ぱるりろん![]()
「フィギュアスケート」を共通テーマに3人の先生方が寄稿したアンソロジー。2018年発行の同人誌なので今とはスケート事情がちょっと違うところもありますが全く無問題で読めます。
1作目「きみは僕のスター」(杉原理生先生)
成績が伸び悩んでいる光流の目下のライバルは2個下の瑛太。子供の頃から自分に懐いていた瑛太は今や国際大会に出場して知名度も技術力も高くなってしまったのに、インタビューでは光流のことを憧れだと臆面も無く言ってのける、というお話。可愛いです。可愛いです。瑛太→光流の矢印が強々で大変によろしいのです。氷の王子様が光流の前ではただのわんこになるのがとても良いです。つ、続きはないんですか!切実に続きが読みたいです。
2作目「雪とスケート靴」(木原音瀬先生)
オリンピック選考で、国内選手権2位だった自分の生徒が出場選手に選ばれなかったことにショックを受けるアイザック。スケート連盟の選考委員の一人であるダニエルに食ってかかるが、かつて選手時代、同じくオリンピック選考で明暗を分けたライバルだった、というお話。二人は現役ではなくて教える側、滑る場面などないのに二人がどんな選手だったのかが手に取るように分かります。アイザックがダニエルに向ける敵愾心が少しずつ緩んでいく片鱗が見えて、今後二人の関係が変わっていきそうな予感とともにエンドマークなのが心憎いです。続きがあったらこのおそろしく不器用なダニエルの恋情も少しはアイザックに届いたりするでしょうか。
3作目「先輩神様恋人様」(名倉和希先生)
20歳の海斗は先の世界選手権で4位入賞という好成績を挙げた有望株。海斗のやる気の元であり心の支柱は7歳上の先輩スケーター伊吹で、海斗が小学生の時テレビで見てからずっと憧れの存在。打ち上げの二次会で「俺もそろそろ引退かな」との伊吹の呟きに逆上した海斗は引退しないでとせがみ、酔いも手伝って何か怒らせることをしたらしい(が覚えてない)というお話。面白かったです。海斗の先輩愛がうるさいくらい強すぎて、伊吹が「おまえ帰れよ」と邪険にしてもくっついて離れない。ぽんぽん言い合う二人のやり取りを聞いているだけで笑ってしまいました。先生も「続きが書きたいです」と書いてあるので、どこかで続きを読めることを祈るばかりです。1作目と3作目、似たようなシチュエーションなのに作風が全然違い、どちらもすごく楽しく読めて良かったです。
とにかく言えることは3本ともとても良作で読後にやにやが収まらないということです。良い本でした!
