Sakura0904
最初に登場する主人公・ルカがこの作品を書き上げたという設定がまず素敵だなと。同じアパートに住む住人達それぞれのハッピーエンド。無理矢理ハピエンに持ってかれたような感覚もなく、どれも良質な余韻の残る話でした。
◆ノエと双子
双子のキャラクターに惹かれがちな自覚はあります。同じ人を好きになってしまう双子のもどかしい性。でも、そんな彼らを2人まとめて受け入れてくれる人が現れた。どちらか一方に…
茅島の可愛さが極まっていました。こんなに純真な人だったんだなぁ、と改めてその世間擦れしてないが故の言動に驚き。庭師の実家帰省にいてもたってもいられなくなって、1人で空港にまで着いてきてしまう突拍子のなさ。恐らく今までの人生でこんな風に行動したことなんてなかったでしょう。庭師には怒られてしまったけれど、それだけ熱烈に庭師を愛しているんだぁとよく分かるシーンでした。
かと思えば、今度は庭師を…
こういう田舎の幼馴染ものが自分は本当に好きだなぁと再確認できた作品です。きはら先生の作品は初めて読みましたが、田舎や青春の描写にとっても合うタッチですね。瞬平とコタの会話の温度も好きだなぁ。恋人になる前もなった後もベタベタした甘さはなく、男同士の親友らしいからっとした温度で、でも、周りに比べるとやっぱりちょっと親密な感じがあって。遊びの延長線上で抜き合いはしていたけれど、コタの方には最初恋愛感情…
◆かげふみの恋(表題作)
好きな人には好きな人がいた。自分よりずっと年上の叔父に不毛な恋をする高校生・悠太。そこまで分かった上で、この若さで積極的に迫る勇気があるのがすごいなぁと。父に似ている自分の容姿すら、利用する。お互い何も隠していない関係性ですから、そこに第三者が口を挟む隙はないですね。勢いを落とさず、伯父を射止めた悠太に素直に感心しました。
◆僕たちはまるで誘蛾灯のように / 籠…
プラトニックラブを描きたかったという初心を、秀先生が最後まで持ち続けていたというのが伝わってくる最終巻で、安易に一般的なBLらしい展開に持っていかなかったことに感謝したいです。もちろん、BL要素は多々ある。駿人と優士の関係性はBL以外の何物でもないし、この最終巻では濡れ場もある。けれど、ここに至るまでの経緯は本当に長かったプラトニックラブで、やっと名実共に恋人になり体の関係を持った今でも、プラト…
同棲をし始めていくらか経った橋爪×井田と、大学生と高校生から大学生同士に、そして社会人同士になった小林×鳴海。どちらも1巻からは環境が変わり、付き合ってきた年月は増えて安定したように見えつつも、関係が深まるにつれて相手への想いの強さを日に日に自覚し、不安定さも見えるように。同棲といえば2人とも毎日同じ場所に帰ってくるわけだから、ずっと安心なように思えるけれど、だからこそ少しの会わない時間に対して…
よしなが先生の作品って、冒頭からその世界観に静かに引き込んでくれて、不思議と登場人物達をひっそり近くで見守っているような気分になります。その引き込まれ方が自然で、心地良いなぁと改めて先生の才能に惚れ惚れしました。個人的には表情の妙や、間の取り方、余白の使い方などがそうさせるのかなと感じています。こちらの作品も、序盤から教師・井田の魅力に惹かれ、小林は当て馬かぁと一旦残念に思いながらも井田の本命で…
テンポも良く、ほのぼのした笑えるシーンとシリアスなシーンの配分もバランスが良い、木下先生らしい軽快な作品でした。誠志郎の父親が政治家で、同性婚を認める法律を可決させられるか、というのが物語の1つの軸になっていて、そこも今の時勢を反映していて良い題材だなと思いました。本当に1日でも早く、同性婚が認められて欲しいですね。不幸な人間を生み出す法律ではなく、幸せな人間を増やす法律だ、この考えが広まって欲…
矢代が表面上はヤクザでなくなったこと、百目鬼が矢代の下からいなくなったことで、これまでとはがらりと雰囲気の変わった巻でした。と言いつつも、根底に流れているものは変わらない。矢代は三角と繋がっているし、三角は矢代に組を持たせたがっている。七原は矢代の下で働いていて、百目鬼は矢代の近くに戻りたがっている。変わったようで変わっていない、様々なシーンでそれを感じさせられました。
百目鬼を捨てた、…
永井先生の目の描写にすごく引き込まれます。何も映していないようで、物事の深淵を見ているような、空虚と叡智が共存しているような瞳が好きです。1巻ではとにかく柳田の抱える闇の深さが際立っていましたが、2巻では奔放な少年に見える渚も、いろいろな柵や大人の汚さに絡まれながら生きていることが分かります。立ち居振る舞いは常に堂々としているけれど、それは感情のダメージを軽減するために自然と現れる彼の防衛本能の…