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あらすじ

・変わり者と優等生、幼馴染の歪な関係…/森世
・告白に舞いあがりコスプレH三昧!/志村貴子
・バンドの解散に落ち込む恋人…慰めH突入!/akabeko
・異動してきた新人は異様な瞳でこちらを見る/ひじき

秩序、道徳、善行、そんなものなんの糧になる?
豪華ラインナップで贈る禁断の[サイコパス]×[BL]の世界――ふるえる読み切り全4作!

作品情報

作品名
サイコパスBL
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
eビーボーイコミックス
電子発売日
3.2

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萌々

(4)

(2)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
24
評価数
8
平均
3.2 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

森世さんの作品がゾワっとする反面リアルさもある

森世さん、akabekoさん、志村貴子さん。
作家の観察眼的なものが求められる難しいテーマだけど、執筆陣の作風的に期待出来るんじゃないかしら?と思って買ってみました。

ページ数は以下の通り。
・志村貴子さん・・32ページ
・ひじきさん・・・30ページ
・akabekoさん・・・17ページ
・森世さん・・・32ページ

これちょっとねー、レーベル側の編集が良くない。
表紙に載ってるコピーといい、作品と作品の間に挟まっている赤黒ページのコピーといい、覚えたてのかっこよさげな単語を使いたい中学生か!って感じで、トンチンカン。
邪魔なだけでなく、内容の曲解に繋がりかねないと思うので、削除してほしいですね。

と、先に編集への毒を軽く吐き捨てたところで、さて中身ですが。

森世さんの作品がアンソロテーマとの合致度も含めると頭一つ抜けた秀作でした!
餅は餅屋的な上手さ、さすがです。
主人公は“普通の感性”の善意の第三者。
その目線から見た、クラスメイトとその幼馴染みのお話です。
主人公に対して私が少々棘のある皮肉めいた形容をしているのは敢えてです。
サイコパスな幼馴染み。
そんな幼馴染みを「かわいそう」と思って受け入れているクラスメイト。
そんなクラスメイトを「かわいそう」と思って助けようとする主人公。
読み終わったあとにタイトルが効いてくる。
「みんなかわいそう」
“みんな”と言うからには主人公も含めて“みんな”なのでしょう。
ということは、これは誰の感想なのでしょう?ってところですよね。
作中に出てくるセリフの痛快さ、森世節が効いています。
結局のところ、私はこの作者の世の中の見方が好きなんだと思う。
毒づいて終わりじゃなくって、森世さんなりのアンサーがいつもちゃんとあるから。

次に面白かったのは志村貴子さん。
こちらは正直「誰がサイコパス?」って感じのお話なんですが、一筋縄ではいかない展開のさせ方がなんとも志村さんだなぁと。
最後の主人公の言葉がガツンときます。
「ボクのおちんちんを愛でてほしい」
“おちんちん”を“人からなかなか愛でてもらえない自分の符号(ID)”に置き換えればきっと誰しもが共感出来るはず。


リブレのこれまでの電子アンソロってエロに傾き過ぎててBLを抜き本と勘違いしてるのかな?って感じでしたが、この〇〇BLシリーズとかオメガバースアンソロとかは良い感じですね。
CannaのPetit Cannaなんかもそうだけど、100ページ前後で1冊出せる電子のお手軽感が編集部としてもニッチなテーマにも挑戦しやすいのかな?
今後も色んなテーマで出していってほしいなと思いました。
応援したいアンソロです。

2

「ゾッとするBL」と言われた方がうなずける

4作品収録のアンソロジー。
以下、収録順にざっと。(作者様敬称略)


「転校」志村貴子
のっけから非常に独自な展開ですよこれは。
小学校の同級生と偶然再会。彼は圭のことずっと好きだった、と告ってくる。
速攻付き合うことになって、すぐにラブラブでHもしまくり。
すると宏太は圭にコスプレをして欲しいと言い出し、圭もいい気分でどんどんコスプレHにハマっていくが…
コレね。話はすごく面白いの。ある意味深いし。絵も可愛い。
でもアンソロテーマの「サイコパス」となると、どう?
私のサイコパスイメージが狭すぎんの⁉︎という読後感。

「サイコエッジ」ひじき
元ヤンのリーマン・切瀬が主人公。
ある日、一条という男が別部署から異動してくる。
一条の歓迎会で、切瀬は訳もわからずいきなり一条にレイプされるのだが…
これはコワイ。
でもこういうのもサイコパスなの?という疑問が。
私個人のイメージでは、これは執着ストーカーかな。

「さよならの方法」akabeko
ひとりだけバンドの解散を受け入れられない陰キャのふぶき。
メンバーで恋人のひなたがなだめるけれど…
ラストシーンはゾッとするんです。でもよくわからない。
編集が後付けしてるような「空っぽの男」というサブテーマみたいなお題があるんだけど、これがあってもまだピンと来ない。

「みんなかわいそう」森世
高校生もの。
みんなが忌み嫌う吉田と、吉田を庇う優等生の富士崎のいびつな関係性。
共依存、ていう事かな。


読後感は、うーんなんていうか。
ひとつひとつの作品は十分に面白いし、ぞくっとくるし、作者様の才気を感じさせる。
だけどテーマが「サイコパス」と言われるとピンとこない。これは解釈違いなんですかね。

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サイコパスの本質を見直したい

 サイコパスを題材にするのって面白いと思う反面、とても難しい題材でもあるんだなぁと改めて感じた作品です。まず、変わり者や勘違い人間と、サイコパスとを線引きするのが非常に難しいと思うんですね。けれど両者は絶対的に違っていて、前者は相手の気持ちを正確に読み取る能力が高いわけではないのに対し、サイコパスというのは相手の気持ちをちゃんと把握しながら、それを罪悪感なしに操ったり、分かった上で利己的に行動したりするものなのではないでしょうか。この作品は両者が混在しているような気がしました。

 上記はあくまで私の持論ではありますが、そういう視点で考えると、志村貴子先生とひじき先生の作品はどちらかというと勘違いしてしまう人間の部類だったかなぁという印象です。akabeko先生の作品の攻めはサイコパスの気質はあると思いますが、ストーリーがぶつ切りなのもあって、まだまだ弱いというか、本当に恐ろしいところまで描けていないので物足りないと感じました。森世先生の作品は、攻めも受けもサイコパスというような雰囲気で描かれていましたが、攻めはともかく、受けは攻めのことを理解しつつもただ蹂躙されるばかりなので、仮にサイコパスだったとしても周りに何の害もなく済んでしまって面白みがないのではと思いました。いずれにしろ素人には真のサイコパスを見分けるのは難しいので何とも言えませんが、少なくとも私には、全体を通してあまりサイコパス要素を感じられない作品でした。

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