階段を下りたラプンツェル

kaidan wo orita rapunzel

階段を下りたラプンツェル
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神0
  • 萌×23
  • 萌4
  • 中立1
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
4
得点
25
評価数
8件
平均
3.3 / 5
神率
0%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
心交社
シリーズ
ショコラ文庫(小説・心交社)
発売日
価格
¥619(税抜)  ¥669(税込)
ISBN
9784778114657

あらすじ

幼い頃からおっとりした性格の老舗呉服店跡取り息子・茶谷葛は、 過保護な父親に世間知らずなまま育てられ、大学を卒業し店を手伝うようになった今でも、 相変わらずの天然ぼんやりだった。
ある夜、屋敷の庭で見知らぬ黒ずくめの男と出くわし、つい流れで部屋に招き入れてしまう。 司馬和志と名乗ったその男は、葛の父が持つ美術品を見たくて忍び込んだと言い、 それらが屋敷にあるか確認してほしいと葛に頼むが…。

イラスト:ハコモチ

(出版社より)

表題作階段を下りたラプンツェル

アンティークを探しに来た会社社長 司馬和志
老舗呉服屋の箱入り息子 茶谷葛・23歳

その他の収録作品

  • 歩きだしたラプンツェル
  • あとがき

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レビュー投稿数4

背中を押す手を信じて

今回はある目的で受様宅に忍び込んできた男と
老舗呉服屋の箱入りな一人息子のお話です。

受様が攻様との出会いで親の庇護を飛び出すまでと
受様の新店舗準備に伴う悲喜交々を収録。

受様は
代々続く老舗の呉服屋の一人息子です。

せっかちな父よりも
おっとりしていた母に似た受様は
子供のころからのんびりした性格でした。

受様の気性はなかなか周りに理解されず
受様が中学生になった頃
母親が家を出ていってからは
受様が理解できない父親の教育方針にのっとって
箱入り娘のように育てられます(笑)

学校へは送迎車、お泊りは修学旅行のみ、
服は着物か、古くからの女性客のお見立てのみ。

大学卒業後は
手伝っていた「家の仕事」が
そのまま「受様の仕事」になります。

老舗の呉服店ということも有り
店の客も年配の女性客ばかりで
新しい出会いも有りません。

受様も自分が世間知らずだと判っていて
跡取りとしてコレで良いのかと
疑問を持ってはいますが
何もない自分が何かをなせるとも思えず
静かなジレンマを抱えていました。

そんな時に続き出会うのが攻様になります♪

攻様は受様宅にあるという
古美術品を探すために
屋敷に忍び込んできた男性です。

受様の父親に
直接見せて欲しいと頼んだのですが
相手にされなかったので
夜中に忍び込もうしたらしいのです。

攻様の事情を理解した受様は
攻様に協力を申し出ます。

あまりにも素直で疑わない受様に
攻様もかなり戸惑うのですが
この提案は攻様には願ったりでは有ります。

攻様は受様にリストを残して去り
受様は攻様のリストの品を探し始めますが

それらは受様の母親が
大切にしていたという品ばかりでした。

攻様は何者なのだろう?

出会った時ではなく
探索中にこの点に気づく受様なので
攻様がチラチラ見せていた
受様宅の内情に詳しい理由にも
あまり気づいていません(笑)

それでも攻様と関わる事で
受様は少しづつ自分の考えで
何かを知りたい、やりたいと思うようになります。

果たして受様を変えた攻様とは何物なのか?
そして彼の目的とは?!

童話の「ラプンシェル」を踏襲した雑誌掲載作に
書き下ろしを加えて文庫化された一冊になります。

自分に似ていておっとりした母親が家を出てから
我が強い父親の庇護下で育った受様は
自分を強く主張する事がなく暮らしてきます。

のんびりしていても愚鈍ではないので
自分の世界が閉ざされている事も
このままでいることにも疑問を持っていますが
自分から行動する事が出来ずにいる為
どうしたら変えられるのかが判りません(苦笑)

