Sakura0904さんのレビュー一覧

潮騒のふたり コミック

遠浅よるべ 

甘さも焦りも苦みも受け入れて

 まず94年という時代設定がいいですね。戦前の昭和や大正、もっと遡って江戸時代などの作品はそこそこありますが、昭和の終わりや平成初期をあえて今描く作品はかなり貴重なんじゃないでしょうか。令和になった今から見て、目に映るものがそこまで大きく変わったわけではないけれど、スマホじゃなくてポケベルだったり、キャラクター達が好きだという芸能人や作家の名前が当時流行ったものだったり、細かいところに時代の移り変…

2

ビッチちゃんはシたことない コミック

市花マツビ 

可愛いビッチちゃん

 意地っ張りかつ見栄はりで、童貞であることを隠そうとビッチとして振る舞う愛斗が本物のヤリチン・鴨栖に快楽を教え込まれてしまう物語。そう珍しい展開でもなく、むしろ攻め受けのパワーバランスは王道とも言えますが、鴨栖が存外柔らかい態度のキャラでただのクズ攻めではなかったり、愛斗も吠えてばかりではなく、自分が快楽を求めていることをちゃんと分かっているところが可愛いなと思ったりしました。好きかどうかも分から…

1

ブルーム・ブラザーズ 2 コミック

志村貴子 

正臣にも外的要因があったのね

◆case6
 1巻ですぐ終わってしまったカプでしたが、続きがとても気になっていたので読めて嬉しかったです。兄を最低だと評している晴臣も、その正臣に捨てられた健人も、正臣を口汚く罵るようなことはしないんですよね。2人とも正臣のことを心から好きだった期間があって、なんだか憎みきれないところのある存在なんでしょうね。その時その時に自分に正直に生きている人間って、ずるいなと思っても嫌いになれないことあ…

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ブルーム・ブラザーズ 1 コミック

志村貴子 

兄弟だからこそ、嫌悪も特別な情も湧く

◆case1
 どの物語にも引き込まれましたが、振り返ってみるとこちらが一番続きが気になったかもしれません。弟目線で見た兄が結構リアルにいそうなクズ加減で。男と体の関係があったのに、それを引きずったまま女性と付き合い、結婚。もしかしたら兄にも兄なりに悩んだ形跡があるのかもしれないけれど、さほど厳しい親というわけでもなさそうなのに、1人の男と1人の女を自分の都合で簡単に不幸にする経緯には、弟と同じ…

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天国 in the HELL コミック

虫歯 

エロさとピュアさと可愛さと

 受けがとにかく可愛い! 表紙を飾るサキュバスであるツカサを皆で愛でる作品と言っても過言ではないかもしれません。短髪黒髪強面、という個人的に大好物の3点セットが揃っている時点でかなり好みだったのですが、そこに素直、努力家、人の善意に誠実、という思わず応援したくなるような性格が加わって、読み終わる頃にはツカサにめろめろになっていて、彼の今後の日常も読みたいなぁと思わずにはいられませんでした。

1

無傷じゃいられねぇ コミック

定広美香 

美化されない恋愛劇

 紆余曲折あっても根本的には誰かが1人の相手を愛する物語、というのが大半を占めている今、こういう物語には滅多にお目にかかれませんよね。湘司と帆波は普通に愛し合っている恋人だったのに、湘司が本気の浮気にハマっていくところから始まるこの作品。帆波はモブではなく、最初からしっかり存在感を出しているキャラ。テルとの破局で傷心だった帆波を今は湘司が満たしていて、蜜月を楽しむ2人を見せられてからの湘司の浮気で…

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キスは番にひざまずく コミック

エヌオカヨチ 

数十年後の2人を是非

 ストーリー展開としては割と王道なはずなんですが、どこか他の作品と一線を画しているような気がする不思議な作品でした。やはり、メイン2人の性格かな? 序盤でレオのフェロモンに逆らえず犯してしまう伊織ですが、その直前直後でさえ理性を保っていて、過ちを犯したのは本当にこの一度きり。あとは終始レオに対して真摯に穏やかに接していたので、αらしい威圧感をまったく感じさせなかったことは、レオだけでなく読者にとっ…

2

雪の妖精 コミック

芹澤知 

心は春

 初読み作家さんでしたが、とにかく絵が綺麗! 登場人物達の表情もとても豊かで、他の作品への期待も高まりました。舞台が冬の北海道というところも魅力的でしたね。暖かい地域に比べて、辺り一面真っ白な銀世界というのはどうしても孤独や死を連想させる。そんな中、プロのカメラマンとして世界中を駆け回り、人間相手でも動物相手でも心を開かせてしまう圧倒的陽な成美がいると、その空間だけぶわあっと暖かくなったかのような…

4

業務上過失ポルノ コミック

長与エリ子 

セックスを全力で楽しむ2人が愛おしい

 メイン2人の性格の相性が絶妙でした。攻めの土倉は普段は大らかで、仕事はできるけれど頼りがいのある上司というよりはどこかふわふわした感じの人。でも、セックスの時はAV男優のような台詞も多用し、吉井の秘められた願望を引き出すのがとても上手い。受けの吉井は職場ではしっかりしていて、土倉のフォローに入ることもしばしば。でも、情事中は吉井に征服されることへの悦びを隠しきれず、言われたことに従順に反応するい…

1

幾千の夜 第二夜 コミック

木下けい子 

りょーちんは理想の友達

 前巻のラストでてっちゃんを呼び、彼の家に上がることになった宙。ぎくしゃくしていたのは最初だけで、少し時間が経てば、2人の間の空気は実家を行き来していた頃の柔らかさに戻る。一度は断腸の思いで自ら手を離したにも関わらず、再び宙が自分の元へと舞い戻ってきたからか、てっちゃんはに彼に未練があることを大して隠そうともしない。それどころか、宙への執着、独占欲は日ごとに強くなっていって。

 基本的に宙目…

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