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この物語の主な登場人物は、スペイン人と日本人のダブルで高校生の宮、叔父で若手陶芸家の鼎、鼎の親友・高砂、宮の親友・国生、そして鼎のパトロンで愛人の万座です。
宮、鼎、高砂、国生の四人の視点で語られる各ストーリー。
読んだ後にもう一度冒頭の名言に戻ると、胸に迫るものがあります。恋や人生に迷うのは古今東西皆同じなのだと、あらためて気づかされるのです。
数々の名言は、シェイクスピアやゲーテといった名だたる先人たちによるもののようです。名言とのコラボレーション。とても面白い小説の形だと思いました。
セキュリティブランケットとは、心の安心感を得るための「安心毛布」のことだそう。
臆病で優しい宮の安心毛布になるのは高砂かしら?とふわふわ甘い期待をしながら読んでいましたが、次第にもつれる五人の関係にときめきどころではなくなり…。
初めのうちは、宮と高砂の両想いと鼎・国生・万座の三角関係は、関わりがないように見えました。しかし読み進めていくと、高校時代、高砂と鼎が実は両想いだったことが分かります。あまりに互いが大切で、告白しないまま別々の道を歩んだ二人でしたが、長い年月を経た今、宮と高砂のことを知った鼎は、まだ自分が高砂に想いを残していることに気付いてしまい…。高砂・宮・鼎も三角関係になりそうです。国生が鋭く鼎の気持ちに気付いて、途中から波乱の予感しかしませんでした。
でも、高砂のほうは鼎への気持ちに区切りがついている気がします。
数年前、会社も恋人も失いどん底の高砂を鼎が訪ねたことがありました。二人とも酔いつぶれ、互いに相手が眠っている間にキスしたのですが(二人とも自分がキスされたことを知らない)、そのキスの意味が違っていたのです。
高砂から鼎へのキスは、自分を立ち直らせてくれた友情に感謝し、懐かしい昔の恋に決別するための終わりのキス。鼎から高砂へのキスは、弱り切ったかつての愛しい男を、ひとときでも自分のものにしたくて落とした始まりのキス。
宮と高砂と鼎、鼎と国生と万座、この二つの三角関係を結んでいるのが鼎なのですから、鼎がこれからの展開のキーパーソンになるのではないでしょうか。
鼎は高砂に気持ちを伝えてきちんと失恋したほうがいいと思います。そうでないと、国生、万座のどちらとも先に進めないし、宮ともわだかまりが残ってしまいます。鼎に頑張ってほしいです。
傷ついた宮が心配でたまりません。謎の外国人詩人さん(実は宮の…)、誰のところにも行けない宮の安心毛布になって包んであげてほしい。
宮、高砂、鼎、国生、万座は、どのように向き合うのか。
みんなが幸せになりますように…。
心して下巻を読みたいと思います。
作家買い。
ネタバレ含んでいます。ご注意を。
主要な登場人物は5人。
高校生の龍之介。
龍之介の母親の弟で、姉(龍之介のお母さん)亡きあと龍之介を引き取り育てている新進気鋭の陶芸家の鼎。
鼎の友人・高砂。
龍之介の幼馴染で親友の国生。
鼎のスポンサーであり、愛人でもある万座。
視点はほぼ龍之介で進むこともあって彼が主人公なのかと思いきや、この5人の関係が複雑で、だれが主人公、と言い切れない濃ゆいお話。全員が全員、それぞれキャラがたっている。
龍之介は物心ついた時からスペイン人という父親の顔を知らず、水商売をして自分を育ててくれた母も子どもの頃に事故死する。もともとネグレクト気味だった母親ではあったものの、それでも母を亡くし天涯孤独になった龍之介の子ども時代が過酷すぎる。
そんな龍之介を引き取り育ててくれた鼎との出会いによって龍之介の人生は一変するのだけれど、それでもなお、彼の子ども時代の記憶が彼の性格を決定づけている。そして、その彼の性格がこのストーリーの大きなキモになっているのは、さすが凪良さんといった展開でした。
