ハッピーエンドアパートメント

happy end apartment

ハッピーエンドアパートメント
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レビュー数
9
得点
53
評価数
14件
平均
3.9 / 5
神率
28.6%
著者
 
媒体
コミック
出版社
リブレ
シリーズ
シトロンコミックス(コミック・リブレ)
発売日
価格
¥638(税抜)  ¥689(税込)
ISBN
9784862639783

あらすじ

同棲相手に追い出されたルカは部屋探しへ。入居募集の張り紙を見つけ行ってみると部屋は空いておらず大家が「俺と一緒に住まないか?」と誘ってきた。超不審だが背に腹は変えられず住むことを決める。さらにそのアパートは奇妙な住人ばかりで・・・。
(出版社より)

表題作ハッピーエンドアパートメント

それぞれのアパートの住人
それぞれのアパートの住人

その他の収録作品

  • PROLOGUE
  • chapter1 ディノとサルバドール
  • EXTRA ハビとルカ
  • chapter2 ノエと双子
  • chapter3 マティアスとペペ
  • chapter4 ホセとエヴァ
  • chapter5 ハビとルカそしてルカ
  • Anoter Prologue

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レビュー投稿数9

“ハッピーエンド至上主義”に対するアンチテーゼ

なんて絶妙な皮肉を効かせた作品なんだろうか。
「いくつもの素敵なハッピーエンドが詰まった短編集」としても読めるところがなんとも巧妙で、読み終えて思わず唸ってしまった1冊。

「お前が書くような辛気臭い話は受けないからハッピーエンドを書け」と編集から言われた作家〔ルカ〕が、同棲していた恋人にフラれ部屋を追い出されてやってきたのは、フェリス通り(スペイン語で“幸せ通り”の意)の突き当たりに位置することから「フィナル フェリス」(=ハッピーエンド)と呼ばれているアパート。
ルカはそこで出会った大家の〔ハビ〕から、このアパートの住人達の日常を小説にしてハッピーエンドをでっち上げてみたらどうかと提案されます。

そして、ルカから見た住人達の日常が本編として順番に描かれていきます。

・chapter1
3年間一度も部屋から出ず全裸で生活する男と、服を作るのが仕事のファッションデザイナーの話。

・chapter2
どちらかを選べなかった男と、どちらかを選ばれたくなかった双子の話。

・chapter3
「少年」の人形が得意な人形作家と、成長を恐れる少年の話。

続き・chapter4
耳が聞こえず無音の中で独り暮らす男と、同居人との騒々しい生活にうんざりしている男の話。

計算されすぎのカップリングと、映画やおとぎ話のようにドラマティックなストーリー展開。
ラストはもちろんすべてこの上ないハッピーエンド。
ここまで読み終わった頃には、読者の感想はきっと二分されているんではないかな。
いいお話だわと疑いなく読める人と、ん?と戸惑う人。
後者の私は色んな引っ掛かりを感じて首を傾げながら読んでおりました。

・chapter5
ハビとルカとハビの過去の話。
この章でルカがあるキーワードをモノローグ内で発してくれたおかげで、それまでの4編で私が感じていた引っ掛かりの正体と、えすとえむさんが何を描こうとされているのかがはっきりと掴めました。
一番最後のルカのセリフなんて、ほとんど答えのようなもんですね。

私はこの作品は、「いくつもの素敵なハッピーエンドが詰まった短編集」なんかではなく、“ハッピーエンド至上主義”に対するえすとえむ流のアンチテーゼだと思っています。
だから最後に『Another Prologue』と題されたエピローグがあるのだと。

3

誰にでもハッピーエンドは訪れるのか?

オムニバス形式の短篇集でした。


この物語は主人公・ルカは恋人に男ができ、追い出され、
住む場所を見つけるためにこのアパートにやって来ました。
小説家志望の彼は、「ハッピーエンドを書け」と言われますが
ハッピーエンドというものを知らない主人公・ルカは
それを書くことができないでいます。


しあわせ通りにあるひとつのマンションにやってきたルカは、
住人たちを主人公に、
ハッピーエンドに辿り着くまでの紆余曲折の物語を描こうとします。


8編でなりたっており、全部は紹介しきれないため、
印象に残った2編だけレビューしたいと思います。

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●ディノとサルバドール

ディノとサルバドールは恋人同士(いずれも男)。
しかし、サルバドールは、3年間全裸で過ごし、
一度も外に出たことがありません。
しかも、3年間セックスレスです。

ディノはなんとかサルバドールを外に連れ出したり、
服を着せようとしますが、サルバドールは頑なに拒否します。
うおお、サルバドール、胸毛がある!
(ちょっとだけど)
すね続き毛とか胸毛とかちょっと苦手だったり
するんですよねー。でも話が面白いので我慢><

