イラスト入り
記憶喪失の達也は記憶がないにもかかわらずなぜか、敦に執着しています。敦のことが気にかかって気にかかってという理由のない執着に、読者も首をひねりながらページをくりますが。
記憶が少しもどりかけ、真実がはっきりしたら、そのどんでん返し具合にうならされます。
そして、読み終えた後、真実を踏まえたうえで、もう一度敦の頑なだった態度や、敦に執着する達也への冷たい態度に納得させられます。
ネタバレになるので、あまり真実をかたれませんが。。面白いですよ、こういうどんでん返しはあまりないでしょう!
でも記憶喪失って、本当にこんなに人格がかわっちゃうんでしょうか?イメージの達也より幼児化してます。
おまけで挿入されているショートストーリーも甘甘で、溺れるほど好きになるのがこわくて一緒のベッドにはいれないという達也もセリフに、溶けそうになりましたよ。。。・゚・(ノ∀`)・゚・。
切り口は斬新、しかもエロいなかなか大人好みの作品となっております!
記憶喪失ものの作品てすごく好きということもなく、あんまり期待しないことのほうが多いです。
何故なら記憶をなくす→相手のことを忘れてしまう→それを取り戻すまでのストーリー展開という一本道が最初から完全に定められてるからなのですが。
しかしこれは冒頭から引き込まれました。
交通事故で記憶をなくした達也は、従兄弟の敦と同居していたと知って記憶をなくしたまま、また彼と暮らしはじめます。
でも敦は冷たく、達也のことが嫌いだという。
嫌いなら何故同居していたのか?
戸惑いながら記憶を辿ろうも、メールも電話をくれる友人もなく、訪ねてくる人もいなく…
一体自分はどんな人間だったのか、仲良くないのに暮らしていた敦との関係も疑問で、よく電話をしていたはずなのに、敦の携帯電話の番号も登録されていない。
二人の関係って一体どんなだったのか、気になって仕方なかったです。
核心まで読むと、結構痛々しい、せつないお話です。
敦と達也の本当の関係はネタバレになるので真実を書くのは控えますが、達也は記憶をなくし、何もわからないまま、敦の言葉に翻弄されながら敦に惹かれていきます。
何が本当かわからない、記憶ほど曖昧なものはない、というテーマで作者さんは書かれたらしいのですが、とても引き込まれるお話でした。
面白いことに、記憶をなくしたことで達也はもとの達也という人間も客観的に見られるのですね。
そして第三者的な目線で、二人の関係の真実にいきつくわけです。
そして達也が真実を知ってからがすごくせつない。
せつなくて苦しくて、でもお話としてよく出来ていると思ったのは、達也は敦が好きなのに、過去の自分のせいて達也は嫌われている、「達也」のツケを今払っているわけです。
過去の自分のせいで報われない恋。達也は過去の自分を恨みます。
そのあたりがよくある記憶喪失モノの一連の流れと違っていて、ひきこまれました。
くっつくのかハラハラな関係も最後は、甘かす感じで終わっています。
あんなにドロドロしていたのに、でも不自然でなく、敦が達也を可愛いと感じたことも、何故可愛いと思うのかも素直に伝わってきて共感が持てました。
達也が事故にあった理由も、口で説明を聞くとせつなくてじんときた。
えろが多目なのですが、イラストが本当に綺麗でしげしげ眺めてしまいました。
ちょっと痛々しくもギスギスした関係が最後は甘々になります。
ストーリーそのものも面白く、カップリングとしても楽しめました。
表題作と短めの続編の2作品収録されています。
記憶喪失ものって、「失うまでの記憶はどんなものなのか」「いつどうやって記憶を取り戻すか」がポイントとなり、ミステリ要素が高くなる傾向があるので、推理小説好きの私にとっては大好きなジャンルです。
事故まではどんな自分だった?
本当に単なる事故だったの?
二人の関係は?上位だったのはどっち?
そして、その期待を裏切らない素晴らしい作品でした!