龍之介はめっちゃいい子なのだけれど、出てくる登場人物たちもまた、みんないい人なんだな…。
綺麗なビジュアルに相反するような、豪胆の性格の鼎。
その鼎に恋する国生も、そして万座さんも、いい男なんです。
そして、鼎の良き友人である高砂さんも。
なので、彼らの秘めた恋心がなんとも切ない。
序盤は鼎を国生と万座さんのどちらが手に入れるのか、という話なのかと思いつつ読んでいたのだけれど、え、そうくる?という鼎の切ない恋心に萌えがぎゅんと滾り、そして落涙した。
登場人物が多い今作品において、誰に感情移入するか、誰に共感できるか、で読み方が変わるように思います。
お互い、みんな大事な人で、形は違えど愛情に満ちた関係の彼ら。
そんな関係の彼らの恋のゆくえはいかに。
できれば、だれもが泣くことなく、丸く収まってほしいのだけれど。
登場人物が多く、伏線がそこかしこに撒かれた複雑なストーリーであるのにもかかわらず、伏線を回収しつつ話が絡まることなく進んでいく展開はさすが凪良さんといったところか。
終盤に「爆弾」が落とされたところで上巻は終わり。
これから彼らがどういう未来を描いていくのか、非常に楽しみです。
早く下巻が読みたいです。
これから下巻読むけどその前に上巻の読後感というか覚書として簡単な感想!
愛についての箴言みたいなタイトルが各章についていて、その章を表してます。
まだ上巻だけだけどこの小説は凄い!
宮くんの境遇哀しすぎます。でも鼎ちゃんと暮らせて良かった!
宮くん、本当に可愛い。
私にとっても最愛の息子です。(←誰だお前w)
健気で不憫なお話だけでなく、4人+αのそれぞれの事情が複雑に絡まりすごく絶妙に編みこまれています。
これから下巻!どう編まれていくのか、もしくは解けていくのか・・・。
とっても楽しみ!
揃ってから読んで良かった~!
コミコミ特典のssは春夏秋冬で彼らの過去がちょっぴり覗けてほっこりする1枚でした。
必読です!
発売してわりとすぐ拝読した時は
え、嘘、そこでまさかのあー待って待ってどうなるんだ!?と
だいぶ落ち着いていられなかったので
久しぶりに再読させていただきましたら
やっぱり落ち着いていられませんでした。
龍がどれだけ不憫なんだろうと涙無くしては読み進められませんし
鼎の深い愛情にまた泣いてしまいますが
自身では白黒はっきりさせられない想いがあったり…。
見習いたいくらいの高砂の忍耐力と優しさ、
国生の若者らしい一途で怖いもの知らずな恋心、
万ちゃんのこれぞ大人の男という懐のでかさなど
交差する気持ちがめっちゃスクランブル!!!
それぞれがもちろん真剣で想いを遂げたいけど
わがまま放題でいられるわけがないし(一部を除く)
相手を慮るのも人として当然なわけですよね。
自分の気持ちですらわからなくなったりするんだから
他人の気持ちなんて知りたくてももっとわからないのに
愛が深いがゆえに「きっとこうなんだろう」という前提で考えられる面々がとてもいとおしいのです。
気遣いあうのも大事だけど本音をぶつけあるのはもっと大事。
色んな事情がありながら、みんなに幸せになってもらいたいと心から思える上巻でした。
ちなみに私はどうしても年下攻め×年上受けが好きなので
やっぱり国生のかたを持ちたくなってしまう…。
どうしようもなく好きなのに打っても響いてくれないようなあの感じ…。
当初は登場人物とカップリングの多彩さに頭の整理が追い付きませんでした。
ちよっと落ち着け自分。一回整理しよう、
と何度立ち止まって読み返した事か…
複数キャラがここまで絡んで進行するお話ってなかなかない気がします。
キャラ一人一人がどれも際立っていて、うるさくなりそうなのに上手く絡み合っていて。
今後の関係性がどう展開していくのかがとても気になります。
あー早く続きが読みたい!
上巻しか買ってなかったのをとても悔やんでます。