「君の冗談の続きは?」「…シナリオ次第だ」

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ショーが跳ねたら逢いましょう

show ga hanetara aimasho

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表題作ショーが跳ねたら逢いましょう

ダレン・フォーガス,俳優
テオ・ガヤルド,ダンサー

同時収録作品cafe et cigarette.

同時収録作品Rockin in my head

同時収録作品nero

同時収録作品ひぐらし、油照りの路地

慶次
宗一

その他の収録作品

  • カーテンコール
  • モノクローム

あらすじ

母親の死をきっかけに舞台に立てなくなったダンサーのテオ。気分転換にとすすめられた映画出演で若手人気スターのダレンと出逢う。冗談でしたはずのキスでコシップ誌は大騒ぎに。
華やかなハリウッドスターの恋と人生の物語から、京都祇園を舞台にした和の世界まで、あらゆるシチュエーションを芸術的タッチで描く著者待望の書き下ろし初コミックス!
(出版社より)

作品情報

作品名
ショーが跳ねたら逢いましょう
著者
えすとえむ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
東京漫画社
レーベル
MARBLE COMICS
発売日
ISBN
9784902671674
3.7

(20)

(6)

萌々

(6)

(6)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
9
得点
73
評価数
20
平均
3.7 / 5
神率
30%

レビュー投稿数9

器用なbasso

って感じですかね。もちろんいい意味で!

筋肉とドレスのフリルのベタ黒が息を呑むくらいに見事。

表題作のバレエダンサーの話と
京都に残った幼なじみに会いに40年ぶりに祇園祭に帰ってくる話が
美しくまとまっていて特によかったです。


関連作品として
「エイジ・コールド・ブルー」に 
Rockin'in my head と cafe et cigarette の前日譚が
それぞれ6編と1編ずつ載っています。

2

どてかぼちゃ

関連作品として
「エイジ・コールド・ブルー」に 
Rockin'in my head と cafe et cigarette の前日譚が
それぞれ6編と1編ずつ載っています。

陰影の深い絵と心

えすとえむさんの初期のBL短編集。
独特の陰影の濃い絵、ヨーロッパ的な雰囲気、思わせぶりな会話。
その後華やかなに開花する作者の個性が、よくわかる作品だ。

短編は全部で7つ、うち連作が2つあり全部で5つの世界。

「カーテンコール」・「ショーが跳ねたら逢いましょう」
自分のダンスを見にくる途中で事故にあった母の死をきっかけに、
踊れなくなった天才ダンサー、テオ。
逃げてきたハリウッドで共有した人気俳優のダレンと、遊びでしたキスをパパラッチされて…

カッコいい表紙の二人、ひとことで言えば、テオの再生の話だが、
とにかくテオの美しさときたら!
そしてテオの背中を押すダレンもまたいい男だ。

個人的にはこれが一番好き。

「cafe et cigaratte.」
絵に行き詰まっているルネと、本屋で偶然知り合った画廊主リュシオン。
話は他愛もない誤解やすれ違いの恋だが、
珈琲と煙草というタイトルの通り、コーヒーと煙草がいい小道具になっている。

「Rock'n in my head.」
アマチュアバンドの若いギタリストと、彼が敬愛する有名バンドのギタリスト、多分50代。

「nero」「モノクローム」
静かな雰囲気の中で、童話のような世界が描かれている。

「ひぐらし、油照りの路地」 
慶次は42年振りに祇園祭に帰ってきたが、かつて好きだった宗一は既になく
彼によく似た孫の亮太が、祖父の笛を吹いていた…

最初、慶次と宗一って双子の兄弟(禁忌の愛?!)とか思ったのだが(笑)
それは単なる勘違い。幼なじみです。
何もない、ただ思って、時間が経って、そして笛が残されていた…という、切ない話です。

作者のえすとえむさんは、竹宮恵子が教授を勤める京都精華大学の出身だが、
流石の京都の雰囲気がまた素晴らしい。

3

和と洋と。

七月に入るとすぐに京都市街では、「こんちきちん」のお囃子が聞こえてきて、ああ、夏が来たなと思います。えすとえむさんのデビューコミック『ショーが跳ねたら逢いましょう』の最終話は、そんな京都・祇園祭をモチーフにした短編です。

この短編集には厳密にいうと七編収録されていますが、五つの物語から構成されています。前半の三作(+一話)は海外を舞台にしたお話で、残りの一作(+一話)は猫ちゃんを擬人化したお話、そしてラストを飾るのが、京都を舞台にしたお話です。

