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表題作はつこいの死霊

三峰智,学芸員,かつての裕一の隣人
菅谷祐一,建設会社員

あらすじ

母親の浮気に嫌気がさしていた智はアパートの隣人である裕一と仲良くなる。誰かを好きになることはない、無意味だ、という智に「それでもきっと誰かを好きになるよ」と慰められた夏休みのある出来事。それが10年後に初恋の死霊となって息を吹き返すとは思ってもいなかった…。全ての不幸の元は初恋の祟りである。(カバーより転記)

作品情報

作品名
はつこいの死霊
著者
草間さかえ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
東京漫画社
レーベル
MARBLE COMICS
発売日
ISBN
9784902671087
3.8

(89)

(39)

萌々

(18)

(18)

中立

(7)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
23
得点
328
評価数
89
平均
3.8 / 5
神率
43.8%

レビュー投稿数23

いい!!そして霊は出てこなかった!!

知っている人からすると「は?」ですよね。
ホントに馬鹿、自分でも呆れます・・・、
読む前は、初恋の人が死んじゃって霊になって出てきて、
表紙に沢山動物の絵が描かれているので、動物に輪廻もあり~~みたいな話かと。
だから評価が割れているのかと(今考えたらアリエナイ・・・)。
読んだらもちろん全然違う。
そして読んだら、
今までそんな訳分からん理由で回避していた自分を殴りたくなるくらい、かなり好みの本でした。


初恋の相手に振られたら、その振った相手は呪われる。
この本は、そんな眉ツバっぽい話を聞いた15歳の中学生の、10年後のお話。
少年はその話をしてくれた大学生に、それこそ初めての恋をする。
しかし衝撃的な事実が発覚し、想いは叶わない。
10年後お互いに大人になり、その初恋の相手に再会して・・・

10年後も初恋の相手を想っているなんて、とても一途。
でも、15歳だった少年は一途なんて言葉は全然似合わない、冷めた目をした男(攻め)に成長。
その無愛想な外見と、内に秘めた情熱のギャップがいい。
無理にヤっている様に見えて、ちらほらと優しい一面が顔を覗かせるのもいいなぁ。

受けはヤられながら何を思うのか・・・
自分の方がずいぶんと年上で、10年前は弟みたいな男の子だった。
それが今ではすっかり成長して、
冷静な目で自分を見下ろし、
未使用のケツをゆっくりと指で広げ、
触られると痛くなるほどまでに執拗に乳首を弄ってくる・・・

官能的な描写の合間に、説明されすぎない過去が見え隠れ。
そして、初恋の呪いの話が思い出され、
読者の思考と想像力を刺激する。


簡単明瞭なストーリーではないけれど、だからといって難しいばかりでもないと思う。
描き下ろしで明かされる、
「全ての根底に関わる重大な何か」には笑える。
そうくるのかーーーとw
でも、恋ってそんなものかもしれない。
呪いでも死霊でもなんでもいいから、とにかく自分を覚えていてほしい、
そんな強い想いが十分すぎるくらい育ったら、もう始まりなんてそんなに重要じゃないのかも。


このふたり、更に10年後も気がついたらきっと一緒にいて、きっと幸せだ。
そう思わせるような最後の穏やかな余韻が心地よく、とても読後感のいい一冊でした。


10

ぞくぞくする擦れ違いのストーリー

草間さかえさんの作品を初めて読ませていただきましたが、
これがびっくりするほど私のツボど真ん中を押し捲りで、好き過ぎてどうしよう・・・と悶えてしまいました。
何度読み返しても面白く、ますます深みにはまる自分がいます。

過去を忘れたかった男と、過去を大事に胸にしまっていた男の再会のストーリーで、
お互いの記憶と認識が違う為、最後まで気持ちがすれ違い続けます。
しかけた側である智の裏に隠された純情が端々に見て取れ、たった3日間で祐一との関係をどうこうしたかっただなんて、泣かせられるほど可愛い・・・。
彼なりの必死さが、読むたびに胸をついてきます。

祐一としても、かつて可愛がっていた弟分に対し償いたい気持ちと、無理やりでいて優しくも接する智に逆らえきれない心情との揺れがあり、
さらには過去に捕らわれ続けて、今を流れるように生きている現状がある。
そんな彼の心に問いかけるような智の言葉が印象的で素敵。

振り回してるようで振り回されてる。
そんな二人の関係性が見ていてぞくぞくするし、最後にやっと彼らの”今”が重なったかと思うと、じーんとしてしまうのです。

追加の話で、なんだ彼は天然だったのか!というオチがいい。
さらに表紙裏ではあっさりオヤジ化してて落してくれる(笑)
本編でもシリアス展開ながら、所々くすっと笑わせてくれるところがまた好きです。