なんでもいいから何か着て欲しい。
ずっと全裸の男に欲情できない、と明かすと、
サルバドールは
「ウェディングドレスが着たい」
とか言い出します。
ここは大爆笑しました。

そしてサルバドールはディノにプロポーズします。
急いでウェディングドレスを用意するディノ。
サルバドールはウェディングドレスを着ますが、
すぐにディノに脱がされてしまいます。
と、いうところでENDでした。
まあ、致すことを3年ぶりに致すのでしょうが…
ニヤニヤします。

攻めは体格から言って、「サルバドールだ!」
と、思っていたのですが、
案外ディノが攻めだったのかもしれませんね。
最後までその謎は明かされませんでしたが…

-------------------
●ハビとルカ そしてルカ

最後の章でした。
ハビのハッピーエンドを探そうとしますが
全く見つからないルカ。
一緒に住んでいるというのに、ハビのことを
何も知らないということに気づきます。

あるとき、ハビの死んでしまった恋人の名が
「ルカ」だったということに気づきます。
つまり、亡くなった恋人と主人公は同じ名前だったわけですねー。
しかも、声も「ルカ」そっくりだったことを
ハビは告白します。そして主人公のルカに謝罪します。
ここは見ていて切なかったです…。
ハビはどんな思いで
主人公のルカと一緒に暮らしていたのでしょう…?

ルカは次の日、ハビの家を出ていこうとしますが
引き返します。

「僕はまだ君のハッピーエンドをまだ書いていない」

そして、ルカはハビのもとに行き、説得。
「君の人生はこれからも続くんだ。
 そこに僕がいちゃだめかな?」
と、いうルカの言葉に、ハビはルカを抱きしめます。

そしてハッピーエンド。
良いハッピーエンドでした。

-------------------

短編それぞれに、
アパートの住人の想いが詰まっていて、
本当にハッピーエンドが素晴しいものだと
再確認できました。

2

ハッピーエンドは人生の終わりじゃない

◆あらすじ◆

ハッピーエンドの作品が書けず、スランプに陥っている小説家(の卵)のルカ。
恋人に部屋を追い出され、新しい部屋を探すうちに、或るアパートメントの家主でDJのハビに誘われ、彼の部屋に同居することになります。
ハビの勧めで、ルカは、アパートメントの住人たちをモデルにハッピーエンドのストーリーを書き始め――
ルカが綴った各部屋の住人たち(全員ホモ!)の恋模様を、オムニバス形式で描いた作品です。

◆レビュー◆

物語の舞台はスペイン?手掛かりはこのアパートメントがある場所「カジェ・フェリス(幸せ通り)」というスペイン語だけなんですが、この架空の固有名詞ひとつで、もうそこがスペインにしか見えなくなるところが、えすとえむさんの絵のスペイン力、いや説得力。
何なんでしょうね、この、誌面から漂ってくる南欧の乾いた空気。
毎度のことですが、まずはこのエキゾチックで個性的な絵に魅了されます。

さて、この作品には、5つのハッピーエンドの物語が描かれています。
何故か全裸で暮らしている彫刻家、彼が服を着ることをやめた理由とは?
成長して少年の頃の美しさを失うこと続きを恐れ、去って行った恋人の人形(少年の姿の彼)と暮らす人形作家、
双子を愛してしまい、どちらかを選ぶことができずに、両方と暮らす男、
耳が聴こえることの煩わしさと幸せを知った女装ゲイの恋…
誰もが一度は直面するような、悩み、苦しみ、そしてそれらを克服する人の姿が、ダイナミックにデフォルメされた形で描かれた物語は、どれもユニークで惹きつけられます。
人の数だけ幸せのカタチ。基本ほのぼのですが、ちょっぴりビターな後味も感じさせるお話です。

そして、最後にルカとハビのハッピーエンド。
実はハビがルカを強引に同居に誘ったのは、彼の死んだ恋人・ルカにそっくりな、ルカの声に惹かれたから。ハビがいまだに死んだルカを忘れられないでいることが分かり、傷心のルカは部屋を出ていきます。
しかし、まだハビのハッピーエンドを書いていなかったことを思い出し、ハビの部屋に戻るルカ。そして、ルカはハビに告白するのですが――
これは、この物語の中での現実なんでしょうか?それとも、部屋へ戻ったのはルカの小説の中の出来事?
あるいは二人が同居を始めたことすら、ルカの創作なのか?
描き下ろしの「Another Prologue」には、ハビと第三のルカ(この作品の中で「ルカ」は、ハビが惹かれる男を意味する記号)との出会いが描かれています。
タイトルから察するに、小説を書いていた第二のルカとは、どうやら別れたのかもしれません。(あるいは、現実にはハビと第二のルカとの恋は始まりさえしなかったのかも…)

