経験をしたのにも関わらず。
でも、違和感なく読めます。なぜかは正直わかりません。寂しいのが嫌だから?ずっと大事にされると感じたから?攻めに同情したから?色々思い浮かびますが、これがこうだからだと確証はないです。それでも、結ばれる結末に納得してしまうから不思議です。
物理的に痛い描写もあるので、それが苦手な方はお気をつけください!
2003年発刊のこの作品が水原先生のノベルデビュー作
・・・痛い物語だった。
あとがきに、短編のつぎはぎ云々とありましたけど、上手くまとまっていて文は読みやい。
表紙が綺麗な緑色の本を本屋で見つけて、中を確認しないで購入。
そのまま、二年読まずに積読したままだった。
何故なら、パラっとめくったら、雪洋が血まみれで倒れている挿絵が見えたから。
痛いBLに耐性がついた頃と思って、再読開始。
冒頭から、雪洋の美貌が災いして、一見でお店に入ってきた岡林の目に留まって
いきなり、店内で暴行される・・という、とんでもない始まり。
美貌の雪洋が岡林に凌辱され続ける痛い場面の連続。
雪洋は、勝手に一目ぼれされて、岡林の力と金に振り回されていく。
でも巻末まで読み進むと、雪洋は、岡林に好意を抱くようになっている。
共依存かな?
雪洋、壊れちゃった?
貌も中世的な美貌だけど、気が強いけれど同性を受け入れる素養が雪洋にはあったのかな?
理解できない雪洋の心の変転。
続編があるので、怖いもの見たさで、読んでみようかと思ってます
・・タイトルと内容の関連が分からない。
夏の日陰というタイトル。
副題が「cain」:アダムとイブの息子で、嫉妬から弟を殺す。カインが受けた呪いの原因は嫉妬。
自分はよく水原さんの小説のレビューで「痛い」と騒いでいるが、その由縁となるのがこの一冊なのだ。
2003年刊、再読。
どうして当時新刊で平積みになっていたこの本を手に取ったか不思議だが、未だに手放さずにいるのもまた不思議なのだ。
何せ冒頭から初対面のヤクザ者にレイプされ、有無を言わさずに囲い込まれて同居を余儀なくされ、強引に周囲の者達にバシタ(ヤクザの奥さん)として認知されていく…
痛さ満載でかっ飛ばす展開に、緊張感を保ったまま一気に読んだものだ。
強面の岡林も雪洋には僅かに惚れた弱みを見せる?部分も確かにあるのだが、自分には愛がどうこう感じる余地がなかったなぁ。
濡れ場よりも暴力描写が強烈な話の中で、印象に残るのは何と言っても岡林の生き様だ。
頭が良く屈強だったであろう父親の資質を受け継ぎ、周囲のヤクザ者達が命を懸けてもいい位に惚れ込んでいる。
この男が背負う、たとえ住む世界が違っても目を惹くカリスマ性と宿命の重さに引き込まれたのだと言っても過言ではない。
作中は岡林について、『子供の頃から滅多にモノを欲しがる事はないが、欲しいと決めて手に入れたら必ず大事にする奴だ』というエピソードがある。
しかし、そんな彼が何故雪洋を生涯の伴侶に決めたのかははっきりと書かれていない。
幸洋は、告白は無くとも"裏切られる事はないだろう"という想いを依りどころにして今後生きていくのだと思うと切ないものがあるなぁ。
痛いけれど皆悲しく孤独だ…
1冊ぜんぶ表題作です。雪洋(受け)の視点でストーリーは進みます。
初版2003年とのことで、水原先生のあとがきもイラストの高緒先生も初々しいです。そして、お二人の現在の活躍を予感させる見事な1冊です。
滅多にモノを欲しがらない。
一度欲しいと思ったものは、どんなことをしても手に入れる。
そのかわり、欲しいモノを手に入れるといつまでも大事にした。
そんな岡林(攻め)はカッコイイですが、意思を無視して「欲しいもの」にされてしまった主人公雪洋には災難としか言いようがありません。
岡林がヤクザ者ということもあり、雪洋は暴力と脅迫で屈服されます。岡林の好き勝手に強姦される日々。そんな生活でも、年齢が近く友人になれそうな世話係もおり、「セックスより機嫌をうかがう方が難しいなんて」とストーリー中盤では出掛けにキスをするちょっとした甘い雰囲気も漂っていたのですが…その後は岡林が住んでいる「やるかやられるか」の世界と岡林の非道さがえがかれています。
そんな壊れた岡林を愛することを雪洋が決意したラストが良かったです。
高緒先生のイラストは、暴力的な場面もエロシーンも作品の雰囲気そのままで素敵でした。あとがきで描かれた長ドス持った木島のイラストも格好良かったです。
私は痛い系統は苦手なのですが、つい繰り返して読んでしまう作品です。
ただ、冒頭場面は本当に痛くて、読んでいてつい自分の鎖骨が折れそうで押さえてしまったこともある(雪洋が折ったのは助骨なので不思議ですが…)ので、痛いのが苦手な方はご注意ください。
凄かったです。出会いから圧倒的理不尽w
普通に生きていた青年が、偶然ヤクザに見染められ強引に囲われるというお話はいかにもヤクザ物っぽいなと思います。
しかし、”住む世界が違う”ってこんなにも話が通じなくてこんなにも理不尽なのかというのがとてもよく伝わってきました。
一般人とヤクザ世界の隔たりがしっかり書かれているので、酷いと思いつつも心のどこかで納得していました。
カリスマ的ヤクザの親分の岡林(攻め)は、自分の理解の範疇を超えたお方という頭で読まないとなかなか大変かもしれません。
服従を強いられる関係なんて、今の平和な日本に生きていて理解するほうが難しいと思います。
自分が納得できるできないに関係なく、岡林のような人間も世の中にはいるのだというのを突きつけられた気がしました。
雪洋の残された選択肢は”岡林に従うこと”しかないので、不運としか言いようがありません。
それでも、どうしようもない現実に目を開き、悩みに悩み迷いに迷いつつも自分なりに折り合いをつけていきます。
自分の人生に希望が残っているのなら誰しもがやっていることだと思います。
そして憎らしいことに、外見も中身も人を引き付ける魅力を持っている岡林。
雪洋は岡林を憎みつつも強烈に魅せられ、体の快感も知りまた苦悩。
ラストでいちおの着地点を見つけ甘めに終わりましたが、それは岡林が筋が通った人間で信頼できるという点だと思います。
魅かれてしまったという感情もあると思いますが、それ以上に愛することに決めたという感じがしました。
こんなに高評価になったのは、単純に水原作品と相性がいいということもある気もします。
好き嫌いが分かれるのは凄くよく分かります。