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効率厨の社畜、異世界でガンガン働きながら恋愛フラグ立てまくり!
小説
実は異世界召喚物とか、異世界転生とか、すごく好きで、アニメはもっぱらそれ系中心に見ているのですが、その原作のラノベやコミックの異世界ファンタジー物はあんなに溢れかえっているようでも、それがBLでとなると、なかなか、ありそうで滅多になかった。
こういう、無理やり異世界に連れてこられちゃった主人公が、自分の才覚で異世界と渡り合うお話が、それがBLで読めただけでも嬉しいのに、その上さらに、この主人公の社畜っぷり。
大人の社会人の鑑!
実は年下騎士団長さんの、最初は無自覚な執着ぶりもかわいい。
恋愛至上だったり、エロ必須のBLをお求めの方には物足りないかもしれません。
ソフトカバーとはいえ、結構な分量でそれなりのお値段の本でしたが、でも、個人的には大満足でした。
異世界に巻き込まれた社畜主人公の話です。
仕事しか頭にない理性型主人公とクール系騎士団長のやり取りが面白く、時に可笑しい今作品。
主人公は自律した大人で異世界でも生き抜いていけるほど頼もしいです。
主人公の心の声を読めば読むほど、強かで抜け目のない性格なのがわかり、読み進めると疲れているけど仕事ができる社畜が格好良く見えました。
攻めもハイスペックでこれまた格好良いですが、話が進むと年下なので年相応な部分も見えるようになり、良い意味で最初のクールな印象とのギャップにキュンキュンします。
主人公はなんだかんだ年上で口が立つので、攻めの好意をある程度分かっている上でかわしたり、しれっと利用したりするのがツボでした。
攻めも優秀なので、最終的にはただかわされているだけではなく、年下らしい強引さも見えて、濡れ場が薄っすらなのにここまで萌えるのかと感心しました。
ただ恋愛中心の甘々な話を読みたい方には合わないかもしれないので注意です。
社畜の活躍が素晴らしいので、二人のやり取りに笑ったり、キュンとしながらも胸のすくようなストーリー展開が楽しめたので個人的には満足です。
そしてこの小説をコミカライズしている方の絵が美しすぎます。原作もとても綺麗なイラストですが、受攻の見た目が原作より男らしいので、個人的にコミカライズの絵柄の方がしっくりきます。なので今後はコミカライズも楽しみにしていきたいと思います。
小説は2巻まで出てますが、続き出してほしいです。ぜひ続きが読みたいです。
間違っているのかもしれませんが……ハードボイルドの匂いがしたんです。
いや、確かに正当なハードボイルドからはかなり外れていますよ。
主人公の近藤誠一郎は『社畜』設定で、頭痛・肩こり腰痛に苦しむ虚弱体質で、暴力的になり様がない。
むしろボコボコにされる側です。
でも、異世界においては彼の行動は反社会的(笑)だし、独自の美学(笑)を貫いているし、なんと言ってもクール(笑)です。
現代日本で得たPDCAサイクル(計画→実行→評価→改善を繰り返して生産性を上げようという仕事の改善手法)と『得にならなくとも何故だか必死で働いてしまう特性』という武器だけを頼りに、異世界での不条理と闘う近藤は、間違いなく『高潔な戦士』です。
本人にそんな自覚がない所為もあって、これがまた、やたらめったらカッコよく感じてしまうんですよ。
冴えない29歳(途中から30歳)のはずなのに、おかしいな?
目の前で女子高生が地中に埋まっていく現場を目撃した近藤誠一郎は、彼女を助けようとして異世界のロマーネ王国に転移してしまいます。この国では、ほぼ100年程度間隔で瘴気が蔓延し、その浄化のために魔術で聖女の召還を行って来たとのこと。巻き添えにしてしまった責任として「何か希望はないか」と大臣に聞かれた近藤は、仕事と睡眠しかない生活に疲れ切っているのにも関わらず言ってしまうのです。
「仕事をください」と。
もう、このプロローグだけで、面白哀しい。
本当に忙しい時って、でも、こんな風に考えられなくなりますよね?
