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顔のない男3巻目。短編が2本入っています。
CMで共演する子犬の世話をする事になった音彦に、「何でもひき受けるな」と口出しする飛滝。対して音彦は「仕事を選べない」という不満をぶちまけます。
飛滝が音彦の仕事に対して怒ったり口出しするのは始めての事。
互いに「相手にどこまで踏み込んでいいか」をまだ探っています。
1巻2巻では霞のように実態のつかめないでいた飛滝が次第に人間っぽくなってきて、やっと飛滝というキャラクターが分かってきた話でした。
後半は海外ドラマに出演する飛滝の演技が見たくてイギリスにまで音彦が追っかけていくお話ですが、演技の邪魔になると分かっていて飛滝の前に出るのはちょっとどうかと思いました…。
スタッフに嫉妬したり、それを顔に出したり…あなたもう大人でプロでしょう、という感じも…。
今まで飛滝の演技をただ「すげー」って思っていましたが、ここに来てやっと腑に落ちない感想を持ちました。カメラが回っていない、知り合いも見ていない所でも、果たして「演じている人間」になって生活するなんて出来るのか??という疑問。
音彦が危ない目に遭っているのを間のあたりにして、それでも「音彦なんて知らない人間」になりきれるのか?と不思議に思いました。
飛滝の演技方法はきっと、「大事な人」がたくさんいないからこそ成り立ってきたんだろうなぁと思います。
家族や友人など、大事な人が回りにたくさんいて始終話しかけてくるなら成り立たない生活でしょう。音彦といる事で無茶な演技方がもっと良い方向になってくれたらなぁと思います。
それにしても「売れない俳優」設定から始まった音彦は、とても恵まれていますね。2人が仲良くしている様が大好きでした。
ここまで読んでまだ読み足りないです。
もう終わりなのもっと飛滝さんが音彦を甘やかすのを見たい(>_<)神にしたが、シリーズ全体にって事で、どっちというと一作目の方が一番好き二人もしカミングアウトしたらどうなるかしら続きを書いて欲しい
「顔のない男」シリーズは、この巻で完結。シリーズ番外編の「優しい男」は同人誌で市販されていないので、諦めます。
続編を希望したくても作家没後なので、叶わないのが残念。
座布団⇒花扇に続いて、レビューで調べると、作風が似ているのがこのシリーズだということで、電子書籍で読みました。・・挿絵部分が全部空白で抜かれているのが残念だった。
好き嫌いあるかもしれませんが、私はこの二人の物語がとても面白かった。
音彦と飛滝は、「花扇」の初助と寺田の組み合わせと少し似ているような気がしました。
音彦は、負けず嫌いで積極的。
我ままで甘え上手な正直者。嘘をつけない。
個性が無いのが個性の美男子。
音彦は、智恵子抄の智恵子のようにパートナーの天才が放つ才気に圧倒されても押しつぶされず、競わず尊敬することで上手く愛を繋げている甘え上手
・・素の状態がしっかりあるので、音彦は役柄の憑依状態を長時間保てない。
飛滝は、特殊な生い立ちのため歪みがある性格。
天才型で憑依気質の飛滝は、音彦には包容力ある年上。
音彦には愛を向け、音彦の反応を鏡としている。
飛滝は、音彦のような気性の者でなければ愛せないし長続きしない。
犬や動物が苦手。
醜くあることを嫌い、常に美しくあろうとする。
完璧に役にナリきる憑依型演技を徹底してきたため、素の自分を見失っている・・・だから「(自分の)顔のない男」
音彦と出会ってからは、飛を演じることで音彦を忘れず私生活を保っている
剛シイラ先生に、長生きしてほしかった。そしてもう少しこのシリーズを書いて欲しかった。今頃シリーズを知ったことを残念に思います。
・・・調べたもの
「時のない男」
長妻藩 前田建明 男爵
・・長妻藩は(架空の藩)だから資料無し。
*前田家は維新後、鉱山と造船業に関わってはいます。ホントか??と驚いたのですが、架空と知って安堵。ビックリした。
次は、剛しいら先生作、架空の長妻藩関連の「倅なれども」を読もうと思ってます。
「顔のない男」シリーズ最終巻。電子版表紙絵あり、挿絵なし、あとがきあり。
剛先生はもっとこのふたりを商業で書きたかったんじゃないかな? と思わせる終わり方。読者としても、まだまだ音彦の成長や、音彦を愛することで変化していく飛滝を見てみたかった。
1冊目の「顔のない男」の、兄弟役を演じるふたりがすごくツボで、それ以来ちょくちょく読み返しては、やっぱりいいなあ、と思うのだが、本作はそこまでのドキドキハラハラするような感覚はなく……というか、前二作に比べて、平和だなという感じ。3冊目となると音彦も役に入った時の飛滝の扱いを心得ているし、恋愛関係も安定しているからかな。
前半の「愛のない男」は、撮影現場で犬を預かってきた音彦が、飛滝の自宅で犬の世話をすることになるお話。飛滝が実は、動物や子どもが苦手だということが判明する。ミステリアスな男という印象が、犬の世話をすることで人間味が出てきて、可愛いところもあるのね、という印象に変わります。
後半の表題作。イギリス制作のドラマに出演することになった飛滝を追って、渡英した音彦。相変わらず飛滝は役に憑依されていて、私生活でも別人になりきっている。こっそり会いにきた音彦を見てもなりきり演技を崩さない飛滝に、音彦も即興の演技で応え…。
音彦はわがままで甘ったれだし、飛滝は変人だけど、一緒にいるとお互いが成長できる、いいカップル。この先のふたりは想像するしかないけど、音彦は役に入って別人になった飛滝に毎回新鮮な気持ちで恋ができるから、マンネリもしないのでは? そしてそんな音彦に対して、「浮気だ」って言う飛滝が可愛いくてニヤけてしまう。いやいや、中身は自分ですから!
剛先生の文章、恋愛を通して成長する人間の描き方、飛滝のように歪みを抱えていたり、音彦のような完璧ではない人間に対して、温かな目線を感じるところが本当に、いつまでも大好きです。
前の2冊に時間をかけたのに、こちらはあっという間に読みました。一番好きだった!今回の所謂劇中劇が海外かつ時代物だったのがよかったのだと思います。下手な現実感がなく、空想の世界にもっていってくれますからね!ありがたいことです。
この2人、大体いつも2人だけの世界に浸ってるから、「時のない男」で第三者の介入が沢山あったのもよかったのだと思います。女性に優しくする2人は、2人の世界にいる間は見ることができないから。こういうシーンでキャラクターのイメージが固まるのが好きなので、もっと見たかったなと残念に思う。
ひたすら我儘な音彦にずっとうんざりしていましたが、音彦が家族に愛されて育った良い子であり、ひたすら甘えるのは飛澤に対してだけで、なよなよはしていない豪気ある男だと思えるこの巻に満足。気づくのが遅くなってごめんよ。
そして3冊読んでやっと、どんな役でも音彦を惚れさせる飛澤と、どんな飛澤にも惚れる音彦の構図を楽しむ作品なんだと気づけたので、もっとこの2人が読みたくなった。お約束の安心感と美学。