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……もし俺がアルファでなかったとしても、お前は俺に惹かれたか?
こちら、オメガバース+アラブになります。
海野先生がアラブにオメガバ!?と驚いた所で、「アルファなのにED」と、いかにも先生らしい斜め上の設定に吹き出す事になったんですけど。
いやもう、完全に笑わせに来てるでしょ!?
あらすじで吹き出す作品って、そうそう無いでしょ!?
ところがですね、このギャグみたいな設定が、超深いんですよ。
オチで、こう来たか~と。
運命で結ばれる二人はとてもロマンティックだと思うんですけど、運命じゃないのに結ばれる方が、実はずっとロマンティックなんじゃないの?と。
個人的に、海野先生はハズレが無いのですが、作品の根底にあるのが優しさだからだと思うんですよね。
今回も、そんな先生の優しい眼差しが生きた、とても素敵で感動的な作品でした。
内容ですが、アラブの国の王子(α)・サイード×失業中の日本人観光客(Ω)・泉生によるオメガバースでアラブものです。
ラブコメテイストですが、深みのある感動的なお話になります。
勤めていた会社が倒産し、失業中の泉生。
両親が亡くなった事でがむしゃらに生きて来た彼は、これを機に、憧れていたアラブの国に観光に訪れます。
しかし、その観光中、突然重いヒートに見舞われる泉生。
身の危険を感じる中、助けてくれたこの国の王子・サイードを「運命の番」だと確信します。
ところが、彼はアルファなのにフェロモンの匂いが分からず、更にEDでー・・・と言うものです。
まずこちら、二人のやりとりなんかが、とにかく楽しいのです。
オメガバースと言うと、運命の番がキモになりますよね。
その二人が出会えば、互いに抗えない吸引力を感じ、激しく抱き合ってみたいな。
で、サイードに強く惹き付けられ、当然結ばれるものと疑いもしない泉生。
「(エッチが)初めてなので、優しくして下さい!」みたいな。
すると、「うん、(発情期が初めてなら)それは不安だろう」と言いつつ、アッサリ「もう行かなくては・・・」と去ろうとするサイード。
「オメガのフェロモンを無視して、しかもそんな、なんの未練も無さそうな顔で!?」と焦りまくる泉生。
引き留めようとする泉生と、去ろうとするサイードとで攻防が続くんですね。
挙げ句のはてに、「俺で無いと嫌か?アルファなら誰でもいいんじゃないか?」とサイードに言われ、「偏見です! ぶっ飛ばしますよ!」みたいな。
えーと、これ、運命の番のめくるめく邂逅シーンなんですけど。
あの~、もうこれ、完全に笑わせに来てるでしょう、先生!!
と、かなりズレたトンチンカンな運命の番である二人。
どれほど泉生が運命を感じ、サイードに惚れ込んでも、フェロモンが分からずEDな彼には理解出来ないんですね。
で、こんな「運命の番」でありながら、超一方通行な二人が、いかに心を通わせて結ばれるかと言うのが見所になるんですけど。
う~ん・・・。
こちらですね、結局は運命の番なのに「運命」とか置いといて、普通の恋愛と言うのが面白いんですよね。
泉生が超ポジティブで、ひたすら真っ直ぐなんですよ。
サイードに「大好き」と言う気持ちをてらいなく伝え、自分の全てで彼を愛する。
まさに猪突猛進。
一歩間違えば、やかましくて鬱陶しい事この上ない受けになりそうなものですが、泉生は自分より、常にサイードが優先なんですよ。
なんだかんだ言いつつ、彼の迷惑になるような事や負担になる事は決してしない。
意外と思慮深いのです。
そして、そんな泉生と過ごすうち、明らかに彼への態度が変化して行くサイード。
物珍しい異国人から、愛おしい存在へと。
ここに、サイードはサイードでとある思惑があって泉生を伴侶にする約束をしてたり、男性のオメガを崇拝する宗教「オメガ崇拝教」が絡んで、ハラハラドキドキと読ませてくれる展開になってるんですけど。
まぁ結局は、愛のパワーって凄いなぁって所でしょうか。
また、実の所この二人、運命だから結ばれたワケじゃ無いのが素敵なのです。
泉生はサイードに、運命の番だと散々言って口説きますが、彼が本当に惹かれた理由ー。
そして、アルファとして覚醒したサイードですが、彼が惹かれたのは・・・。
私は一目で惹かれあう運命の相手って、すごくロマンティックだと思ってましたが、運命の番でありながら、運命とは関係無く愛し合うって、こっちの方がずっとずっと素敵ですよね。
ここのオチが秀逸でして、「アルファでED」がこんな形で掛かって来たかと、ラストでニヤリとしちゃったんですけど。
いや、ギャグでしょ!?と笑っていて申し訳ない。
まぁ、海野先生なので、絶対その側面もあった事とは思いますけど。
と、大変楽しくて笑え、そしてラストはジーンと心に響く。
そんな、とても素敵な作品でした。
あと、オメガバなので、普段よりエロ多めです。
こちらもニヤニヤさせていただきました!
