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冷徹な獣魔王×生け贄の青年の、幻想的ラブファンタジー!
挿絵の角がとにかく素晴らしくて、いろんな角度から立体感を楽しめる角のイラストに見入ってしまった。ストーリーは不憫な健気受けがワケあり攻めと幸せになるファンタジー。善人すぎた学者魔人のキャラが一番魅力的だったかも。
生贄にするために育てられたフェイは、小鳥人の証になる翼を隠し続けて生き、獣魔王に捧げられる。経緯は胸糞だが、フェイ自身が目的をもって乗り込んでいたので良かった。怯えるだけの主人公じゃないのが救い。
獣魔王の貢物として過ごす日々は、ほぼ学者魔人に支えられていたと思う。危険を冒してまで守ろうとしてくれた初めての存在。獣魔王からもらう初めてより、よほど惹かれる要素がある気がしたが、フェイの好みは獣魔王だったらしい。
フェイと獣魔王には、精神面で相互救済的なところがある。獣魔王は秘密を明かし、フェイは明かしていない状態なので、獣魔王の方が依存度は高そう。
初Hはちょっと……。はやく終わって!なんてフェイの心の声を聞いたら、獣魔王泣いちゃうのでは。
そしてピンチからのフェイの暴走は、なんでそんなことを?と共感できなかった。フェイがボロボロにされても強権を発動しない獣魔王もよく分からない。何もできない、影響力のない名ばかり王様なのか?と不思議。
結末は、フェイの自己犠牲から始まり、獣魔王の自己犠牲で終わった感じ。
その後の再会はあっさり。獣魔王は皆に敬われる環境で過ごしていて、追いかけて来たフェイとめでたしめでたし。2回目Hでやっと心がつながった感があったのは良かった。というか獣魔王に良かったね、と言いたくなった。
二年で魔人と人間が平和交流するご都合展開にびっくりしつつ、他に多数ある設定のおかしさはもうルビー文庫だから仕方ないと思うことにした。
BL重視な感想は、不器用で闇を抱えて生きる獣魔王が切なく、フェイに救われて本当に良かった。フェイは学者魔人に救われたところが大きく、もっと獣魔王の存在感が大きくなるエピソードで萌えたかったかな。
なぜに小鳥なのかしら?
弱々しい風を感じさせる為かしらね。
狩られる側だったという事はわかるけど、なんで獣人と魔人とそんなに敵対してしまったの?
割と強く強かな種族そうに思えてしまうの。
猛禽って感じしちゃいました。
ま、そこはどうでもいいか 笑
獣魔王様が一番人間くさいよねー。
こんな上司がいたらいいなぁと思う。
フェイの育った村の人達もちょっと人間離れした感覚だった。
魔人さん達の方が人間くさい感じ。
この世界的にはそうなんだ。と思って読んだ。
主要な登場人物はみんな好感が持てるキャラだったので、すごく楽しく読んだ。
主要人物に好感が持てるって私的にはすごく重要なのよね。
泣いて泣いて目が痛いです。
今ものすごくしたいことは、ホワイトボードかノートにこのお話のキーポイントを書き出して、そのタイミングのズレを矢印で合わせて、どうすればより平和で甘々になったかの検証です。
なぜなら絶妙なズレがあるのです。
今わかるか!なぜ今ばらす?なぜもっと早く明かさなかったの?そうすればもっと平和に決着しただろうに…と。
しかしそれこそがこのお話がここまで感動して泣ける所以なのです。
なにしろまず最初の1/3は受けフェイと攻め獣魔王がほとんど言葉を交わさず交流もありません。
そして段々とお互いのことをわかるにつれ心あたたまり。獣魔王の不器用な優しさ、フェイの健気さにお互い好意が恋情やがて愛情に変わり…。これが途中の1/3。
計画が破れたフェイの絶望。
それでもこの獣魔王のためならと頑張るフェイ。
そんなフェイを必死にかばってくれる学者魔人。生まれてから初めて人にがばわれるフェイ。
実は獣魔王はこれまでの生贄を…。
そして獣魔王の真の姿とは…。生まれた目的とは。
不器用に愛し合う二人。けれどそんな蜜月は突然終わり。
獣魔王を庇って一芝居うつフェイが!それを見守るしかなかった獣魔王が!
フェイの処刑の場で獣魔王が!フェイの命だけは助けようとするその気持ちは泣けるのです。
ですが、なぜ先に手を回しておかなかったの?
そうすればあんな別れ方にならなかったのに。
2年後…。獣魔王は北の湖畔の村でボロボロの毛皮を羽織って薪拾いをしていて…。
だから!上手く手回しすればこんなことにならなかったのでは?と不粋にも考えてしまいます。
無事にフェイとも感動の再会ができて。良かった。
生涯たった一人の番。二度と会えないとしても他の人に心を動かすことはなかったと獣魔王。泣ける!
小鳥人の知恵のあるフェイと魔力のある獣魔王が村を平和に、魔人も訪れるようになったとさ…。
え?魔力まだあったの?ならなんでボロ着きて薪拾ってたの?
ツッコミだらけですみません。でも気持ちのいいツッコミです。
あれをここに、それをあそこに、とタイミングをずらしたい!とウズウズしますが、いやいや。
これが完成形なんです!