そこに現れたのが攻様です♪

攻様はある事情で受様宅に忍び込み
受様と出会います。

攻様側の事情は徐々に明かされては行きますが
ソレを知らなくても攻様に懐く受様を
攻様側でも可愛く思ってしまうのは
BL的にはお約束な展開ですよね。

攻様という外界からの理解者を得て
受様が変わっていく様子を
楽しく読ませて頂きました♪

受様は性格的にのんびりはしていても
何も出来ない訳ではありません。

大事にさせている事も判っているから
父親に強く出る事が出来なかっただけなので

攻様という良き理解者を得た今後は
自分がしたい事とできる事を見定めて
良き店主さんになっていくと思います。

攻様に負けない芯の強~い受様が
大好物なので本作もとっても良かったです♪

続編は本編で話題となった新店を
事態的にしていく後日談です。

攻様は受様に新しい世界をと思っていても
自分以上に親しくなられるのは面白くなくて
攻様がかなりの独占欲を見せています(笑)

ハッピーエンドのその先は
2人に何があっても安心して読めるので
受様はそれを恋心故とは判らず
自分が頼りないからだと思ってしまうのですが
読者には攻様の嫉妬心が見えて
とっても楽しいです♪

今回は火崎さんの既刊から呉服屋さん繋がりで
『世界を二人のため』にはいかがでしょう?

2

現代のラプンツェルは箱入りです

大きなアップダウンやトラブルが少ない受け視点でのほんわかした雰囲気の話ですが
以外に心惹かれるものがありました。
童話の主人公のようなタイトルも好奇心を刺激される一因ですね。

現代のラプンツェルは呉服屋の箱入り息子、大学卒業後稼業の呉服屋と自宅を
車送迎で往復する日々、だけどその事になんの不満も抱く事が無いと言うのが
やはり現代のラプンツェルなのでしょう。

母親が中学生の頃に出て行き、父親と家政婦運転手との4人暮らしなのですが、
この葛さんは本当に天然気質でおっとり、悪く言えば考えて行動するまで長いのです。
動物に例えるならナマケモノを彷彿とさせる癒し系でもあります。
現状の生活に不満も無く満足しているし、まるで何も出来ない子供でも相手にするような
父親の暴君的な感じも素直に受け入れる。
それでも父親からの愛情はしっかり解っているってところもいいのです。

そんな穏やかに暮らす葛さんの自宅に不審な訪問者、それが攻めの司馬さんです。
葛さんは不審者であるはずの司馬を話があるならと自宅に招き入れる不用心さ。
不審者であるはずの司馬さんがあきれ返るくらい続き呑気です。
この二人が恋におちるのですが、司馬さん側には葛さんへ秘密にしている事がある、
でもいつか教えてもらう事であっさり納得し、司馬さんが葛さんの父親が秘蔵してる
西洋骨董の品々を探して見せて欲しいと言う願いを、父親に秘密にしたことがない
葛さんが誰にも内緒で司馬さんの為に自宅で小さな冒険をする。

箱入り御曹司が初めて心動かされ、その出会いがきっかけで狭い自分を取り巻く
環境から一歩ずつ歩みを進めるストーリーで、司馬さんが水先案内人でしょうね。
葛さんのおっとりした性格故に熱さ迸る感情表現は無いのですが、逆にそのおっとりした
雰囲気が作品全体にいい感じで漂っていて良かったです。
司馬さんの秘密も全て葛さんの今後の幸せに繋がる事で、恋と家族愛が上手く調和して
楽しく読む事が出来た作品でした。

1

箱入り息子くん

作中で主人公も自分の事をラプンツェルと比喩するように、正真正銘の箱入り息子くんでした。
彼はとてもマイペースののんびりした人。感情の起伏もあまりなさそう。
天然というとそうでもあるのだけど愚鈍ではない。
両親が別れて父親と家政婦さん夫婦と大きな屋敷で育ったという素地があり、作中でわかることですが父親が厳しいがとても過保護だということ。
きっとゆっくりだけどやらせればできるのに、この子はのんびりしているからと、やらせてこなかったんではないかな。
そんな彼が、ある人と出会って惹かれて、自分の道を彼と共に歩きだそうとするまさに題名通りのお話でした。

