木原音瀬さんのレビュー一覧

深呼吸 小説

木原音瀬  あじみね朔生 

大人の初恋に胸がきゅっとなる

自分をリストラしたいけすかない年下の上司が、アルバイト先を何度も何度も訪れるなんて、フツーならいやがらせか!みたいな状況ですよね。
榛野は仕事はできてエリートだけど、感じが悪いというか、人としてどこか欠けている人物。
木原作品にはこういうタイプのイヤな奴がよくでてくるのですが、こういう不完全な人間が恋に溺れていくとき、妙に人間らしいというか、かわいげのようなものを感じます。それが、読んでいて心…

2

眠る兎 小説

木原音瀬  車折まゆ 

未熟な2人故の、ストーリー

木原さんの本を偶然発見し、読まなきゃと購入した本ですが、
携帯電話も無い時代でのストーリーであることから、結構前の
お話と知ったのですが、全く気になりませんでした。

高校生の里見は、同級生の冗談で、ゲイ雑誌の文通コーナーで相手を
募集している「伊藤」に手紙を出すことに。
同級生との冗談に過ぎず、自分自身ゲイでもないのに、
伊藤からは、是非会いたいと返信をもらい、ついに会うことになり…

3

FRAGILE 小説

木原音瀬  高緒拾 

丁寧な描写に感服

かわいさあまって憎さ百倍。
一言で言うなら、FRAGILEはそういう作品です。
木原先生の作品の根底には「好き」と「嫌い」は紙一重だという心理があるわけですが、
それがもっとも端的にあらわれた作品だと言えましょう。

片思いとはいえ、好きな人にこきけなされ、罵倒された反動は大きい。
自己の精神を揺るがすほど、殺したいほど憎い。
それを体現してしまう青池の行動は、およそ容認できるものじ…

15

情熱の温度 小説

木原音瀬  山田ユギ 

うわ、すごいビミョーなキャラ…。

三十路のくたびれた高校教師と素直でイケてる高校生。
常識的に考えて、どう転がってもこの高校教師には惚れられない。
なにがよろしくて青春真っ只中、まぶしいほどの男子高校生がダメダメな男に惚れるのか…。

それは同情なのか?事故なのか?
悪趣味にもほどがある!という年下クン。
これは一種の「共依存」なのだろうか。
何もできない、不器用きわまりない年上がいるがゆえに、寄り添う自分の存在理由…

2

プレイス 小説

木原音瀬  館野とお子 

ファンタジックな大人の童話

普通の会社員なのに、横山には背中から羽が生えている。
そしてその横山に恋する不器用な後輩、加賀。

天使の羽のようにふわふわとして優しい横山と
ナイフの刃のように頑なできついことばかりクチにしてしまう加賀が対照的。
性格が極端に対照的なので、お互いのキャラが引き立つ構成になっています。

今まで天使モノというのはBLの中でも特別、めずらしくはないんですが、
天使の羽を持った会社員と…

1

LOOP 小説

木原音瀬  高宮東 

木原作品の中では凡作

輪廻転生が根底にあるわけですが、正直言ってつまらん。
木原先生作品だということを差し引いても…というか、木原作品だからまだ読めたほうです。

州脇の中には「宮澤」という前世が内包されていて、
その宮澤は前世で愛していた女、文の生まれ変わりである英一に触れたいがために、
州脇に一ヶ月間、体を貸してくれと頼む。
中身は宮澤、表はイケメン州脇の状態で、英一とセックスにまで及んだ後、
宮澤は…

3

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

純愛の極地!

木原先生作品の中でもこれはことにお勧めしたい一冊。

元・恋人を殺して冷凍庫に入れた啓太と、ちょっとオツムの弱そうな充を中心に進んでいく話ですが、
そんな、はたから見ればイビツな二人がたまらなく愛おしく、美しい。

恋人になじられ、はずみで絞め殺した啓太は、苦悩の末、大型の冷凍庫を買い込んでそこに死体を入れます。
しかし、それからというもの、日々、殺した恋人の幻影に悩まされ、自宅に帰れ…

7

WELL 小説

木原音瀬  藤田貴美 

BLにもこういう作品が必要

何度も読み返したい作品かといわれるとそうではない。
胸糞悪いです(苦笑)
BL版バトル・ロワイヤル?うーん、ドゥームズデイ?
ただ、やたらナンセンスな甘さだらけのBL界にあって、一石を投じるストーリー。
ま、文学界全体から言えば、特段、目新しさはないので、そう考えるとこの程度で賛否両論になるBLってまだまだ文芸として底が浅いなってことになるんですが。

えー、しかしあえて神評価。
何…

7

嫌な奴 小説

木原音瀬  坂井久仁江 

和也から三浦に共鳴していくグラデーションが圧巻!

世の中、どーーーーしても気に食わない奴っていうのはいるもんです。
そういえば、ワタクシにも学生時代、どーーーしても気に食わない奴がいたなぁ…。
しかも、結構しつこくつきまとわれていた。
まぁ、ワタクシの場合、大学を卒業したら、その後、音沙汰ないけどね。

これは、大学4年間どころの騒ぎじゃない、それこそ小学生の頃からずっとずっと、嫌いな奴に追い掛け回される不幸な男の物語。
んんー、わか…

8

FRAGILE 小説

木原音瀬  高緒拾 

愛憎という言葉がピッタリな作品

こうくるか、こうくるかと何度突き落とされたことか!
容赦ない展開に痛い、痛いよ~っ!となりつつも、最後まで目が離せないのです。
息苦しくて、読み始めた当初はもんのすごい展開に「これ、ラブはあるのか…?」とも
思ったのですが…そんな愛とか甘さだとか全部置いといて、まず浮かぶ言葉は
「愛憎」です。
あらすじに『2人が踏み込んだ愛憎の迷路』と書かれていたのですが、
まさにこの作品にピッタリで…

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