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表題作孕み猫

草介 他、複数人
之英

その他の収録作品

  • 致死量ドール
  • CRUSHED-OBSCENE

あらすじ

幸せな恋人同志だった之英と艶子。しかし、突然の暴力が彼らの関係を変えた。歪み始めた輪にもう一人、男が入り込む。自分を貶め、艶子たちに仕えることに喜びを見出す草介。愛することも憎むことも激しい三人は微妙すぎるバランスをたもち、やがて―。書き下ろしを含む三作品を収録した、西条公威の初BBN。

作品情報

作品名
孕み猫
著者
西条公威 
イラスト
小菅久実 
媒体
小説
出版社
ビブロス
レーベル
ビーボーイノベルズ
発売日
ISBN
9784882713982
3.7

(7)

(4)

萌々

(1)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
4
得点
24
評価数
7
平均
3.7 / 5
神率
57.1%

レビュー投稿数4

隷属と支配

同じ作者による『現のヤマイ』にも表現されていたことですが、この一冊は”支配”と”隷属”がよりわかりやすく、さらに具現化して表現されているように思えます。
それぞれの本の後書きに、作者が過去隷属を強いられた立場であったことが綴られ、その恨み(なのだろうか?)が隷属の立場からではなく、支配する立場の表現でどうやって隷属させられていったかをまざまざと見せつけることに成功しています。
単なるハードコアでもなく、SM調教でもなく、生ぬるい恋愛もなく、内臓をえぐるような痛々しさに充ち溢れています。
「萌え」という表現はあまりに生ぬるく、これは魂の叫びというか、叩きつける表現のような気がします。
そういった意味で、BLレーベルでの出版ではありますが、BLではありませんね。

■『孕み猫』表題、
カーセックスの最中に暴漢に襲われ強姦された彼女が、助けてくれなかった彼氏への唯一の愛の表現。
監禁し、体の自由を奪い、死も与えず、男達に凌辱させ、
まるきり復讐の様を呈しているのだが、それは支配するものと隷属するものへの変身の過程であったという。
スカトロジストの草介が間に介在するのだが、彼は彼女に支配され悦びを覚え、その彼女が愛してるという彼氏に奉仕することでまた悦びを得、
彼氏、彼女を含め、三つ巴の従属関係を築くその関係は、あまりに生々しく、歪んだ安寧に沈んでいく彼等の姿に、底なし沼を見るのです。

■『致死量ドール』もまた、新たな支配者の誕生の瞬間だ。
題名の通りに、少量づつの毒を与え続け、もう首がまわらないほどに貶める隷属させる方法。
させられる側を客観的に見れば、どのSM作品でも思うことだが、逃げようと思えばいくらでも逃げ道はあるのだ。
しかし、その毒に堕ちていく様は、無意識化でマゾヒストの願望が働くからに違いないのです。
虚勢を張る奴は、隷属しやすい。
そんな一面を見せた、高校生女王誕生の瞬間でした。

■『CRUSHED~』
作者の隷属体験の文章化の一つらしい。
家族にさえ、自分の子供にさえ酷い仕打ちをしていた傲慢な祖母が亡くなった。
誰もがほっとする瞬間だったはずが、その祖母から一番の疎外を受けていた長女が親類をののしり、鬼婆と化したことで噴き出る憎しみの嵐。
主人公、内孫の隷属を強いられてきたうっぷんがその時噴出する。

一切生易しいものはなく、作者の魂の叫びが込められた、とにかくどれも狂気の世界です。
生半可な気持ちで手につけて欲しくない作品。
取扱注意の、危険物扱い作品です。

7

萌えはないです。

収録されている三作に共通しているのは支配する者とそれに隷属する者の関係です。愛情と憎悪が絡み合う複雑さの中、同じ関係を築きながらも目的や形態は様々で、それぞれにインパクトがあり、面白さがありました。データベースにある通りこの本はかなりハードな部類に含まれます。行為の描写自体は然程細かく無いので内容ほどエグさを感じませんでしたが、狂気の中に何とも言えない不気味さが常にありました。大抵の本は一度読めば満足しますが、このくらい作者の怨念(爆)が込められてそうな本は、寧ろ何度も何度も読み返して隅々まで暴いて味わいたくなる不思議な毒があります。

【キーワード】
監禁
陵辱
輪姦
拘束(ひも、ガムテ、ボールギャグ、アナルプラグコックリング付きハーネス?)
ピアス(両乳首と陰茎の三連)
媚薬
バイブ
スカトロ
浣腸
アナルフィスト
ビデオ撮影

4

離れたいのに手放せなかった何か。

内容については、ある意味常軌を逸していて、共感するには難しい作品かと思います。
読んでいる最中、重苦しいし、愛なんてかけらもないし、色んな意味で縛られてしまう。
ただ…何でしょうか、なんとも言えない、執着のようなものに自分自身が囚われて、私はこの本を2回手放し2回買い直しました。
もういい、もう読まないと思って手放すのですが、なぜかまた買う。
3回目手放そうと思った時、無駄な抵抗かと思い、結局今も自室の書棚にあります。
理由は分からないし、手元にあっても読まないのですが、私には手放せない何かがあるのだと諦めました。
全然レビューじゃなくてすみません。
ひとつだけ…ただ生きてるだけ、それも自力で生きられなくなってもいいと思える精神状態は、異常だけど、究極の至福なのかもしれない…と、昔読んだ時に思った事だけ、レビューらしく書いてみます。

0

体言止めが多く、独特のリズムのせいでポエムっぽく感じる

執筆当時22ならしょうがないのかもしれませんが、内容以前に文章が自分に酔過ぎてて受け付けませんでした。作者の思い入れや意気込みが強すぎるんじゃないでしょうが。見ていて白けます。自信があるのか不安なのかわからない後書きもそうです
内容、文章ともに深みを出そうとして、またそういう方向性のものに似せようとして逆に底の浅さがさらけ出されているんじゃないでしょうか。
内容はわかってて読んだので文句はありませんが、妙な生々しさとBLと女の同居という面で、一体どこの読者層を狙っているのか疑問に感じましたね

2

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