この描き下ろしを描いてしまうところが、いかにもえすとえむさんらしい。
そう言えば、5章で第二のルカがこう言ってましたっけ?
「(ハッピーエンド)は人生の終わりじゃない。第一章の終わりだ」
ハッピーエンドにも続きと終わりがあって、そしてまた新たな第二章が始まる。
「Another Prologue」には、まさにそんな、えすとえむ流の「ハッピーエンド」観が描かれている気がします。
「第二章も第三章もずっと」ハビと一緒にいたいと言っていた第二のルカ。彼の願いは叶わなかったことになりますが、時とともにうつろう人の心まで、ハッピーエンドで縛ることはできません。
ハッピーエンドを描きつつ、ハッピーエンドものに対するささやかなレジスタンスも感じさせる…この少し尖った感じが、とても好きな作品です。
「ハリウッド映画みたいな陳腐な」ハッピーエンドが苦手だと言う作家・ルカは、もしかするとえすとえむさんの分身なのかも――

4

良質なハッピーエンドが浴びるほど読める作品

ハッピーエンドが書けない小説家が主人公で、
スペイン語でハッピーエンドという名前のゲイマンションを舞台にしたオムニバス5編。

「ハッピーエンドだって?見た事ないんだ 書けっこない」
小説家志望のルカはそう言って苦しむけれど、
これだけ緩急取り混ぜたいろんなハッピーエンドをまとめ上げるえすとえむさんは
ハッピーエンドの達人ですよね。
ラストはうっかり号泣してしまいました。
部屋が空いてない事情ってそういうことだったんですね。

いつもクライマックスでの流麗な連続見せゴマがテクニカルで感心してしまいます。






2

それぞれのドアの向こうに、それぞれのドラマがある。

CALLE FELIZ(カジェ・フェリス/西語)=Happy Streetの突き当たりにあるアパートメント。
売れない小説家のルカは一緒に住んでいた恋人に部屋を追い出されて、
このアパートを見に来る。
部屋はもう満室になっていたのに、何故か大家のハビ(DJ)に強く請われて、
彼と同居することに…

ルカは、編集者に「ハッピーエンドの物語」を書くように言われるが、
でも自分がハッピーじゃないのにそんなもの書けないと言う。
するとハビは「アパートの住人達を観察して、ハッピーエンドをでっち上げるんだ」という。

ルカが、アパートのそれぞれの住人部屋を覗き見たのか?あるいは彼の創作なのか?
オムニバス形式で、住人達の恋が描かれていきます。

・引きこもって3年、全裸で暮す男の話。
・双子のどちらかを選ぶなんて出来ない、と3人で暮す男。
・人形師(勿論男)の恋。
・耳の聞こえない青年とオカマの恋。
そして、「ハビとルカ」、更には「ハビとルカ、そしてルカ」…

どれも、洒落た映画を見ているような独特の味わいがある。
勿論、ハッピーエンド。
読んでいて深く心続きに幸せが沁みて来るような住人達の恋。
Hシーンがなくても、十分に色っぽくて満足を与えてもらえる一冊です。

カバーを外すと、アパートの見取り図が描いてある。
洗濯物が干してある様子が、これまた可愛い♡

4

素敵なハッピーエンド。

難解そう…わたしに分かるかな?
えすとえむさんの本は気になっていながら、そんな理由で手を出さずにいました。
でもこちらの本、タイトルには “ハッピーエンド” の文字があるし、
表紙は、素敵な日常を切り取ったような絵。
これなら大丈夫かなぁと読んでみました。

この本しか読んでいないので、
これから読んで正解だったのかは分からないですが、
手にしてよかったなぁと素直に思える一冊でした。

細やかに説明してはいないので、
多少自分で思い巡らして話を補完した方が楽しめるタイプの読み物ではありますが、
そこに努力はいらないかと。
すばらしい絵に自然と引き込まれ、自然と想像してしまいます。