幼馴染から社会人までの二人の思い出と、それに伴う「達也」の長い片思い。事故までの素直になれない「達也」と、事故後の記憶をなくしながらも一緒にいたいという感情のまま動く達也。そんな達也の変化に戸惑う敦。二人の揺れる感情がとても丁寧に書かれていました。
達也は敦にしたことは許しがたいはずなのにーーラストの敦の言葉に、達也と一緒に泣きました。
続編の「甘い場所」では、不器用な達也と、好きと分かった途端に甘い敦の話に大満足でした。
幼馴染み社会人カップルがお好きな方、切ない大人同士の恋がお好きな方にお勧めです。円陣先生のイラストも素敵ですし、エロ場面も多いです。ただ、冒頭をエッチシーンにして回想させる必要はあったのかは微妙な印象でした。ありがちですが、事故の白いライトの方が良かったのでは。
陵辱が苦手な私にも気持ちがある分そう酷くは思いませんでしたが、無理強いする場面があります。また、攻め受けが反対な場面もありますので、苦手な方はご注意下さい。
事故に遭い、記憶を失ってしまった達也は
裕福な実家があるにも関わらず
仲が良さそうではなかった従兄弟の敦と同居していたようです。
前と同じ環境の方が思い出しやすいと医者にも言われ
敦とまた同居を始めますが
決して友好的ではない敦の態度に戸惑います。
自分と敦の関係性はいったい…。
記憶喪失もの、結構作品として数はあると思いますが、
しばらくわからないまま進むので
達也の不安に共感してしまいました。
しかも、冒頭から凌辱シーンなのですが
無理矢理な行為は好ましくないのに
達也がすごく感じているので
嫌な気持ちにはあまりなりませんでした。
ただ敦の冷たさが気になって、一気に読み進められました。
思い出せなくても敦に対してだけ感じる執着、
憎いのに側にいたい矛盾、
敦に翻弄されながら抗えない達也に胸が痛み、
意外な真実が明かされた後半では驚かされました。
ベッドシーンは何度かありましたが
甘い雰囲気ではないのに達也が気持ち良さげで
事後の冷たさが引き立つ様子もまた切なかったんです。
それすらもラストの心を通わせた場面では
二人とも苦しんで来たけど良かったねと思えました。
SSの『甘い場所』で達也同様救われたような気持ちに…。
書き下ろしまで読めて嬉しかったです!
なんといっても円陣闇丸さんの美しすぎるイラスト!!!
服のシワでさえ素敵ってどういう事なんでしょうね…。
しばらくうっとり見つめてしまいました!!
濃厚なエロシーンから語られる敦と達也の物語。
敦と達也は、いとこ同士で同居人。
それだけがわかる事実で、ふたりの本当の関係は謎のまま
記憶喪失の達也とともにページをめくる。
そんなシナリオになってます。
読んでるときも思ったけど
エロシーンが多いw
このエロシーンが、やたらと長く感じた。
心理描写よりもエロシーンにページを割いていて
せっかくの濃厚エロシーンに感情移入できなかったように思います。
ボーイズラブ小説は、男性用のアダルトビデオじゃないから
激しい絡みがあったとしても前後のフォローがないと
なかなか萌えられないと思うのです。
記憶喪失前の『達也』と
記憶喪失の達也の印象は別人で
達也は『達也』の罪をつぐなう形になるのです。
達也は記憶を取り戻すことはないのですが
なぜだか『達也』の気持ちはわかるのです。
ちょっとそのあたりは都合良過ぎというか
失った記憶、『達也』しかわからぬ記憶なのに
達也が断言しちゃっていいのかよ?と思ったし
敦は、それでいいのでしょうか???
達也と『達也』は、1つになることはなく
結局、敦は『達也』ではなく
新しく達也を好きになったというお話だったような気がしてなりません。
属性としては、下克上。
もうひとひねり『達也』の登場があればもう少しおもしろかったような・・・