ふばば
吉田先生の作品にはいつも独特の静謐な雰囲気が漂っているように感じますが、この作品はとりわけ不思議な作品でした。タイトルから分かってはいたけれど、ごく普通に話が進んだ後に急に犬耳が現れるので、思わず「なんで!?」となりました(笑)。自分のコントロールできない感情を表しているのは分かっても、犬耳のリアルさがなんだかシュールで。でも、無口で自分の意思がなさそうに見える奥が、内心保科と変わらないくらいい…
上巻でも傍目では初期と比べて随分臼井の態度が変わったように見えましたが、当事者の葉が彼の言葉を100%信じることができず、あの晩の臼井の仕打ちも未熟な衝動ではなく裏切りに感じたのなら、やはり一度互いに離れてじっくり考えてみることが必要だったのだろうと思います。離れてみて初めて、相手の存在が今自分の中でどれほどのものなのかがはっきり見えてくる。周りの目があってもなりふり構わず葉に縋った臼井は、本当…