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表題作キス

雑賀明渡
明るく裕福な苑の同級生~起業家,11~27
蛇抜苑
周囲から空気のように扱われる小学生~マッサージ師,11~27

その他の収録作品

  • アイス(あとがきに代えて)

あらすじ

小学五年生の苑にとって世界は悪意に満ちていた。両親の罵声や同級生のからかいに息を潜める日々。そんな苑に、クラスの人気者・明渡が構ってくるのが不思議でならなかった。ある夏の日、ふたりは神社でキスをするカップルを目撃する。その光景は互いの脳に灼きつき…?11歳、17歳、21歳、25歳…人生のターニングポイントにはいつもキスがあった。光と影のような幼馴染のふたりの、綻びだらけの恋物語。


作品情報

作品名
キス
著者
一穂ミチ 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
キス
発売日
ISBN
9784403524424
4.2

(259)

(168)

萌々

(37)

(27)

中立

(7)

趣味じゃない

(20)

レビュー数
34
得点
1076
評価数
259
平均
4.2 / 5
神率
64.9%

レビュー投稿数34

自分を愛せるようになりますように

テーマを確認し、覚悟を決めて読みました。
一穂ミチ先生の書く登場人物は
背負っている境遇、家庭環境もかかれてることが多く
それによる人格形成も納得できるものが多いです。 

主人公の苑の性格も、
生まれ育った環境からくるもので
諦めと喪失感がある子供。
読んでいてとても切なく痛々しかったです。

すべて明渡のほしいままにさせる初体験
苑は恐怖しかなく、
一穂先生の作品の中で珍しく
甘さのない展開に驚きました。

明渡がここまで苑に恋した理由はどこからくるのか
不思議だったのですが
理由がわかったとき
ああ、一穂先生の世界のなかで「なんとなく」
なんてものはないのだなと納得しました。

苑が初めて明渡に恋を自覚するところは
いじらしく、わがままを言えたことが
明渡くらい嬉しかったのですが
あっという間に失ってしまい
すぐに引き下がる苑が不憫すぎて泣きました。

キス待ち10秒の間に身を引く苑
可哀想すぎる、切なすぎる。

再会後も明渡に翻弄される形で抱かれるのが切なかったです。
本当は苑は果菜子が好きだったこともわかり、
逃げるように去っていくのも
ただただ可哀想でした。

上京した明渡に塩対応の苑で終わります。
いい、塩でいい..。

続編では苑が能動的になること、
幸せになることを期待して読みます。
明渡が看護師に言った
「まず自分から愛そう」という言葉を
苑が叶えられますように。

yoco先生の雰囲気ある表紙、挿絵のイラストが
本当に美しく、だいすきです。

0

よかった…めっちゃよかった…

読みたいなぁ…と思ってなかなか読めてなかったがやっと読めました…

めっちゃよかった…早く…続きを読まないと…

0

苦しすぎた

こんなに泣いたのいつぶりだろう?ってくらい、
ものすごく泣きました。
苑があまりにも不憫。ツラすぎた…。

幼い頃から辛い境遇にあってそこから抜け出す術もなければ気力さえなく、子供らしからぬ諦めを抱えながら生きている苑。
彼の心の内側を知るたびに切なくなり、どこを見ても安らげる場所がないのが本当に悲しかったです。
そして苑とは対極のところにいながらも彼のために世話を焼く明渡が、苑にとって"唯一の光"になってくれたらいいなと思っていたのに。
結局はそれも叶わず、長い時間をかけて苑の傷が増えたことに何とも言えない憤りを感じました。
でも明渡を責めることはできない事情もあるので、ただただ遣る瀬さが募ってどうしようもなかったです。

暗闇に紛れてじっと息を殺して生きていた苑を連れ出し、道を作って手を引いて歩いてきた明渡。
すごく自分勝手だけどそこには確かに愛があって、どんな時でも無条件で愛を注いでくれることに苑も寄りかかっていたのだと思います。
でもようやく同じ場所に辿り着いたと思ったら今度は気持ちがすれ違うなんて…。
こんな悲しい別れがあるなんて思いもよらず、苑の苦しさが伝わって泣けて泣けて仕方なかった。

でも。彼の道にまったく光がないわけではなくて
たくさん苦しい思いをしながらも苑自身が「しっかり前を向いている」ということにすごく救われたなと思います。
そして自分の道を進む強さをくれたのは紛れもなく明渡なので、出会いもこれまでの日々も何一つ無駄なものなんて無かったのだなと感じました。

悲しいままではなく明るさを感じるラストだったのもすごく良かったです。
最後の最後、明渡らしさと苑らしさあふれるやり取りを見ることができて本当に救われました。
彼らに幸せが待っていることを願って、続編も読みたいと思います。

0

No Title

読後、胸が苦しいです。
読み進めて、苑がずっと感じているどこか他人事のように感じることで自分の心を守っていたのに、好きと言う気持ちに気付いてしまった途端の別離。
あーもー読んでてつらい。楽し気な描写も常にどこか不安さが感じられて落ち着かない。でも目が離せなくて一気に読んでしまいました。
詳しい部分は割愛しますが、苑が無意識に自分と同じ部分を持っている果菜子が、自分よりも先に強かさを得ているところに、女性特有の強さを感じました。果菜子は幸せになったんだなー。それはそれでよかった。
頭がいっぱいになってしまいました。続編を早く読みたいです。
追記 一晩経って、ふつふつと切なさよりも多幸感みたいなものが込み上げてます。後半部分がとても自分に刺さって読み返してしかも涙が溢れてしまう。
そして、あとがきが軽やかで、胸に沁みます。本当に良かった。

0

切なすぎて涙が止まらなくなる

読みながら涙がボロボロ出てきて止まらなくなってしまい、どうしようかと思いました…

以下、ネタバレ含むレビューとなります。↓



幼馴染同士の、一方(攻)が一方(受)を追いかける恋。
様々な出来事を経て、やっと苑(受)が明渡(攻)にイコールの気持ちを返せるようになった時、衝撃的な展開が待っていてー

序盤、半ば一方的に苑の体を開いた明渡に少しもやっとしたりしたんですが…
それと同時に、明るくなんでも持っている明渡が、縋り付くように苑を愛する姿に、哀れみのようなものを感じてしまいました。
たとえ自分と同じ「好き」を返してくれなくても構わない、それよりも苑が本当の「恋」を知ってしまうことが怖い。
「好きになるってこんな気持ちかって、苑が知って…俺としてたこととか、俺との生活とか、後悔する日がきたらって考えたら苦しい。それなら、誰も、俺も、好きじゃないままでいいから傍にいてくれって思うよ」
ああ恋って、こんなにも人を弱く脆くしてしまうものなんだな、と。。胸が締め付けられるって、こういうことか、、と。

作中で苑が自分自身でも語っているように、二人の関係は常に一方的で、苑は明渡のことが恋愛的な意味で好きだったわけではないんですよね。むしろ明渡のはとこの女の子にほのかな好意を抱いていたぐらいで…

そんな二人の関係が、明渡の頭痛から始まった病気の発覚、そして手術後に大きな変化を迎え、もう切なくて涙なしにはページを捲ることができませんでした。( ; ; )

衝撃的な別れからの再会、そして希望の残るラスト…
”あとがきにかえて”のSS「アイス」には本当に救われた気持ちになりました。

続編があることを今知ったので、これから続きも読んでみます。
二人の未来に明るい光がありますように、と心から願わずにはいられない、切なく美しい作品でした。

0

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