魔人と人間と獣人と獣と小鳥人(翼の生えた人族)がいる世界。
魔人と獣人を束ねている獣魔王(攻め)への貢物として育てられた捨て子のフェイ(受け)。
人間は忠誠の証として3年に一度獣魔王に貢物を出さなければなりません。
貢物には小鳥人という獣魔王に逆らったという種族を差し出す決まりなのですが、激減した小鳥人のかわりに、今では18歳の人間(金髪翠眼)が選ばれています。
それを獣魔王の島・天空城のある湖のそばの7つの村で順送りで担当することになっています。
今年はフェイのいる村です。
フェイは貢物にされるために村の外から買われてきた子供でした。
いずれ獣魔王にお仕えするためにと大切に育てられていたフェイですが、10歳の時その真意を知るのです。
その時のフェイの絶望は想像するに辛い。
それでも、フェイはとても強い心の持ち主でした。
どんな時でも自分が生きる道を探すのです。
自分が実は小鳥人だと気付いたフェイは、親がきっと探しているはずだと、小鳥人との交信方法を探し、貢物となってもすぐには食べられないように様々な知識を蓄えながら貢物になる恐怖に耐えるのです。
恐ろしい獣魔王の前に連れ出されても、勇気を振り絞り自分の知識を披露しまふ。フェイの知識が欲しい側近の学者魔人のとりなしもあり猶予がもらえるようになってからは、助かる道が閉ざされてからも、自分のことを心配してくれる学者魔人や獣魔王のために命の限り役に立とうとする姿には、涙が止まりませんでした。
貢物になることが決まっていたフェイは誰からも心から心配されることがなかったのですが、
自分を食べる存在であるはずの魔人に世話を焼かれたり心配されたりする姿は、なんとも皮肉でした。
フェイは物事を俯瞰でみれる公平な人物です。すべてに対して善人など存在しないと断言し、村人たちは自分たち捨て子にとっては貢物にしたり売春させたり酷い人たちですが、本当なら死んでいた自分を育ててくれたと感謝し、家族や村人たち身内にとってはいい人だと、それぞれの立場の違いからくる行動を肯定できます。
これはなかなかできることではありません。
そして、その広い心で獣魔王の孤独で優しい心を読み取り寄り添いずっと一緒にいたいと獣魔王に言わせるくらい心を開かせるのです。
また、フェイがすぐに食べられないように進言してくれた学者魔人はとてもいい人で、フェイを助けるために敬愛しながらも怖くて仕方がない獣魔王に対して意見したり、具合が悪くなったフェイを無理して看病したりと、生まれて初めてフェイ自身を気遣ってくれるのです。
時間をかけて獣魔王の心を開かせたフェイが獣魔王と両想いになってからは幸せな日々が続きます。
今まで辛い日々だったフェイの幸せがいつまでも続くようにと祈りながら読んでいましたが・・・
獣魔王が両想いになったうれしさから、注意を怠り二人は再びピンチに陥ります。
その後は互いがお互いを想いあい、命を捧げようとする気持ちは痛いくらいでした。
不思議に思ったのは二つ。
フェイを助けるための獣魔王の決断には心が痛かったですが、もう少しうまく立ち回ることはできなかったのかということ。
獣魔王の弟はとても理知的な人であったのに、何故周りに相談するという手段をとれなかったのか。そうすれば、もう少し優しくエンディングへと着地できたと思うのです。
そしてもう一つは、生き別れになった二人が再会してから数年ぶりの幸せな一晩を過ごした朝、
「奥さんが戻ってきたら・・・」といったフェイのセリフ。
これはいらなかったな、
獣魔王が新たな番を持っているかもしれないと心配しているのであれば、最初に確認するべきだと思うし、再会してからの獣魔王にそんな気配なかったのに。
できれば、獣魔王の出生の秘密とかこの世界の仕組みとかもう少し詳しく知りたかったですが、お話としてはいっぱい泣いて、最後は大団円で心穏やかに読み終われたので、神よりの萌×2で。
長い間BLを読んでいると「人生で一番大切なのは恋!私は恋に生きるっ!」と単純に言えたら良いのにねぇ……と思うことがままあります。
でも実際の世の中はそんなに単純ではないですよね?
特に社会の中で『責任』なんていうものを持ってしまったら、なかなかそうはいかない訳です。
で、責任というやつは重くてしんどいものなんですけれども、それと同時に甘美なものでもあるんですよね。誰かの生活を背負って立っているからこそ、自分の価値も信じられる。
だからこそ、背負っている人達と愛する人の存在を秤にかけなければならない事態に陥ってしまった時、登場人物は悩み苦しむ訳ですよ。
私、攻めさんがこの『悩み苦しむ』をやってくれるお話が大好きなんだなー!
この本はまさしく、まさしく、そういうお話でございます。
苦悩する獣魔王……ああ、美味しすぎてたまりません。
もう一つ、このお話が面白いのは『文化の衝突』を描いているようにも読めるところです。
魔人や獣人は、人間や小鳥人のことを『食べるもの』と思っているんですね。
で、人間にとって魔人や獣人は『自分たちを喰らう恐ろしいもの』でしかない。
でも、生け贄として獣魔王に捧げられたフェイは、そして反対の立場に立っている獣魔王や学者魔人は、お互いに交流する中で単に『喰い、喰われる立場』ではないものを見つけていくんです。
互いの中に尊敬すべき点を、愛すべき点を発見していく、という。
これがね、なかなか私の心を大きく揺らしてくれたんですよ。
互いの違いは人間か魔人か(あるいは獣人か小鳥人か)ということではなく『そいつがイイ奴か、嫌な奴か』という点に尽きる訳です。
ハラハラドキドキする展開が続くだけでも面白いのに、お話の後ろに控えているテーマがそんな風なので、読み終えた後かなりすっきりと美しい気持ちになりました。
……いや、攻めさんの悩みっぷり、苦悩っぷりに大萌えしただけなのかもしれませんけど(笑)。