一軒のアパートメント。
無機質なドアを開けると、そこには住人たちのストーリーがある。


登場人物が多く、ひとりひとりに割かれたページやカットは少ないですが、
それぞれに強い印象と余韻が残ります。

その部屋で過ごしてきた長い時間があり、
抱えた想いがあり、
だからこそのハッピーエンドがある。

外国映画のようで、絵本のようでもある、この本。
でもこ続きの形が一番よかったんじゃないかと、
ペン画きの、色のない美しい絵の数々を見て思いました。


終わり、じゃないエンドが素敵です。

3

エロスとはなにか

舞台は、幸せ通りのつきあたりに建つアパートメント。
そこに住む人たちの恋の話ですが、住人の数だけ人生があり、恋があり。
みんなゲイでいいじゃない!(笑)
実際のできごとなのか、作家の想像なのかわからないところもまた、じんわり余韻が残るところです。
どれもヨーロッパの短編映画のような味わいで、素朴で気負ってないのにおしゃれだよ。
見事に醸し出すヨーロッパ感。嘘くささがまったくなくて、えすとえむワールドには毎回感動するってもんです。
かつての恋人との出会いをラストにもってきているところも、なんとも憎い演出で、この二人にどんな恋が続いていたのかどんな風に終わったのか知りたい!と思わせる巧妙さ。さすがでございます。
漫画や小説は、あくまでもその人の人生を切り取ったごく一部のお話…いや、実在しないんだけどさ、よくそういう風に思うんですよね。
この作品は特にそれを強く感じてしまって、いつまでも余情にひたってしまいました。
そして濡れ場がたくさんある漫画よりもよっぽどエロさがある。
今やえすとえむさんはそんな境地にいらっしゃいますね。

3

何度でもいうけど

絵が素晴らしい。

えすとえむさんの作品って、とにかく絵が素晴らしい。
画面構成が素晴らしい。
そして今回は、ハッピーエンドという名のアパートを舞台にした、アパートの住人達をモデルにしたお話。

小説家志望のルカは、編集者にハッピーエンドの話を書いてこいといわれますが、恋人に家を追い出され、住むところもなくハッピーエンドどころではありません。
そんなとき、偶然目についた入居者募集の張り紙煮、電話をして部屋を見に行くと、、

1話づつは、ルカの創作なのでしょうか。
雑誌掲載時には、単独でも楽しめる洒落た読み切り短編でした。
コミックスでは最後に、ルカとハビとルカのお話。
ここまで1冊にまとまって、全体を通して読むことで作品としてのグレードがグッと高まります。

それにしても、ホントに絵がいいなぁ。
西欧人はちゃんと胸板が厚かったり、毛深かったり、眼窩がくぼんでいたりして、多分日本人の双子は胸も体毛も薄くて、体臭すら薄そうな感じで。
絵が、いいなぁ。

3

物語の中の物語

やはりこのお話もオムニバスだったのだが、単発で雑誌掲載時に読んでいた時より一冊になったほうがその味わいが深く、本来の主人公の関わり方がよくわかります。
それに一番最初の話しを読んでなかった人にはきっとただのハッピーエンド物語の短編でしかなかったとは思うのです。

しあわせ通りの突き当たりにあるアパートメント(ハッピーエンドアパートメント)が舞台。
男に捨てられ追い出された小説家志望のルカが、空き部屋があると聞きそのアパートへ行くともう部屋は埋まっているという。
DJをしている大家のハビが、よかったら自分の部屋に一緒に住まないかともちかけ、家賃ダタに魅せられて同居することになる。
幸せな話しは書けないというルカに、ハビはこのアパートの住人をモデルにハッピーエンドの話しを書けばいいと提案する。

これが始まりで、あとは住人をモデルにしたオムニバスなドラマになっています。
ただ、これは多分きっとルカが考えた住人をモデルにしたあくまでも創作物語なんじゃないかな?って思うのです。
◆3年間裸ですごす恋人の話し
◆どちらも選べない双子と恋人の話し
◆人形師の恋の話し
◆オ続きカマと耳の聞こえない青年の話し
恋人たちの現在・過去・未来の幸せ。
どれも洒落た話しになっていますが、外国らしいなってその雰囲気が満載です。
一番のお気に入りは、裸族の超ヘタレ=恋するが故に失うことが臆病になりすぎて裸でいるという男もきになりますが・・・w
いつもにぎやかな仲間に囲まれているオカマが上の階に住む耳の聞こえない青年と出会い、二人の時間の静寂を求め、仲間のにぎやかさを恋人と共有したいと思う、その当たり前の普通の暮らしに気がつくお話が好きでした。

最後はルカはハビのハッピーエンドのお話を書かなくてはなりません。
それは、どうして部屋もないのにルカをアパートまで来させて、一緒に住むことにしたのか。
それに全ての謎が込められているのです。
どうやらハビにもハッピーエンドが・・・?

今回アパートが舞台ということで冒頭に登場するアパートの外観、ドア、階段、そんなものがbasso作品と雰囲気のかぶるところがあるのですが、どちらかというとこちらのほうが明るい雰囲気です。
特にキュンとしたり、激しく萌えをもよおしたりとかそういう作品ではなかったと思います。
なんでもない日常が物語になっている。そんな優しい作品だったのかもしれません。

6

この作品が収納されている本棚

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