茶屋町勝呂さんのレビュー一覧

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

霧雨のようなモノローグ

受けの啓太を中心に、読み書きにハンデを抱える杉浦充と、充の従兄弟であるゲイの榎本。主な登場人物はこの三名。厳密に言えば他にも登場人物はいるにはいるのだけれど。
啓太と充を中心に描かれる今作は、とても閉鎖的な空気を漂わせています。それは、この三名がマイノリティーである事が根底にある事。そのため、客観的というよりは啓太の妄想か現実か、判別不能なモノローグによって、読者は翻弄されていきます。
啓太の…

2

赤の原遊戯 アカノワシュピール コミック

茶屋町勝呂 

初BL

多分初めて読んだBL作品
時代背景もあり薄暗い印象を受けます。ナチスに関しては第三者の目で見たような淡々とした事実を描いてるように感じる。

オットーのゲオルクに対する執着はエスターのためなのか、それとも違うものなのか。改めて読んで見ても複雑だなと。オットーからするとエスターは同期以外の何者でもないそうですが。同性愛が収容所送りの時代ではそう言うしかなかったのか。
エスター事件のせいでゲオ…

0

夏の子供 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

この本に出会えた幸運

「夏の塩」に続き一気に読みました。
この「夏の子供」には8の話が収められています。
「夏の塩」同様、いやより多く周囲の人たちの姿が描かれる。
マリとあの女装少年・馨のエピソード、マリの過去、響子のエピソード、魚住が祖父母にきちんと愛されている事、魚住に恋する男と久留米とるみ子とバーのバーテンとの不思議な縁、魚住を犯した男…
そんな色とりどりの物語たちと並行して、または溶け込んで、久留米と魚…

2

夏の塩 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

文芸的

先生、なつやすみの宿題終わりました!

そんな読後感。
この有名作、私は2009年発行のハードカバー版で手に入れました。10の話が一冊に収められ、一気に読める嬉しさはあるものの、2段組みでボリューム感が凄い。
読書は義務なんかじゃないけど、どこかやらなければいけない宿題のような存在でした。
元々BLと一般の境界的な作品ということは聞いていたので、BL描写の期待はしてなかったけれど、思った…

1

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

好きになる過程

夜読んで、仕事行って帰ってきて読んだんですが、もう仕事中「早く続き読みたい続き読みたい…」とイライラしてました。それくらい続きが気になる作品でした。

啓太は「誰かにそばにいてほしい。死体がある家に帰りたくない。泊まる家がない」、充は「愛する人が欲しい。自分も愛されたい」そんな理由から始まった言わば偽物の関係が、ページをめくるごとに本当に愛する者同士の関係へ変化してゆく様がとても良かったです。…

5

造花の解体 小説

西条公威  茶屋町勝呂 

「壊れた身体」を撮るカメラマンが切り取るのは、様々な愛の“果て”

滅多に手を出さない小説ですが、運命的に出会えましたね、西条公威さん。
あらすじからの期待を裏切らないグロテスクな表現やBLとして読むには幾分厳しい性描写が頻出しますので誰もにオススメという訳にはいきませんが、埋もれてしまっては勿体無い作品だと思いました。

「壊れた身体」を撮るカメラマン〔スペル・イー・エス〕の目を通して切り取られているのは、バランスを崩しながらも愛を尽くしたい人間達の様々な…

3

厄介な連中(7) しあわせな憂鬱 小説

柏枝真郷  如月七生  茶屋町勝呂 

長くなればなるほどに

厄介な連中の第七巻。
五巻で美雪の出生のことや遼一郎の過去があかされて、前回で篤史が少しそのことにふれ、今回は……え、これだけ?という感じでした。

遼一郎のニューヨークでの出来事を少し知ってしまった篤史は、詳しくききたいけどいつものようにベッドになだれ込んで…。
これじゃ、前回からなんら進展していない。
篤史が遼一郎の過去を知ったという点では少し進展かもしれませんが、それだって本当は前…

2

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

運命の出会い、運命の二人、運命の恋に号泣。゜゜(´□`。)°゜。

今作の前に読んだ木原先生の「薔薇色の人生」がとっても面白かったので、同じく人気のある本書を手に取りました。結果めちゃくちゃ面白かったです。文句なしの神評価!


あと、茶屋町勝呂さんのイラストがまた素晴らしい。インパクトのあるタッチが秀逸です!
充(攻め)の膝に跨るように座る啓太(受け)のイラストや、報われない恋に涙する充(攻め)を宥める従兄弟=榎本のイラストが、特に好き。


●「…

16

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

推理小説かと思いました

ハッピーエンドです
木原音瀬作品ではかなり優しいと思いました。

いきなり、人を殺した。というところからこの物語は始まります。
ですが、読み進めていくうちに、あ〜なるほど〜と納得してしまうのが木原先生の面白さだと思います。

ディスクレシアという言葉や意味も初めて知りました。周りの人には理解されにくい難しい問題だなと思いました。辛い過去がありながらも素敵な男性に成長した充くん。
充く…

7

夏の子供 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

心に刺さる作品

「夏の塩」を読み終わった直後に間髪入れずに読み始めて読了しました。
引き込まれる物語です。
小説は時間の流れをうまく切り取ってシーンとしてつないでいくことで、その世界の空気やキャラの思いや関係性を読者に見せていくと思うのですが、切り取られるシーン、会話、モノローグのどれも素晴らしくてどっぷりその世界に浸かった数日間でした。
読み終わった後も何度も気になる箇所を読み返しました。
バッドエンド…

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