画面の使い方も非常に巧みで、多くを語るドラマチックなシーンが満載です。
たったこの1冊の中に、彼らの過去と未来が表されている。
凄い才能だと思い知らされました。

7

目つきがセクシーな強気年下攻め

草間作品のマイベスト更新。またまた鼻息が(*゚∀゚)=3

◆あらすじ◆

叶わなかった初恋の想いは、成仏できない霊のごとく振った相手を祟る――
中学生のトモにそう教えてくれたのは、隣りに住む大学生・裕一。
或る日、裕一に唐突にキスされたトモは、初めて恋を知ります。
ところが裕一はなんとトモの継母の不倫相手だということが発覚。トモの家は一家離散、裕一も消息を絶ちますが、10年後2人は偶然再会します。
裕一の仕事上の弱みに付け込んで、「取引」と称し関係を迫るトモ。
しかし、裕一はどうやらトモのことを全く覚えていないらしく――そして、裕一もまた初恋のトラウマを引きずっていることが明らかになります。
果たして2人の抱える初恋の死霊は成仏させられるのか?
建設現場の地底に眠る忘れ去られた無縁墓地の掘り出しに絡めて、掘り起こされた失恋のボーレイと向き合っていく、エロくも切ない再会ものです。

◆レビュー◆

草間さん定番の年下攻め。
ただ、この作品の攻め・トモは、草間作品の中ではかなり甘さ控えめ、かつ執着度は最高レベルかと。
表紙右がトモ。このポーズだけで、彼の執着キャラっぷりが十分伝わってきます。
表紙絵のトモの眼ヂカラも印象的で。
10年前、自分に不完全燃焼な想いを植え付けて目の前から姿を消した男・裕一に対する愛憎を湛えたトモの眼…すごくセクシーで、萌えました(*゚∀゚)=3
正直トモの眼付きが悪くなければ、「はつこいの死霊」がマイベスト草間作品になることはなかったかも。そのくらい、トモの眼はこの作品の目玉かなっと思ってます。(シャレじゃないですよ☆彡)

エロもかなりの充実度。
蕎麦屋の個室で祐一の手首をネクタイで縛ってB地区攻め、電車の中で裕一のYシャツの上からB地区攻め…など、素敵シチュエーション満載。
ノンケと言い張る裕一がやたらB地区で感じてしまうトコがポイントです。

一昔前の失恋の復讐というメインのストーリーに、古寺の隠居を長年苦しめている「無縁仏の骨」の話を絡めて展開させるあたりも面白い。どちらも死霊がらみ。
もっと無縁仏掘り出しのエピソードを厚くすれば、2時間ドラマが作れそうですね。
ちょっとこのエピの絡み方が弱いかなという気もしたのですが、ラブストーリーがメインの作品だし、無縁仏エピは物足りないくらいがバランスがいいのかもしれません。

さて、10年前トモにキスしたことをどうしても思い出せない裕一ですが、これについては最後にとっても納得できるオチが用意されています。
・・・たしかに。思い出せない理由って、それしかないですよね。
トモにとっては残酷な真実。でも、初恋らしいほろ苦さを残したこのラストは、とても好きでした。
現在進行形の2人は幸せなわけだし、「はつこいの死霊」もきっと成仏できたはず。

ちなみに、最後のオチのほかにもこの作品にはハズシのモチーフがいくつか仕込まれています。
一度めは、蕎麦屋の個室での濡れ場シーン。足音が近づいてきて、ガラッと襖が開き――あわやホモ発覚の大惨事?!…と思いきや、襖が開いたのは隣りの部屋、なシーン。
二度目は、トモが裕一をラブホに連れ込む…のかと思いきや、ラブホの裏口へ抜けたところにオシャレな古いアパート=トモの家が…なシーン。(バリバリ違法建築~w)
そしてラストの、そもそも論に遡る盛大なオチ。
こういうハズし方、軽妙で楽しいです。全体に重い話を、抜け感を作ることで程良くライトに見せていく――というのも、いつもながらの草間作品の魅力ですね。
10年近く前のコミックスですが、古さは全く感じませんでした。まだまだ旬です。

7

え!?この作品ってこんなに評価分かれるんだ・・・

草間先生の漫画を数冊読みましたがこれは嵌りました。
評価をみたら結構微妙で驚きました。
何回も読み返すほど私には合いましたが・・・
草間先生の絵って独特なので最初は苦手でしたが、木原先生のノベルのイラストで
好きになって漫画も読むようになったらいつの間にか嵌ってました。
読後感がいつも良くて、この作品に関しては凄く純愛に感じました。
攻様が凄く受様が好きなのが行動の所どころにでていて幸せな気持ちになりました。

5

こういう乾いた雰囲気もいいですね。

初恋の死霊に取り憑かれた二人の話。
流石、草間さん。
「地下鉄の犬」や「真昼の恋」のようなあまあ間もいいのですが、こういう乾いた雰囲気もいいですね。
最後に行き着くところは同じなので安心しましたが。
「この先あんたが被る全ての原因の俺の事を忘れるな」って、もしかしてものすごい熱烈な告白なのではありませんか?

お話もさるとこながら、装丁も素敵です。
タイトルの入れ方や、使用するフォントがたまらないです。
表紙の背景も若冲のようで素敵です。

4

この作品が収納されている本棚

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