岩本ナオさんのレビュー一覧

魚住くんシリーズⅢ メッセージ 小説

榎田ユウリ  岩本ナオ 

マリとサリームと濱田の関わり方も尊い

 序盤で魚住がさちのと新たに出会い、女性だしかなり年下だけれど、一体どう久留米と魚住の関係に関わってくるのかな、当て馬にもなりそうにないけれど、なんて安直に考えていたら、物語がまったく想定していなかった方向に動き、大きな虚しさを覚えました。この若さで、小さな身体で、親にも弱音を吐けず孤独と戦ってきたさちのの人生を覚えておきたいと思いました。テーマパークで遊んだ経験は、きっと彼女の宝物として残り続け…

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魚住くんシリーズⅡ プラスチックとふたつのキス 小説

榎田ユウリ  岩本ナオ 

家族のような空気感

 けっして物語の展開が速くなることはなく、じわりじわりとしか進んでいかない物語なのだけど、不思議と焦れったいなもどかしいなという気持ちにはならず、ゆったりしたペースだからこそふとした瞬間の心情変化に萌えを感じられるところが魅力的なシリーズだなと思います。

 掴みどころのない魚住が久留米に照れたり嫉妬したり、分かりやすい好意を仄めかしてしまうことが増え、魚住可愛いなと思える瞬間が増えました。あ…

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魚住くんシリーズⅠ 夏の塩 小説

榎田ユウリ  岩本ナオ 

執着のなさは優先順位の違いなのかな

 ずっと気になっていたシリーズで、タイトルからぎりぎり今の時期に読みたいなと思い立ち、手に取りました。魚住真澄という人間の唯一無二の佇まいが、周りの人物も読者も魅了する作品で、静かで淡々と進む普遍的な日常生活のなかに少しずつ変化していく久留米と魚住それぞれの心情が丁寧に描かれていました。家庭環境や生い立ちが不運な受けは数多存在しますが、魚住のまったく頓着しない性格により悲愴感はだいぶ隅に追いやられ…

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魚住くんシリーズV 夏の子供 小説

榎田ユウリ  岩本ナオ 

No Title

「魚住くんシリーズ」の最終巻にあたる作品です。

久留米と魚住のことだけではなく、近所に住む留学生、久留米や魚住のもとの彼女、同僚、同級生、先輩、家族など、さまざまなキャラが登場するので、たのしくよめるシリーズでした。

それぞれ、つらいおもいをかかえている登場人物たちが、こころの傷をのりこえ、成長していく様子が、丁寧に描かれていて、BL要素以外にも、たのしめるぶぶんが、たくさんありました…

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魚住くんシリーズⅡ プラスチックとふたつのキス 小説

榎田ユウリ  岩本ナオ 

プラスチック

「魚住くんシリーズ」の2作目にあたる作品です。

サラリーマンでおおざっぱな性格の久留米と、生活能力のない大学院生とのお話です。

つかずはなれずの生活をおくっている久留米と魚住でしたが、魚住の前に、日下部という男性があらわれて、事態がかわっていきます。

トラウマ満載で、感情が欠如してしまった魚住がかかえる過去があきらかになっていき、よんでいて、かなしい気持ちにもなってしまいましたが…

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魚住くんシリーズⅠ 夏の塩 小説

榎田ユウリ  岩本ナオ 

夏の塩

こまかいことを気にしない会社員の久留米と、トラウマ満載の大学院生の魚住のお話です。味覚障害になってしまった魚住が、久留米のアパートに居座るシーンが、とても好みで、たのしくよむことができました。

BLに女の子は必要ないとおもっていますが、この作品に登場する久留米の元彼女のマリが、サバサバした性格で、この物語にかかせない存在だとおもいます。

まだ序盤ですが、これから、どんどんおもしろくなり…

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魚住くんシリーズV 夏の子供 小説

榎田ユウリ  岩本ナオ 

ひとりと隣に在るもうひとり

シリーズ最終巻。まとめ方が綺麗でじわっと感動させられるけど、読後に悲しみや辛さが残る。最後の魚住にたくさんの感情が生まれたが、その中で一番強かったのが寂しさな気がして。PTSDと向き合う描写に物足りなさも感じる。
魚住と久留米の関係性は好き。個人的には前作がピークだった。

留学話が持ち上がるなか、PTSDを発症する魚住。さすがの久留米も普段通りではいられない様子で、二人のバランスが崩れそう…

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魚住くんシリーズIV 過敏症 小説

榎田ユウリ  岩本ナオ 

泣いた。理由は分からない。

記念すべき……!という感じのシリーズ四冊目。

最初のエピソードは、なんだかドタバタしていて、狭い世界がつながっていくコミカルな展開。フィクション楽しい~とわくわくする感じ。
それにしても、男にキスされたと悩む魚住は、自分が伊東にしたことを忘れているんだろうか。そんなに悩むようなことを軽くやらかした自覚が先では。

明良はまさに当て馬。魚住と久留米をくっつけて、自身は振られるために登場し…

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魚住くんシリーズⅢ メッセージ 小説

榎田ユウリ  岩本ナオ 

交互に描かれる緊迫感と切迫感

シリーズ三冊目。これはなんといっても、未遂事件が描かれた巻、になるのかな。

最初からずっとそうだが、本当にたくさんの人が魚住のことを考え、魚住のために動き、ときに振り回されながらも魚住を支えている。本人がどこまで分かっているか不明だが、“死”以外の近くにあるものにも気付いて欲しいと願う。

「お母さんになってくれる?」と言う魚住はよく分からなかったけど、その相手が目の前であんなことになれ…

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魚住くんシリーズⅡ プラスチックとふたつのキス 小説

榎田ユウリ  岩本ナオ 

あのエピソードは鳥肌モノだった

シリーズ二冊目。榎田さんて昔からこういうの書きたかったんだなあと思った。弱者擁護の思想をキャラに込めて吐き出す主張強めな作風。名作や伝説と言われる理由がこっち方向にあるなら、期待とはズレるかも。

魚住が監禁される、不穏なお話から始まる。貴史は本当に何をしに来たのか。魚住を見てみたかったからとは言ってるけど、手錠を準備して押しかけて来て、ただ見てみたかったなんて嘘くさい。そんな男と仲良くなる魚…

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