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もう終始、淫靡です。
梔子島はいわゆる売春島。
今もまだあるのかな…
そうとは知らず島に訪れた、成功者の諏訪。
島でひとりの男娼、崇生の魔性にとらわれ
堕ちてゆく。
15歳、500万で祖母から買い取り、
恋人を男娼として仲介する、
プライドを捨てきれず崇生に手をあげる、、、
綺月先生の容赦ない展開。
トップに君臨していた諏訪が梔子にとらわれて、
堕ちて、ふたりの土壌に種を撒いて、小さく芽吹かせ、ふたりだけの愛のかたちを見つける。
最後に救いがあります。
実存する島を題材にして、こんな事もあったかもしれない、というサスペンス浪漫でした。著者は、BL作家というより、社会派なのかもしれない。
著者の作品のシナリオのアイデアは、なにかの報道を読んで、ヒントを得ているようです。
「背徳のマリア」も、実際に「男性の出産は可能」という研究論文が報道にありました。この作品のモデルの島も実存しています。
誰も触れたがらないタブーに目を向けて、BLのテーマにする著者の社会意識を評価したいです。
「エログロが得意なキモチワルイ作家」と某担当に言われて鬱になり、休筆していた著者を正しく評価してあげないと、気の毒です。
大きな社寺の門前町には、大きな花街がセットで存在するのですが、伊勢神社近くの売春島の歴史は、古いです。梔子島(くちなしのしま)は、架空の島の名前ですが、実在するそれらしい島があります。
「売春島」でググルと、
【売春島こと渡鹿野島は三重県志摩市の東部、カキの養殖で知られる的矢湾の中央部にある。周囲約7キロ、人口200人ほどの小さな島で、渡航手段はピストン運航するポンポン船(小型船)だけ。本土から隔離された島にはスナックやパブを隠れ蓑にした「置屋」と呼ばれる娼婦の斡旋所が点在し、管理売春で栄えてきた。】・・などなどがヒットします。ここは、警察と癒着した反社が仕切っている置屋の島で、恋人に騙されて売られた少女が、遠泳して島から逃げた実話もあるそう。
でも、島の人は、娼婦を大事にして、苛めたりしていなかったらしい。
江戸と大坂を結ぶ航路上に位置した島は、多くの船が停泊する「風待ち港」でした。
2016年5月の伊勢志摩サミット開催前に、「会場の賢島の目と鼻の先に、こんな売春島があっていい」と告発ルポが週刊誌に沢山出て一掃されたので、今は多分置屋は消えて無いのでは?
将来に光が無い売られた男娼の魅力に溺れて、共に堕ちていく或る男性の物語でした。バッドエンドです。
ちるちるの「腐女子・不朽の名作20選エロエロ編20選」に選出されていて以前から興味はあったのです。
ただこういう島が実存するとオッチャン御用達の週刊誌にもあったし(何を見て、そして何を記憶に留めてるんだ私)、そうそうオッチャン達をトリコにした失◯園あたりのエンディングでしょ?
ふふふ、BL1500読破のアタシにゃ(オッチャン御用達週刊誌もカバーしてまっせ)御見通しさ、あー、でもやっぱり"不朽"って気になる!
と買って読み始めてエロチックな描写には満足しながら、でもやっぱりエンディングはねー、このあらすじとロケーションならこうならないわけにはないわと233ページまでは思っていたのです。
でもそこからが"不朽"たる所以のストーリーでした。こんな伏線があるとは!
途中までが文章は滑らかだけどやっぱり既視感があるので萌え2止まりですが、やっぱりこのエンディングが好きなので神にしようか迷った作品でした。
私のような理由で迷われてる方(オッチャン御用達週刊誌読んでる方か?!)そう厭わずにちるちるの評価を信じてぜひぜひ御一読して欲しい1冊です。
綺月陣さん初読みでした。BLノベルは出來の振り幅が広くて、素人?みたいなものがあるかと思えば、構成も文章もしっかりとしたものもあり(少ないけど)、今回は後者で読み応えありました。読み出したら止まらず、一気読みでした。あらすじを見ると非現実的な設定なんですが、心情の描写に無理がなく、また、実に官能をそそる文体です。
あらすじは、華々しい活動をしているデザイナーが、それと知らずに売春が行われている鄙びた島に来て、気まぐれに会った男娼に一目で虜になってしまうというお話し。梔子(くちなし)が咲き乱れる島の風景と、男娼、タカオから漂う強烈な梔子の香りが、匂い立つエロティシズムを感じさせます。貧相な小屋に暮らす孤島の男娼、それにのめりこんで今の地位を失うデザイナー、暗く退廃的な雰囲気に貫かれた作品です。
セックスシーンは多いのですが、全く自然な形で挿入されますし、とにかく攻め、慎也がのめりこむのも理解できるようなタカオのカラダ、行為の描写が実にエロティックです。いや、ティックではなく”エロ”です。慎也という名前はこれまた、いやはや。
物語は攻めの一人称で書かれています。最初は、自分のステイタスを自慢するような表現が多く、この本こういう調子なのかなー、やだなー、失敗したかな-、と思っていたのですが、それが男娼にのめり込み堕落して行くにつれて変化し、うまいなと思いました。
その後、慎也は仕事もまともにできなくなるほどのめりこみ、今の地位を失います。何も知らずに育ったタカオに東京の生活は合わず、島では慎也の仕事は続けられない。一緒に暮らすすべはないように思えます。慎也はお金も仕事もなくなり、しまいには自分の愛しい恋人の体で生活するところまで落ちぶれます。が、このまま堕落話で終わらないところがよかった。
タカオからヒントをもらい、慎也は自分が本当に創りたいものを見つけます。小さなところから始めた事業は成功し、二人だけの生活を手に入れるのです。慎也の自己充実のストーリーでもありました。
今までの評価を考えると星5相当なんですが、個人的に”萌えっ!”なところまでいかなかったので4つです。作品としての完成度は高いです。
BL小説はあまり読んだことがないのでどの辺の評価をつければいいのか迷いました。
渇仰を読んで小説も面白いかも??と興味を持って、高緒拾さんのイラストに惹かれて読んでみました。まだ読んだ小説はこれが3本目です。
そんな初心者目線のレビューをば。
よく仕事も忘れてのめり込む、なんて言いますが文字通りそれをやってくれる攻め様。受け様の前に完全に理性を吹き飛ばされてしまう攻め様なんてはじめてでした。いつもだったら、アリエナイと引いてしまうのに、なぜかこれは引きませんでした。
そうはいってもどこかで持ち直すだろうと思っていたら、ほんっとに際限なく馬鹿になっていく攻め様に唖然。受け様の性欲も際限ないけども。魅力のすさまじさが際立ちました。
私は梔子がとても好きなんですが、あの香りが好きな方にはいいんじゃないでしょうか。
なんだか、この作品はBLというよりも、それを通して「梔子」を描き切った作品のように思えてならなかったので。