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全3冊シリーズの2冊目。私は一番好きな作品です。
前作「顔のない男」で恋人同士になった二人。飛滝と音彦が知り合うきっかけとなった映画の監督は、その頃すでに飛滝に執着し、音彦を邪魔者扱いしていたのですが…音彦にきたドラマの裏の糸を引いてました。役になりきる飛滝だから、敵役の音彦と、現実の関係でも亀裂を入れさせようともくろんだのですが、飛滝が一枚上手だったという話です。
見事でした。飛滝が裏をかいて、役のままで音彦を襲う。そして、その考えを音彦が察し、ドラマの役に生かしたというのが凄いの一言でした。
音彦が折れそうになりつつもなにくそと歯を食いしばって頑張るタイプなので、切なさは感じませんでした。シリアスでもないです。
前作より読みやすい作品だと思います。でも、続きものですので、前作なしの単独で読むと面白さが半減してしまいます。「顔のない男」でうーん、と諦めた方に再挑戦して欲しい作品です。
天才俳優・飛滝(30)×新人俳優・音彦(24)
今回は、殺し屋×正義感が強い刑事
上の美味しい設定で、殺し屋の男と刑事での鬼畜Hと、飛滝さんが遊んでのHと二回も楽しめてかなりの萌えでした。
2巻となって、二人のラブラブ度も進行しています。
俳優物、業界物が好きなので、このシリーズたまりません。
前作から続いて、飛滝の心を奪った音彦に恨みを持つ監督の差し金で、役柄になりきってしまう飛滝さんのことを利用して、恋人同士の二人を妨害しようとして、刑事と殺し屋として対立しあう話を持ってきて……という話です。
シリーズ中、いまのところ一番好きな話です。
殺し屋を演じる飛滝さんが危険でワイルドでかっこよくて!
かなり、ミーハーにときめきました。
今回、飛滝さんのチャーミングな所がわかって、益々好きになりました。
恋人としても役者としても完璧な男の意外性がたまりません。
そして、飛滝さんの謎がまた少し明かされて、いま音彦がそばにいてよかったと本当に思いました。何度も読み返すくらい、そのシーンが好きです。
このシリーズは読み進めていると止まらなくて、夢中で読みきってしまいます。
他の本のあとがきにある「見てきたように嘘を書くのが小説家ですが、まさにそんな話」・・
剛しいらさんは、資料調べが念入りな方だと思います。
念入りに調べた中で織りなす物語は、小説の中の架空の人物ではなく、本当に何処かに実在するような現実味を読んで居て感じさせられます。
脳内妄想の中から、紙面から登場人物が飛び出て勝手に動きだしてまた夢物語を降り無しような、そんな作品でした。映画俳優というキャラ設定のせいかもしれません。
ナリキリモードの役者と言えば、有名な漫画「紅天女」のあの「恐ろしい子」を思い出します。ひょっとしたら、それが原案だったのかも?
1巻で、役柄を憑依させるために、役になり切って二人で生活する撮影前準備を、また行うのですが、今度は敵対する役になりきらないといけない。
第三者を介して二人の仲を裂こうとする監督の計略です。
台本通りに演じると、二人は憎みあう筈。
でも、そうではない展開にする為に文字になっていない情の動きを演じる側の二人から推測して、円満に終了。
「顔が無い男」三作のうち、一番面白かった。
ありそうな細かい描写があると、本当に何処かにコッソリ実存していそうな錯覚を覚える作品でした。
電子版を買って、イラストを見たくなって古書の紙版を買いました。
剛しいらさんの「座布団」シリーズが、同人誌の作品を編入した復刻版が出ていますが、続いて各シリーズで、未公開作を追加した全集が発刊されたら嬉しいです。
前回のような勢いはありませんが前よりカップルぽくなった2人に十分楽しませて頂きました。
歳の差カップルが大好きだし、攻めが受けを甘やかしすぎというのがとてもツボです。音彦がTVを見ながら何となく「これいいな」とか「これかわいい」とか言ったのを一々覚えていて全部用意してくるとか…迂闊な事は言えないと反省する音彦とそんなに喜ばない音彦にしゅんとなる飛滝が可愛いです。
前回で飛滝という人物が曖昧なまま終わったので、普通に同棲していて一安心(?)。それでも人間味の薄いちょっと変わった性格をしているといえますが、音彦のために一生懸命な姿は可愛いです。
今回は2人がまた共演、それも敵役という設定で相対しますが、最初から最後まで読んで、飛滝のスキのない部分に惚れ惚れしました。仕事でこんなに完璧な人間が傍にいたら安心感があると思う。音彦が仕事に関してはまだ未熟、でも情熱のある人間なので丁度いい組み合わせの気がします。生活的な部分に関しては逆ですね。音彦のほうが感性がまともで、飛滝がどこか抜けている感覚。なのでこの2人は長くいればいるほど互いを支えあういいカップルになるんじゃないでしょうか。
スタッフが2人の中を見てみぬフリしてくれている…という件もよかったです。けれど前の黒幕(?)的だった監督がまだ出てくるとは思わなかった…。まさか次回も出てくるのかしら…。
「顔のない男」の続編。
私が「顔のない男」で好きだったところは、飛滝が奇妙な男なところなのです。
自己はあるのか、何かになりきる事でしか存在できない危ない男…
音彦と恋人になったけれど、その心の底では「音彦が求める男」「音彦に愛される男」を演じているのではないか?と思わせる曖昧な終わり方、そんなところが何とも好みでした。
さて本作。
どうやら「素」の飛滝がきちんと音彦を愛しているような…。
なーんだ、とちょっとがっかりしかけたのですが、音彦と飛滝が敵同士になる2時間ドラマ企画が持ち込まれ、飛滝があの時のように役になりきってみようと提案する…
前作と同様、このなりきりの展開はやっぱり面白い。
飛滝は完全に役に憑依、音彦もかなり憑依。このなりきりよう、飛滝はやはり底知れない奇妙さを持っている?と思わせるところが私の好みです。
私、恋愛やBL展開より「憑依」が気になるんです。
それは私が子供の時に読んで今も忘れられない「ある話」を思い出すから。
それは、楳図かずおさんの「恐怖」というコミックの2巻目に収録されている「とりつかれた主役」という作品。多分1975〜6年くらいの作品だと思います。
ある高校の演劇部。冴えない太っちょ君が急病で舞台に出られなくなった女の子の代役でメイクをしたら急に完璧に演じる。衣装とメイクをすればどんな役でも人が変わったように完璧に演じるその男の子に、周りが面白がってある日無理やり鬼の形相の隈取りを描き込むと…
…というホラー漫画です。
この飛滝惣三郎はこの話を思い出させる。
だから、何となく普通に甘いカップルに見える中盤から、また急に「間宮」を演じて音彦が嫌がっても聞き入れない飛滝の姿、その後また急に薔薇を用意する正反対の飛滝の姿、その落差を平然とやってのける男の奇妙な精神世界を見せて唐突に終わる部分にゾクゾクする私は、多分他のみなさんとは少し違う場所に立っているのかもしれません。