Sakura0904
まだ最終巻ではありませんが、クライマックスと言っても過言ではないほど、満足感がたっぷり味わえる巻でした。何よりも、秋彦が雨月と決別し、春樹の手を取ったことに感動。雨月を愛していた、でも、音楽を楽しいとは思えなくなっていた秋彦。彼がもう一度音楽の楽しさを思い出せたのは、ギヴンというバンドと、春樹という存在のおかげだった。そこで彼は恋にも音楽に対する気持ちにも決着をつけて、雨月の元を去る決断をした。…
今回は秋彦と春樹に重点の置かれたストーリーでした。今でも両想いな秋彦と雨月。ただ、お互いが音楽の道を極めるには、相手の存在が重荷になってしまう。これは2人の中での非常に感覚的な話なんだと思いますが、感性で作曲し演奏する以上、やはり見て見ぬ振りはできない感覚なんでしょうね。一見両想いなら音楽面にも良い影響がありそうだけど、特に雨月にとっては、秋彦に無防備な自分を晒け出す生活の中では思うような演奏が…
またもすれ違ってしまう2人ですが、けっしてストーリーを長引かせるためのすれ違いではなく、難聴者と健聴者である2人が、新たにぶつかった課題に真剣に悩んで乗り越えるために必要なんだと感じられました。今回の課題は今までで一番重かったんじゃないでしょうか。太一が大学を辞めて就職したのは自分のためなのか?という航平の負い目。誰とでも壁を作らずすぐ打ち解けられる太一だけれど、耳に障害のある人達が大勢いる場所…
6巻では皆が一致団結して物語が急激に明るい方向へ進んでいきそうな雰囲気を感じましたが、ここに来て、いつもの気味悪さが戻ってきましたね。私はそういう雰囲気が大好きで、もういっそ永遠にずるずると人間の狂気を描いて欲しいくらいなので、テンションが上がりました(笑)。
序盤で呪いに関する新たな依頼があり、呪いを解く際に三角が「暴力的な善意」とやらで冷川を喰うシーンがあります。まさに博愛主義者のよ…
春樹の瞳から光が失われ、どんよりと濁ったような虚無感をずっと纏うようになった3巻。英を心の拠り所にして必死に均衡を保っていたところから、彼の心がすっかり壊されたところまで来たわけですね。不謹慎かもしれないけれど、執着と狂気の世界観を楽しみたい読者としては、ここまで徹底して病んだキャラを描いてくださった先生に拍手を送りたいです。
終盤に向けて、物語はさらに加速度的に進んでいきます。新たに生…
英と春樹の間に恋人関係が成立することにより、ぐっと禍々しさが増し、引き込まれた2巻でした。なんだかんだ英は、あくまで春樹の良き理解者、頼れる人というポジションに留まるんだろうなと想像していたので、まさか春樹を恋人として受け入れるとは思わず、驚きました。きっと、学生時代から後輩として尊敬や憧れを向けてくれていた春樹を、可愛いと思っていたのかな。そして、光に迫られるようになってから、より一層英と過ご…
『変愛』に収録されていた短編『止まり木』のリメイクと聞いていたので、同じキャラで長編に修正したのかな?と思っていましたが、設定は若干引き継ぎながらもほぼ新しい作品となっていました。幸紀と天使が2人きりの時の温かい感情がこちらにも伝わってきて、読んだ後はとてもほっこりするような、そんな作品でした。自己肯定感のない草臥れたおじさんと、苦しんだ末に開き直った天使。2人の姿を見て、人間の価値とはどこに存…
最初から最後まで、何この家族とっても可愛い!と思いながら読みました。幼稚園生であるジュン目線で描かれる、大好きなお父さんとお母さんの話。ただし、お母さんはジュンの前では必ず鳥の着ぐるみを纏っています。作品が終わるまで、お母さんがジュンの前で着ぐるみを脱ぐことはありませんでした。お母さんであるリオが着ぐるみの中に隠していること。それは、若過ぎることやお父さんのヨキと同性であること、親としての自信の…
ストーリーのテンポも良く、メイン2人の掛け合いも可愛さが溢れていて、読み応えも萌えも十分得られる1冊でした。ワンコ年下攻め×強気年上受けということで、攻めの松田が受けの榎本に厳しい言葉をかけられるシーンが何度かあるものの、榎本の厳しさは彼が自分に対して何かを戒めていて、その余裕のなさから来ているんだろうなというのはもう序盤でなんとなく感じ取れます。逆に、松田は何度凹んでも、常に余裕が残っているよ…
廣瀬×花城は巻を追うごとに安定感が増していきますね。最初の『マッチ売り』を読んだ時には、勝手に不穏な空気を感じていましたが、今のところこのカップルには不安をまったく感じません。そして、個人的にお気に入りな澤×有原の方も、今回は随分優しい愛の感じられる雰囲気を見せてくれて非常に満足でした。あとがきにもあるように、澤はただのSではなく、タイプの子には意地悪を言いながらも見えないところでいろいろ尽くし…