王道から大分外れたオメガバースでした。
アラブだし、普通はシリアスだったり、暴力だったり、痛かったり、切なかったりとどちらかというと昏めな傾向があると思うのですが、この話は全体的に明るいです。
オメガバースとしては一般的な設定ではありますが、受けがとにかく明るいのです。だから、ちょっと切なくなったりしても常に前向きで何が何でも振り向かせるという強い意志が散見されて昏くなる隙がない。
面白いだけではなく、シリアスな事件もあったりと飽きさせない展開で最後まで勢いに乗って読み終えることができました。
終わった後は「おもしろかったー!」とつい呟いてしまうくらい良かったです。
<あらすじ>
会社が倒産し無職となってしまったオメガの泉生(受け)は半分ヤケでアラブに観光旅行に出かけます。
しかしその観光途中、突然のヒートに襲われてしまいその場に居合わせたこの国の王子サイード(攻め)に助けられます。
出会った瞬間「運命のつがい」だと確信した泉生は大喜びでサイードに抱き着くのですが、サイードは泉生のフェロモンに全く反応しません。サイードはアルファなのにフェロモンを感じることができない上、EDだったのです。
フェロモンを感じられないサイードに信じてもらえない泉生ですが、ヒートの間他のアルファの誘惑にも耐えきりサイードと話す許可をもらいます。
ひたすらアピールする泉生にどうせEDで子も成せないし、オメガを第1王妃にしないといけないし、とつがいにはならないけど結婚はするとサイードは約束してくれるのですが、それは愛情からではなく男性オメガの地位の向上と外国人である泉生の安全のためであり、
あまり喜べません。
フェロモンで誘惑できないならベータと同じように人柄で好きになってもらおうと現地語を覚えたりと頑張る泉生ですが、次期王であるサイードも第3性徴(アルファとしての覚醒)がこないことで地位が万全ではなく、王位を狙う叔父の策略や男性オメガを神聖視する教団の登場などで不穏な空気が漂います。
オメガバースといえば、出会った途端強烈に惹かれあう「運命のつがい」がよくある話なのですが、攻めがフェロモンを感じない上EDなんて驚きの展開です。
アルファの方がオメガより覚醒が早く、アルファが先に気が付く展開なら何度も読んだことがあるのですが、逆というのが新鮮です。
サイードに第3性徴は来るのか。
サイードがアルファであることを疑う叔父一派の暗躍。
オメガを攫う教団の存在。
と、不安要素がたくさんある中、サイードに会えばご主人様に相手してもらう犬のように全力で好き好きアピールし、隙あらばぐいぐいいく泉生の姿はほほえましいというか気持ちが明るくなります。
堂々とサイードが欲しいと宣言する泉生の好き好き攻撃にサイードはその愛に溺れそうです。
そんなにアピールするかと思えば、仕事が忙しいとみれば遠慮するし、疲れているとみれば心配するし、人に気が付かれないようにしているサイードの様子を目ざとく気が付く聡い泉生の健気な姿にも好感が持てます。
サイードのためなら自分の命も厭わない泉生の愛に読んでるだけで本当に溺れそうでした。
それほどまでに愛を注がれ、人前では自分は不能だと宣言し開き直っているように見えて、泉生のフェロモンを感じることができないことを思い悩むサイードも、泉生のアピールを何も思わず躱しているわけではないことが余計に切なかったです。
王道アラブともオメガバースとも微妙にずれた話だとあとがきでも書かれていましたが、息もつかせぬ展開でとても楽しかったです。
この作品はオメガバースだからか、いつもの作風よりちょっとエロ多めに感じます。
でも、この世界ではアルファは着床率が低いらしく、妊娠しやすいオメガが相手でやっとベータの1/4という生まれにくさだそうで、あんなに濃いヒートだったのに、泉生も妊娠しないまま話は終わってしまいました。
できれば、泉生にはたくさん子供を産んで欲しいものです。
まさに愛の礫が雨あられ。
まっすぐの愛が降り注ぎまくりで、とっても楽しくてかわいいったら。
こちらオメガバースものになりますが、オメガバースにもいろいろあるのねぇ、としみじみ思わせてもらいました。
