fandesuさんのレビュー一覧

5人の王 外伝 I 小説

恵庭  絵歩 

失礼な言い方だが『変な話』だと思う

「シアンが主人公の長編かぁ!」というのが読み始めてすぐの驚き。
いや、勝手に短編集だと思っていたんですよ。登場人物が多い所為もあって、それぞれの人のエピソードを繋いで『5人の王世界』を重層的にしたものなんだろうと。
それがよりにもよってシアンかぁ……
私の中では『最も恋愛に遠い人』という位置づけだったものですから。

見た目と異なり、シアンは非常に男性属性が強い人だと思うのですね。
恋…

0

険悪だった僕たちの、ハネムーンのすべて。 小説

Aion  北沢きょう 

旅の工程が進む毎に心情が変わっていく様が面白い

デビュー作とのこと。
あとがきによれば『当初、ページ数を大幅に超える量を書いてしまい(後略)』との事でしたが「ひょっとしたらそっちも面白いんじゃないか」なんて思ったり。
だって、すごく読みやすい文章なのですもの。多分、長くても無理なく読めたと思うのです。
そして、もう少し2人の関係がゆっくり動いて行った方がもっともっと共感できたんじゃないかとも思うのです。2人の旅を覗き見るのはとても楽しかっ…

2

春淫狩り ―パブリックスクールの獣― 小説

高月紅葉  笠井あゆみ 

『悪辣非道な当て馬』の方が気になっちゃって

大層評価が高かい作品なのですけれども、出版社あらすじの『処女オークション』という単語に若干の拒否反応を示してしまいまして。
頭では理解出来ない訳ではないのですけれども『真っ新』に価値を見出してしまうことに、少しばかり萎えがあるのです。
方や『公開』は割と萌えなのです(……公の場でで言うことか?)。
でもですね、萎えなかったし、その手の萌えはありませんでした。
確かにみなさまの言う通り予想を…

2

あなたが食べるその日まで 小説

葵居ゆゆ  立石涼 

食べて、やって、

とても不思議なお話です。
「萌えたか?」と聞かれたら「うーん……(どうだろ?)」と答えますが、どこか魅力的なお話なのよ。

飲食関係のコンサル会社に勤める幌置は元々パティシエ志望で海外修行までしていますが、修業期間に恋人(女性)にふられています。その時に、実は元カノよりも自分と同じようにパティシェを目指している友人の知瀬(バイ)を好きでいることに気づき彼に告白しますが「付き合うことは出来ない…

4

初恋の人のお嫁さんになりました。 小説

chi-co  陵クミコ 

小動物の可愛らしさを堪能

甘い……とことん甘い!
それも『クールで切れ者のあいつがあの子にだけ甘い』という、王道まっしぐらの甘さでございます。
おまけに『初恋』ですよ、悠里にとっては。

捻くれた私は「これだけ甘いんだったらどっかで一波乱あるだろう」と普通なら考えるのですが、今作の甘さは最強でそんな気配を微塵も感じさせないのです。
だからと言ってお話が平板な訳ではないのですよね。この辺が面白かった。
というのも…

1

ブラックジャックの罠 小説

中原一也  小山田あみ 

シンクロ

中原さんの書く男の人たちはやはりカッコいいのです。
今回は2人とも猟犬を思わせるような方々で。
同じ猟犬でもタイプが違うんですよ。
西沖はポインターを思わせましたね。獲物を見つけて、飛びかかるのではなく獲物を見つけてポインティングする。荒事には向かない感じで、実にスマート。
方や鵜飼は泥臭いです。この『泥臭さ』がオヤジスキーには堪らない訳ですが。ブラッド・ハウンドみたいな感じ。人には優しい…

2

魔王と誓いの口づけ 小説

海野幸  琥狗ハヤテ 

『時間』がテーマのお話であると思ったんです

『駄目ッ子インキュバス』がツボにはまったので、スピンオフのこちらも続けて読破。個人的趣味では前作の方が好みですが、こちらもなかなか。真っ向から涙腺を突いて来ます。
ってか、ティエンの本当の姿が『魔力の弱い巨大な竜』で、ちょっとばかり『犬っぽい』のは(良い意味で)ダメでしょう!「狙ってんの?(鼻水をすする音)」という感じでした。

前作でクライブとタキの間をかき回し、なかなか良い仕事をしてくれ…

0

七日七夜の恋心 小説

久我有加  北沢きょう 

現代上方落語と幇間について勉強させていただきました

久我さんの落語家シリーズです。
今回も現代もの。
おまけに落語家同士ではなく落語家×幇間(太鼓持ち)なんです。
「シリーズも長くなると色々と出してくるなぁ……凄いなぁ」と思います。
今回は上方落語と江戸落語の違いについても何度も出て来るんですよ。上方落語はあまり馴染みがないものですから大変勉強になりました。初蝉(守博)は『江戸落語だったら大物になるパターン』の人なんですよねぇ。だから高座で…

1

ブレイク俳優に熱愛されてます 小説

ナツ之えだまめ  すずくらはる 

ものすごく好きな部分と良く解らない部分が共存していました

すごく共感できる所と、どうも良く分からなくてモヤッとする所が共存するお話で『萌×2』をつけるか『萌』なのか非常に迷いました。うーん……今でも迷っているんですよね、実は。

俳優とそのマネージャーのお話なのですが。
誰かの良さを見つけて、それが伸びるように育成していく、もしくは人の目につくように演出していくというのはとてもやりがいのある仕事だと思うのです。
そういう『素材』を見つけたら、そり…

0

本気の恋をお借りします 小説

夕映月子  すずくらはる 

朔を愛でたい

なんちゅうか……あまりにも現実離れした可愛らしさを突き付けられたというか。
うん。可愛い。
可愛いだけじゃなく、朔は正しい。
確かに、こういう子が側にいたらたとえヘテロであっても「全力でお守りします」と言いたくなってしまいますよ。恋愛的な意味じゃなくとも。

入院した育ての親である祖父は「人生を共にする人を見つけて欲しい(そうじゃないと心配だ)」的なことを言い、挙句の果てにはお見合い的な…

2
PAGE TOP