芸事をする人々に惹かれるみたいで、この作品に出てくる人物は(猫ちゃん以外)全て表現者か、ものづくりに携わる人々でした。わたしが印象的だと思った作品は、表題作よりもパリを舞台にした「café et cigarette.」と、最後の「ひぐらし、油照りの路地」。どちらも、恋の萌芽がテーマですが、これから恋が始まりそうな予感を匂わせるお話と、恋すること打ち消してもなお、両者の心の中では微かに続いている(いた)、かのようなお話です。

こんなふうに短い作品で、言葉少なに人の心の動きを表現できるのは凄いなーと思います。漫画で海外を舞台にした作品はあまり好きではないのですが、読んでいても違和感はなく、短編映画を観ているようでした。なぜか作家さんのデビューコミックにばかり心持って行かれるパターンが多いのですが、えすとえむさんもその一人だったりします。

2

余韻漂う「ひぐらし、油照りの路地」が素晴らしい

全部で7つの短編が収録されています。

目次を見たら、主に2006年の描きおろしが中心となっていて、今から11年前の作品かぁ!と。全く年代や古さを感じさせないのには驚きました。

というか、これ初コミックだったのですね。知らなかった。

【カーテンコール】【ショーが跳ねたら逢いましょう】
世界的に有名なバレリーナの息子として生まれたテオのお話。
正直BLとしての部分(ダンス界から一時離れてハリウッドに進出し、ハリウッド俳優と出会う)はまったく萌えないのですが、テオが踊るというカルメンの一人舞台。ここに物凄く惹かれるものがあります。
ドン・ホセとカルメンを一人で踊るなんて!どういう舞台なんだろう?もし誰か踊ってくれるなら私も観に行きたいなぁと。
それとその衣装もお見事なんです。上半身はダンサーらしい筋肉のついた美しい裸体で下は数多のフリルを散りばめた素晴らしいスカート。髪はシニヨンでまとめてバラを挿す。ドン・ホセとカルメンの融合。

【cafe et cigarette.】
スランプに陥っている絵描きルネとギャラリーオーナー・リュシアンが出会って…という話。

このリュシアンの若い頃のお話【I saw blue】が「エイジ・コールド・ブルー」という単行本の中にあって、若い頃のリュシアンはテレピンの匂いが苦手で吐いてしまっている程なんです。
そしてある男との出会いと別れが描かれてまして、テレピンの匂いを「吐き気がする」といって別離していた過去のリュシアン。

それがこの作品では、最後に絵描きのルネに染み付いているテレピンの匂いを「その匂い好きだよ」と伝えている。二冊目の「エイジ・コールド・ブルー」を読まないと、このテレピンの匂いを好きだと言えるようになったリュシアン、という裏事情が判らないのが難ですが、それを念頭に置いて読むと感慨深いものがあるという仕組みになってます。

【Rockin in my head】
バンドをやっている青年のお話。正直この短編だけだと、色々な事情やら人物が登場して把握するだけで精一杯って感じだったのですが、二冊目の単行本「エイジ・コールド・ブルー」ではこの短編の続きやら過去やらがメインでみっちり描かれているので、気になった方はそっちも読む事をおすすめします。音楽に絡んだ愛憎劇です。

【nero】
黒猫を擬人化したお話でなんとなくメルヘンな世界。

【ひぐらし、油照りの路地】
これだけ舞台が日本・京都の夏です。42年ぶりに幼馴染に会いに祇園祭で賑わう町に戻ってきた男の話。すでに幼馴染はこの世におらず彼に良く似た孫が笛を吹いていた。

恋に発展させる事なく終わってしまった淡い関係だけど、孫が吹いている笛がかつて男が幼馴染に譲ったものである…もう幼馴染はこの世にはおらず、その笛だけが遺されていたというところが何とも胸にきます。余韻が残るお話です。 これは神。

2

一コマ一コマがお洒落

これがデビュー作とは…すごいですね。

えすとえむ先生の作品は、先生しか描けないと思わせるところがすごい。
この一連の短編集もそうですが、えすとえむ先生の作品はストレートに表現するより行間を読むよう求められたり、一定の教養が求められるところがあるので、その全てを理解できているかというと正直自信がありません。自分がもっと追いつけたら、神評価にすべき作品だと思う。
かつ「エイジ・コールド・ブルー」を併せて読んだ方が理解が深まる。赤と青の並びが美しいです。

※電子書籍ひかり
カバー下漫画あり、裏表紙無し

0

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