茶屋町勝呂さんのレビュー一覧

夏の塩 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

言葉を失う体験。

電子書籍で購入し、すごく量がありそうだったのでなんとなく後回しにしていたのですが、読みだしたらもう止まらなくて、他のことが手につかないほど物語の世界に心がのめり込んでいました。
心揺さぶられる作品でした。
小林秀雄の何かの評論に「美は人を沈黙させる」という言葉があるのですが、本当に感動すると言葉は出てこない、という体験をすることができました。

1

造花の解体 小説

西条公威  茶屋町勝呂 

知らなかったこんな恋の形〜サンプリングハッシュ

前半「スペル・イー・エス」シリーズ、後半webサイトよりの掌編、そして書き下ろし作品1点が収録されております。
この前半と後半のテイストの違い、というか振り幅が大きくて、この一冊が見た目の厚さ以上の一つの小宇宙のようです。
後半の掌編たちは、あとがきでの作者様の言葉で言えば、白であり透明でありまたピンク色の淡いグラデーション。
BL未満の、年上の従兄に抱く憧れや、仔猫を抱く友達にお前の方が可…

7

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

胸が詰まるような2人

まず、茶屋町勝呂さんの暗い色合いの、切り絵のような表紙・挿絵の迫力が凄いです。題名の「秘密」との相乗効果で、追い立てられるような、色のない作品世界が迫ってきます。

(ネタバレ注意)

知的障害っぽい攻めと統合失調症っぽい受けの物語。
攻めの杉浦充の障害は、実際はディスクレシア。識字障害というものです。知能指数的には決して劣ってはいないけれど、その違いのわからない厳格で権威主義の父親から…

4

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

名作!

なんつー純愛……
主人公の啓太、クソかと思ってたけど後半で挽回!
愛に満たされてました。
何しろ杉浦の一途さと健気さ!
読み終わるまでに2度、涙を流しました。
2度目に読んだ時も同じところで涙が出る。
名作!

7

弁護士は恋を自白する 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

シリアスになりきれていなくて良い

表紙は綺麗ですが、裏表紙がドロドロしていたため病んだ感じに見えて買ったまま後回しにしていた作品です。
なのですが、読むと意外と明るい作品でした。後半は少しドロドロした展開ですが、そこまで重くなくコメディーに感じる部分もあります。
本編は170ページくらいで短いのに、起承転結に山場やオチ、主人公が相手を好きになる様子や主人公のダンスの能力、業界についてもきっちり書かれていて読み終わったときの満足…

4

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

啓太のパラノイアは大丈夫なの?!汗

⚠︎この感想は、先に読んだら駄目なネタバレをしてます。読んでない人は回れ右して!!



んー...え、ていうか啓太の妄想癖はどうなったの?!大丈夫なの?あれ、正真正銘の精神的な病気だよね?!パラノイアだよね?治療はしたの?
...というのが読後の正直な感想です。 前半で啓太の秘密が彼自身の妄想が生み出したものだと明らかになったところで終わりました。後半は、お互いの傷を舐め合いながら精神…

4

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

面白くてどんどん進む

まさか一体誰がしょっぱなから冷凍庫に○○が入ってると思うよ?
という感じなのですが、これ…BLでよかったんですよね………?
な感じの読み始め。
序盤で謎解き出来てしまい、以後安心しながら読むことが出来ました。
とはいえ、お話は至って真面目。
純粋すぎるくらいに純粋な心を持った攻の杉浦と、卑屈で微妙に根暗な受の啓太。

このお話はそれぞれが持つ『秘密』に焦点をあてたものだとは思うんです…

5

魚住くんシリーズ・メモリアル I'm home 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

それぞれのキャラの個性が際立つ一冊

知り合いから借りてついに読むことができました。

魚住くんがアメリカ留学している再に、それぞれの仲間と交わしたメールを見ることができました。
それぞれの個性が出ていて、確かにこんなメール書きそうと笑ってしまいました。

特にマリと魚住くんのやり取りがなんだか二人の友情の深さを感じられて大好きでした。

あとは、人生相談コーナーもそれぞれのキャラらしい回答が見れて面白かったです。
確…

2

世界の果てで待っていて -嘘とナイフ- 小説

高遠琉加  茶屋町勝呂 

雨の夜に二人は・・・

「世界の果てで待っていて」第二作、今回は前作にも出てきた、円山芸者さんの以知子の弟の事件を軸に、黒澤の謎の部分がより深まる展開になります。
前作の双子は中学生でどこか現実離れした、いい意味でおとぎ話のような事件でしたが、今回の以知子の弟、三崎双葉は高校生でぐっと現実的になり、、よりシビアな展開になっていきます。
というかですね、今回は本当にセックスの場面はありません。なのにエロさは前作よりも増…

4

世界の果てで待っていて -天使の傷痕-(新装版) 小説

高遠琉加  茶屋町勝呂 

奈落に堕ちた夜に何があったのか

 高遠先生は文章力はいわずもがな、タイトルセンスが非常に洗練されていると思います。私が好きなタイトルはプルーストの「失われた時を求めて」なのですが、このタイトルも同じくらい好きです。
「世界の果てで待っていて」。簡潔であり様々なイメージを想起させる、一行の詩のようなタイトルではないでしょうか。
 この作品の主人公は黒澤統一郎、元刑事で今は探偵。渋谷区神泉に探偵事務所を構えています。
櫂谷雪人…

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