あれって、脳から変な興奮物質が出ているんだろうな。
で、現代日本で経理をやっていたことから王室経理課の仕事を与えられるのですが、これがザル経理なんですよ。娼館で使ったお金なんかまで経費として出しちゃっている。
誠一郎はこれが耐えられない訳です。
頼まれもしないのに、過去の予算決算書まで持ち出して、ロマーネ王国の財政健全化に手をつけます。
ロマーネの人達には、始業前に出勤し、サービス残業を進んで行なう誠一郎が信じられない。
特に、魔術にも体術にも優れた天才(おまけにイケメン)、アレシュ・インドラークは誠一郎が鼻について仕方がない。公爵家に生まれ、才能に恵まれたアレシュは、身を削って働く誠一郎が解らないのです。
だから気になって仕方がない。
アレシュはロマーネの大気や食物を摂取することで体に負担がかかり、おまけに魔術治療を施すとその負荷の所為で生命の危機に陥ってしまう誠一郎の世話をやき、とあるBL的手法(お読みください。でも多分、皆さまの想像通りの手法です)で、誠一郎をロマーネに馴染ませようとします。
そんなアレシュの心配をよそに、誠一郎はロマーネの不条理な財政を正そうと、地味に、地味に、奔走しますが……
誠一郎はとにかく非合理的な仕事が許せないだけなんです。
一種の『癖(へき)』ですよ。
で、これがとても共感しちゃったんです、個人的に。
合理的に変える為なら、もう命の危機を侵しても、何でもやっちゃう。
それが可笑しくもあり、哀しくもあり、なんです。
恋は(これを『恋』と言うのなら)『アレシュ→誠一郎』で、甘さはほとんどありません。
そもそも誠一郎は恋愛至上主義者じゃないんですね。
仕事が第一。
でも、そんな誠一郎はアレシュへの恩をちゃんと感じています。
仕事に燃える姐さまなら「これ、理想の夫婦関係」って思うんじゃないかと(私だけ?)。
ラストで『お花畑的なふわふわした考え方』をしている聖女=女子高生に対して、誠一郎が行なったことも、実に大人の対応だったのでとても良い気分になりました。
経験の少ない人達に対する大人の理想的な振る舞いですよ、これ。
いやー、誠一郎がとにかくカッコイイよなぁ……
ウェブ小説のチートさに乗りきれないものを常に感じていたのですが、このお話は全くそれがなかったのも良かったです。
時折『自分で自分を働かせてしまう』誠一郎に、自分を見てしまう所もあったりして、ちょっとばかり自虐的にもなりましたが、笑えるので許せる。
弱い個人がその頑張りで、周りを、そして社会を変え、居場所を作っていく素敵なお話だと思います。
面白かったです。WEB発と聞いていたため、ちょっとドキドキしながら読み始めたのですが、めちゃツボって、こみ上げる笑いを堪えるのが大変でした。ただ万人受けするかというと?なのと、もう一山あるかと思ったのですが割合フラットに終わった印象でしたので萌2よりですが萌にしました。本編280Pほど+サブキャラ視点のSS14Pほど。(カバー下あります!=大橋キッカ先生の挿絵!)
休日出勤した日の帰り、突然女の子が悲鳴を上げ、地面にめり込んでいったのを見て思わず手を伸ばしたら、一緒にトリップしてしまった誠一郎。周りは聖女を召喚できた♪と大喜びしているのだけど、このおまけ(=誠一郎)をどうするねん・・・と困惑気味。事情を察した大人な誠一郎は、社畜の本領発揮!「仕事ください」と宣い・・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
チャラ男(誠一郎の側で世話役みたいなことをする)、一緒に召喚されちゃった女子高生、宰相(渋めイケメンという印象)、王子、魔導使う人等、結構います。一番面白かったのがチャラ男。すごい喋り方をするのを、そのまま記載しているので、「うお?!」と思う方がいると思います。試し読みをなさって確認いただいた方が良い気がしました。
**好きだった箇所
誠一郎がめっちゃ面白かった。「体が重くならない!吐き気がしない!片頭痛がしない!」という夢のような栄養剤のくだりでは、「うあああ欲しい・・・」と悶え、「気持ち悪いのは吐けばすっきりする」というくだりでは「うんうん、そう、でも休もうよ」と思ったり、助けてもらったのにお礼するのを「分割払いにできないかな」と考えたり、とにかく面白い!
最後の最後まで超絶イケメンになびいた感じはないし、なんだこの塩対応は!と最後まで楽しかったです。
視点がちょこちょこっと変わる印象で、時折「へ?今誰視点?」と戸惑うところもありましたし、前述のとおりチャラ男がとんでもない喋りですし、普段商業BL小説だけ読んでいる方でしたら、戸惑い大きいかもですが、試し読みしてみて、イケそうでしたら是非。
異世界トリップものBL風味ですかね。
アレシュがあんなに世話を焼いてイチャイチャしても片想いみたいで気の毒です。誠一郎には仕事しか頭にないみたいで。
誠一郎がすごいですね!経理ってこんなに広い分野を担当してるの?机でカタカタやってるだけじゃないんですね。
異世界トリップして社畜卒業するチャンスだったのに、仕事をくださいって言っちゃう誠一郎。働くことは生きることなんですね、立派だなあ。
横長し課の体質を立て直し、いい加減な予算申請を断り何にいくらかかるか見直させる。
あまりの働きぶりに宰相から副管理官に出世させられ…。
しかも本来の召喚された女子高生に腕をつかまれ無理矢理呼ばれたのに、邪魔者扱いされ、暴行は受けるわ王子には罵倒されるわ女子高生は頭がお花畑で。
なのに、誠一郎偉い!
瘴気封じや聖女の必要性や国の発展まで、すべて見直して。効率厨極まれりですね。
こんなことを一人で思いついて人を動かし資料を作って根回しして王様まで納得させちゃう。経理無双?経理ってすごい!
この世界では誠一郎は生きてるのも難しい最弱な人間な設定で。常にアレシュに体をアレコレしてもらわないと死んじゃう設定も面白いですね。
萌えというか経理や誠一郎のすごさに引き込まれたお話でした。