まずは攻め様のサイード王子。
オメガバースでアルファであるのに、まさかのEDでフェロモンを感じる事ができない攻め様。
内心はいろいろ思うところはあるのでしょうが、立場的に自分の本心は外に出さず、鷹揚にみせていて、王子としての職務を全うしようとしているとってもいい人でございました。
アラブで王子なのに、全然俺様じゃない。
受け様の泉生。
これがまたとっても活きがよくて、猪突猛進。
サイードに運命を感じて好きになったら一直線。
まっすぐで惜しみない愛情をこれでもか、とぶつけつつも、サイードを気遣う事も忘れない泉生がとってもキュートでこれまたいい子でございます。
泉生の元気いっぱいの愛でこちらまで元気に、笑顔になっちゃうようでした。
泉生の勤めていた会社が倒産して、こんな機会に、と旅行した先でサイード王子の匂いを感じて初めてヒートを起こしまう。
王子が助けてくれる訳ですが、のっけから笑ってしまいました。
「フェロモンがわからない」と言った王子に対して「鼻でも詰まってるんですか」って(笑)
泉生の匂いをかいで、「柔軟剤の匂い」とか王子言い出してるし。
王子も柔軟剤の存在を知ってるんだ、なんて私までとぼけた事思っちゃったじゃないですか。
ともかく、終始そんな調子の2人で面白くて楽しいったらありゃしない。
男性オメガをあがめている宗教団体に泉生が誘拐される、という危機もありますが、アルファとしてのバース性に目覚めたサイードが追っかけてきてたので、絶対大丈夫、と思って読んでました。
助け出した泉生のフェロモンにあてられて、余裕をなくしてるサイードの姿がよかったー。
「運命」とか「フェロモン」とか関係なく、あなたの態度に、人となりに、あなただから好きになった。
2人のお互いへの想いがとてもステキで大好きです。
めでたしめでたし、で〆るのがとっても似合うお話でした。
オメガバース物は暗くて苦しいお話が多いので苦手出したが作家さんが好きで海野さんのオメガバース気になって購入しました。
読んでみたらすごく楽しくて面白かったです!
オメガの泉生くんが最初は大人しい人かと思ったらアルファのサイードに一目惚れして行動力があって一途で素直でとても可愛いいんです!
アルファのサイードも優しくて大らかで包容力があって素敵でした!
オメガバースなのでそれぞれ苦労や葛藤がありますが重くなりすぎず丁寧に書かれていました。オメガの泉生くんがアルファのサイードに対して裏表なく気持ちを伝えていくのですがサイードが王子という立場上こんな自分に対して一途に接してくれたら絆されるよなぁとニヤニヤしてました。
読んで良かったです!思わずレビューを書きたくなりました。
カバーイラストから受けに勝手に可憐なイメージを抱いてしまってました。
良い意味で裏切られました。ww
泉生は旅先で急にヒートに襲われ、サイード王子に助けられます。一目惚れされ王子から溺愛展開と思いきや、全然違いました。
王子が運命の番だと確信した泉生は、大型犬よろしく王子にアタックしまくります。
他の作品にありがちなオメガのイメージが全く無いです。
王子がオメガやアルファの匂いを感じられ無いしEDだしで、それでもそんなに望むなら結婚しようと言われるまでアタックします。
気持ちは無いと理解しつつもサイードの国の言葉を覚えたり、国の歴史や現状を勉強したりと努力も怠りません。そんな泉生にサイードの態度も変わって来ます。もともとフランス人とのハーフで語学を活かした仕事をしていた事もあり、信じられないスピードで話せるようになってます。
裏表の無い明るい性格にサイードだけで無く、使用人達も好意的になっていきます。
サイードをベータと疑う叔父に王位を狙われているのですが、その叔父に泉生が拐われた時にサイードのアルファとしての力が覚醒します。
泉生はサイードに助けられ、怪しい教団への人身売買の罪で叔父一味は国外追放になりました。
サイードの戴冠式も終わり、いよいよ結婚式という甘々の2人を堪能して終わりました。
運命だと分かる前から決めていたって殺し文句ですよね。