その男・司馬との出会いは彼が裏からこっそり当主に断られたと敷地に入り込み偶然葛と出会ったこと。
彼はアンティークのものを探していて、司馬が悪人でないことがわかり、そして興味をひかれて彼に協力することになる葛という流れ。
その中で司馬に惹かれて行き、彼は家から出て自分に出来ることをやりたいと望み、
それに両親の問題も絡んで~という展開を見せます。

さほど大きな事件やヤマや、いつもの火崎流の最後の最後までの謎というのは深刻続きにありませんでした。
出会った最初から司馬は葛が好きになり、葛も司馬に惹かれという道をだどっておりましたので。
葛の性格も、自分を卑下したり卑屈になったりはせずに、大人しい感じではあるけれどちゃんと主張もするし、丁寧な感じがします。
彼の気持ちの推移は大変に解りやすかったです。
司馬の言葉に、葛に遭ってワケアリの骨董を探そうと思ったと言っているのですが、あれ?
それ以前に屋敷に忍びこんだのは?
そしてその時に急に骨董を探していると言ったのは?
順序が???
ちょっとそこがひっかかってしまいましたが、司馬も誠実な人柄で文句のつけようがないです(汗)

父親の許しも得て司馬と一緒に新しい店をやることになった話が【歩きだしたラプンツェル】なのですが、
初めての経験に司馬の助けも得ながらですが、頑張っている葛を、司馬がまるで家に閉じ込めようとした父親みたいに、彼の二の舞になりそうな展開を見せました。
店が出るビルに入っている雑貨屋の店長が葛に接近するので嫉妬したということなのですが、
今まで箱入りで余り世間の波にもまれてないから心配で、心配で、、、
と言う話だったのかな?と思われます。
愛するものは愚かになるな一例なのかもですね(笑)

主人公達にクセがないので、ストレートでとても解りやすいお話でした、
起伏を求める人にはちょっと…かも。
ちょっとくらい性格に難点があったほうが楽しいですが、司馬の嫉妬くらいではw
多分、ほのぼのしたストーリーに分類されるのではないかな?(温度は低いですが)

1

箱入り主人公が脱・お姫様をめざす

狭い世界で育った主人公(『私』)が、屋敷に忍び込んだ謎の男との出会いをきっかけに、自我に目覚めていく。

前半は、老舗呉服屋店跡取りの主人公が、厳格で過保護な父親から自立し家を出るまでのお話で、まさに『ラプンツェル』。
後半の描き下ろし【歩き出したラプンツェル】は、恋人と新しい店を始める主人公が、外の世界で真に自立しようとする話。着慣れない洋服や、食べ歩き、満員電車など、様々な初めてを体験する主人公に『ローマの休日』を思い出します。

こう書くといかにもなお姫様が連想されますが、火崎作品の受けらしく、意外としっかり者で男性的な主人公。世間知らずなりに未知の事柄にちゃんと向き合い、自分の感情を理路整然と言葉にしている、良い語り手です。
また、後半は自分がいかに『お姫様』であったか思い知り、そこから脱しようと恋や料理や店のことに一生懸命になる姿に好感がもてました。

そんな葛(かずら)に一目惚れする謎の男・司馬。
葛の屋敷にある美術品探しを手伝ってもらいつつ、隙あらば口説くのですが、あまり性急なことはせず葛にペースを合わせてくれる紳士的な人物です。

葛の成長や、司馬続きの正体、着物や骨董品のレトロな魅力など、読みどころは多いんじゃないかと思います。司馬の正体が分かると同時に、主人公と父親の問題もサラっと解決してしまったのは、少し物足りなさもありますが。
恋愛に関しては、初めての感情に戸惑いつつ、その心中をいつも素直に的確に表現する葛と、それに優しく応える司馬とで、終始穏やか。すごくまっとうな恋愛モノを読んだな~という感じです。司馬が悪い大人ぶりを発揮するところも見たかったかもw

葛視点で語られる絡みの描写は、なかなか初々しくて良いです。
2回目のHで少し積極的になり成長がみられるのですが、アレへの形容が『司馬さん』とか『彼』とか、奥ゆかしいのは変わらず。しかしそんな婉曲な表現が逆に色っぽさを出している気がしましたv

1

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