茶鬼さんのレビュー一覧

erotica 小説

榎田尤利 

スタイリッシュ

<erotica=性愛を扱った文学>
もしかしたら、この本はうっかり普通文学の顔をしたペーパーバッグにして書店の本棚に並んでいてもきっと何の違和感もないでしょう。
ともすると、ファッション雑誌の後ろの方にある小説のページにさりげなく載っていても違和感ないかもしれません。
<性愛>に焦点を絞った作品だから、そこにあれこれ色々な余分な飾りはないから、「あ、男性同士だったのね、気がつかなかったわ」…

17

おまえの胸に訊いてみろ 小説

さとむら緑  みずかねりょう 

アレルギーは恋の予兆

犬猿の仲のハズの二人。
顔を合わせれば、繰り返されるイヤミの応酬は実は相手に関する関心の現れ!?
それで保たれていたはずの均衡が
ある日犯したミスをカバーするのをてつだってもらったのに端を発して
心臓バクバクのまともに相手の顔も見ることもできず、過呼吸発作の一歩手前までいく有様を呈し、友人にアレルギー反応だと言われ、
奇しくも同じプロジェクトを一緒に進めなくてはならない間柄ゆえに、
そ…

2

夜を越えていく 小説

高塔望生  乃一ミクロ 

配分が難しいですね

警察モノでラブを描くのって、特に事件捜査を中心にして描くと難しい!と思ってしまった1作になってしまったような気がします。
追う事件を軸にそこから恋愛感情になっていくさまを描きたいというのはわかるのですが、事件解決の捜査と推移や内部の軋轢など、そういったものが主軸になっているので、恋愛が唐突にしか思えないのです。
主人公のどちらかがゲイであるとか、そういう何かがあればまた納得するものもあるかもし…

2

銀狼王子の許嫁~あなたに恋する満月の夜~ 小説

真先ゆみ  サマミヤアカザ 

モフモフ度は満足☆

この表紙が2人とも耳付きではないですか!?
題名からして、自分苦手な花嫁モノに近いかわいらしいお話では・・という危惧もありましたが、モフモフの誘惑に負けました!
モフモフ度でいうと、最近出たどの作品よりモフモフです(!?)
毛皮具合、柔らか具合、顔をうずめた気持ちよさ、、、
まるで想像して体験できるような満足度♪
お話は、結構予想通りのかわいらしい、結構順風満帆のファンタジー仕立てであり…

1

頬にしたたる恋の雨 小説

久我有加  志水ゆき 

昭和初期の雰囲気が見事に再現

昭和初期、まだ落語以外の芸能がイロモノとして扱われていた時代、
台頭し始めた漫才に転身した、落語家のサクセスストーリー。
うう、、この2行でまとめてしまうとなんと色気のない、つまらない文なのか(涙)
その中にはいろんなものがわんさと詰め込まれています!

まず、時代設定。
ほら、文章を読んでいるだけで街を歩く人々と、街頭の灯、長屋の風景、演芸場のもぎりが目に浮かんできませんか?

8

てのひらにひとつ 小説

夕映月子  三池ろむこ 

ガンバレ!と応援したくなる二人

夕映月子さん、デビュー作から実に1年10ヶ月ぶりの2作目!
デビュー作も丁寧な作りが印象的で、好きなモノだけに丁寧に綴られているなーと思えたのですが、今作品も実に丁寧な描写と展開でとても好感の持てる仕上がりになっていました。
派手さがあるわけではない。
大きなヤマがあるわけではない。
もどかしいほどの純粋な気持ちがじんわりと伝わってくる。
堅実さが良さと言いましょうか、登場人物たちも誠実…

5

トイチの男 小説

玄上八絹  三池ろむこ 

思いがけないヒロイモノ

題名を見ながら、「闇金ウシジマくん」とか「ナニワ金融道」とか思い起こし、表紙を見比べながら、きっと何もかも金勘定で動く人物が人との出会いによって、人間らしくなる話なのかな~?という予想をしながら読んでまいりました。

確かに主人公は、そういう人です。
行き倒れの人を見つけても簡単に救おうとはしない。
タオルだの布団だの逐一金額を計算して、拾った男の収支はマイナス1円!?
かたや、拾われた…

3

Fuckin' your closet!! 小説

砂原糖子  金ひかる 

とらえどころのない男

03年のアイズノベルス刊行「シークレットでやっちまえ!」を雑誌掲載時の題名に戻す改題をして、加筆修正された上、新たな書き下ろしが1本入った新装版です。
砂原作品も幅が広いかと思いますが、書かれたのも03年というせいか、すごく勢いがありますねw
思わず違う作家さんの作品かと思ってしまったくらい。
ノリはTVドラマ風とでもいいましょうか?

主人公の刑事・市居はキャリアですが、プライベートは…

2

ウサギの王国 小説

松雪奈々  元ハルヒラ(元ハルコ) 

アリスインワンダーランドが因幡の白うさぎ?

※ネタバレにチェックはしてありますが、肝心のネタバレはしてない・・・つもりです♪
この作品については、”ウサ耳モフモフ”という事前情報のみで、一切の予備知識を得ずに挑戦して挑んでみた。(前回のルチルが今ひとつの印象だったので)
まさか、攻めがウサ耳だったなんて!
その他にも色々とあるのだが、これは設定勝ちとはっきり言えるだろう♪
実際のところ、ウサ耳モフモフに萌えるという事はなくその成分は…

4

天国までもうすぐ 小説

五百香ノエル  藤たまき 

大人を信じられない子供たち

実に奥が深い物語だな。。。それが第一印象。
彼等の、特に受け子となる”品川りす”の境遇はあまりに悲惨すぎて、彼等の行動もだが大人の対応の理不尽さばかりが目について、ひどい、ひどいじゃないか!!
きっと、子供を持つ親の人が読んだらまた親としての立場で色々な想いを抱くんだろうなとも思える。
だけど、ここに登場する子供たちも特殊な環境にあるために、また普通ではないような気がする。
子供がゆえに未…

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