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俳優を題材にしたBL作品は色々あると思うんですが、これはなかなか面白かったです。三冊通してのレビューです。
子役からやっている大物俳優の飛滝と、顔が少しばかり良いけれど中々芽の出ない三年目俳優の篁音彦。ある映画で飛滝の弟役として出演するために実際に兄弟として暮らすことが条件になっていた。
音彦はチャンスだと思うものの、当初はやってられないと思いつつ、、、。
実際に飛滝と暮らすうちに飛滝の役への入り方が本気で、さらに弟に対して劣情をさらすようになり、実際に兄弟で関係を持ってしまいます。
音彦の方は、飛滝に恋愛感情を抱くようになり…というストーリーですが、面白い。単純な共演者との関わりというよりも、飛滝の内面や音彦の変化、憑依系俳優だからこその関係とか。
見知らぬ男(二冊目)fpでは、その憑依系俳優であることを利用しようとされ、音彦との共演で敵対する役柄を飛滝が演じることに。つまり、役に入ってしまう飛滝は音彦をリアルな生活でも敵対するであろうという策略。でも、ちゃんと飛滝はその辺のこともわかっていて、うまくやり遂げます。
三冊目では、音彦が子犬を連れて帰ってきます。飛滝が実は犬が怖い、というプリティな素顔が(笑)
それでも音彦の我儘?お願い?に愛を持って答えるためにお世話をします。そのため、子犬は飛滝をご主人と認め、変装して音彦のマネジャーにもバレなかったのに子犬にはバレるという…でも犬は臭いでわかりますよね。
そして飛滝はとうとう世界へ。イギリスでの三カ月にわたるロケへ旅立ちます。じっと待ってられない音彦は、休みをもぎ取って飛滝に会いに(そこにいるのは飛滝じゃなく前田男爵!)行きます。
音彦との同居(最初は本当に同居だった!)をきっかけに、音彦の弟として甘える様に変化し、音彦もその関係に気持ちが変化したことから、この愛情は役の延長ではないのか?と思ったりしながら関係を深めていった二人がとても良かった。
未来は二人ともロス辺りで俳優やってて欲しいな。
面白かった!モヤるところもあるし、結局あれは何だったの?って謎は残ったままだし、本当にそれでいいの?ってキャラに問いたいところもあったりするけど。攻めのキャラとストーリーがとても良くて即続きを欲するくらい面白かった。
天才俳優×売れない俳優。役作りのために同居生活を始め、徐々に役と己の境目が分からなくなりながら惹かれていくお話。
始まりから甘ったるい兄弟としての触れ合いが繰り広げられ、音彦に同調するように戸惑いとドキドキを体感できる。
飛滝の頭の中は設定通り本当に分からないが、飛滝本人にも分かっていない雰囲気なのが良い意味で怖い。そんな状態で襲ってくる意味の分からなさ。音彦もさすがにそこまで呑まれることはなく、それなりに常識的な反応なので読みやすかった。
二人の触れ合いはギリギリのライン上にある感じで、危ういヒヤヒヤ感を楽しめる。やっと飛滝に綻びが見えるとめちゃくちゃ萌えた。
ただ疑問というかすっきりしないのは、このときの飛滝の心情が音彦の推測のみになっていて、答え合わせもされなかったこと。飛滝が自分に惹かれているはずといういう自信と、反対されればされるほど強固になっていく若さゆえの暴走が、後に落とされるフラグかと思っていたら特に何もなかった。
あの飛滝の空白の一日は結局音彦の予想だけで説明は終わりなのかな?
後半、撮影に入ってからは桐生の執着ぶりにヒリヒリした。飛滝に自己を取り戻して欲しいと願いながら自分好みの男を演じさせようとする音彦も桐生と同じに思えたが、飛滝にとっては最適な相手なのかな。
撮影後はバタバタとくっつき、二人はやっとBLのスタートラインに立ったよう。これからの二人を見たいと強く思う。
監督に軽口を叩き俗っぽさを見せる素の飛滝は、意外にも普通に好き嫌いがあって、コロンも役作りでなく付けていたことが分かり、顔のない男でも自我がないわけでないと分かって安心した。今後さらに感情的になる様子をぜひ見たいキャラ。
気になったのは頻出する「確執」という単語の使いどころ。紙初版で読んだが微妙に意味を違えて使用されているように思えた。正しく使われていたとしたら桐生はさらに意味不明なキャラになってしまうがどうなんだろう。てか一部文章も変だった。
この一冊だとBLの導入部だけを見せられたようなので、続きがあって良かった。特に飛滝は本当に音彦本人に恋心を抱いているか不安が残るので、次作で払拭して欲しい。
次が楽しみ。
ザクザクザクっとスピーディーに読めたので、読みやすかったのは確かです。ハマったかというとそうでもなかった。
剛しいら先生の作品を読むのが初めてで、こちらを手に取ったのが失敗だったかもしれない。「顔のない男」と銘打ってる通りカメレオン役者の飛滝と、それに引っ張られて耐久エチュードをする音彦(篁 たかむら)のお話。小説の中で主役2人が映画の役を演じている時間が長いから、剛しいら先生がどういう文体というか、どういう雰囲気の作品を書かれるのかずっと掴めず、身を委ねるのが難しくなってしまって。
表紙からはしっとりした繊細な話かと思っていたところ、監督の桐生と映画の内容は大袈裟で。夏祭りぐらいまでは好みの雰囲気な気がしてたところ、桐生と夏彦のキャットファイト、桐生による夏彦軟禁と、自分が勝手に桐生像を作ってたせいなんでしょうが安っぽく思えてしまい。極め付けがクランクアップ後の別人のような音彦。映画の役所である玲二と別人なのはそりゃそうなんだけど、あまりにも軽くて拍子抜けしてしまった。撮影終了後の飛滝の気怠い色気は好みだったのだけれど。
読み始めてすぐに音彦の根性の無さに挫折しかけていたぐらいなので、音彦に惹かれなかったことが、のめり込めなかった原因かな。特に序盤の彼、俳優という特殊な職業を志すにしてはガッツのない男である。
続きを読んでみます!!
電子書籍ひかり
中に本当は挿絵や口絵があるのかな?ありませんでした。
天才型の飛滝は、憑依型演技。私生活が謎の人。素は強個性だが、演技して没個性にナリキルので、誰にも気づかれず私生活を送ることが可能。
無個性が個性の新人役者、篁はすぐ顔に出る、演技が上手くない役者。なり切れないので私生活で本人が自覚するより目立ってしまう。
この二人のキャラ、「ガラスの仮面」に出てくる競い合う二人の女優を意識したキャラ設定と言うのは、私も感じました。
★あらすじ:
飛滝にぞっこん惚れこんだ監督桐生は、飛滝と賭けをした。
「一年以内に変装して隠遁した飛滝を見つけることが出来たら、また桐生が監督を務める作品に出演してやってもいい。」
桐生は惚れ込んでいて役者飛滝を独占したかった。美味しすぎるラーメンを作る店主に変装した飛滝を桐生は見つける。
桐生は、作品の相手役に篁を選ぶ。篁は容姿が良いだけの没個性。桐生の誤算は篁=篁は演技が上手ではないナリキレない役者、すぐ素の感情が表に出てしまう。
演技の下づくりの為に主役と準主役は、配役になり切って生活をさせられる。
演技が下手な篁が相手役なので、飛滝は素の篁を愛してしまった
撮影終了後、監督桐生の目論見通りにはいかなかった。
撮影終了後にいつもなら役柄全てを終了後に忘れる飛滝だけど、音彦を記憶にとどめたまま素に戻る。
二人は恋人に・・というより、二人とも恋人を演じながら生活することになる
・・・という、あらすじ。そして次号は、二人にギリギリと嫉妬する桐生監督の嫌がらせの巻。
良いなーと感じた場面は、ここ。
撮影の合間に特殊撮影専門の真島監督が音彦に、煙草を吸いながら話しかけます。
「なあ、あんた。面白いって言葉な。意味知ってるか」
「昔さ。火を囲んで話し合いとかしただろ。そん時に面白い話が始まると、みんなが顔を上げてそいつの方を見るわけだ。そうすっと顔が火に照らされて、ぱぁっと白くなるんだよ。だから面 しろい。」
「そうだよ。俺達映画屋はよ。何回、観客を面白くさせられるんだろうな。映画館の暗闇で、・・光の反射で白くなった瞬間、ああこの映画はおもしろいんだって・・・」
情景を想像すると、ものづくりに熱中する職人の気概を独り言するいい場面。
面白しき物語でしたので、続きの「見知らぬ男」「時の無い男」も電子書籍版で買い、挿絵が無いので場面を脳内妄想して読みました。ホドホドの長さで読みやすい。残念ですが、その続きの同人誌「優しい男」他数冊は入手不能なので諦めます。
次は、ゴジラ先生作のバレエで留学した少年の話を読もうかと思ってます。余り人気が無い作品のようですけど。バレエをどのように説明されているのか興味があります。
ゴジラ先生の作品を読む人が増えて、復刻版が企画されることを期待しています。
絶版したまま埋もれさせるのは、惜しいです。
調べたもの:
「面」は目の前を意味し、「白し」は明るくはっきりしていることを意味する
「面白い」という言葉の原型は『面 白し/著し』
「面白し」の「白」は当て字で、もともとは「面著し(おもしろし)」と書いた。「目の前が明るくなるような感じ」
日本書紀、語源のルーツは天照大神…!?「岩戸開き」という日本の神話が由来とする説、「おもしろ」は岩戸が開いて光が戻ったことで神々の顔(面)が白く照らされ、喜びに輝いた様子を意味する
以前ちるちるさんの掲示板でおすすめされていてずっと気になっていた作品でした。
ずっとハラハラの連続で綱渡りをしているような、息もつけないお話でした。
三人の男のせめぎあいというか飛滝をめぐる桐生と音彦の戦いというか。
兄弟のお芝居の同居ということでしたが二人の関係がどうなっていくのかというところで強制撮影開始。
兄弟のお芝居の二人の生活をもっと読みたかったです。
音彦の芝居の拙さに飛滝が完全に役になりきれず音彦を求めてしまうのは、読んでる時は一体飛滝は何を考えてるのか謎で、レビューに謎の男というタイトルをつけようかと思ったくらいでした。
桐生の飛滝への執着、壮絶な撮影、桐生から飛滝を救い出そうと音彦が頑張ります。
本当の飛滝はどんな人なんだろう。撮影終了の後の音彦とのやり取りでもなかなか顔が見えません。
でも玲二じゃない音彦をちゃんと受け入れて、玲二が死ぬシーンでは冷静でいられなかったり、本当の音彦にも愛情が感じられて良かったです。
ステージママから解放されたら今度は桐生に捕まり極限まで追い詰められ、別人を演じることで役をリセットするのも痛々しいです。
本当の飛滝はどうも恋愛経験が少ないようで音彦の必死のアタックに陥落したのでしょうか。
音彦によって心の安らぎを得て欲しいです。
兄の演技やゲイカップルの演技は続けているのかな?
試写会の挨拶での言葉やキス。よい関係が続いているようですね。二人で住む家を建てるとか。
本当の顔を出せるようになってほしいです。