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表題作やぎさん郵便 2

澤陣一郎,出版社勤務,花城の右腕
有原岑生,廣瀬宛に恋文を書いた大学生

同時収録作品やぎさん郵便

廣瀬清高,お人好しで鈍感な大学生
花城青司,出版社社長

その他の収録作品

  • 第19話目、深夜。
  • あとがき
  • カバー下、王様の耳はロバの耳

あらすじ

返って来た本のページにまぎれていた恋文。
宛名があるはずの1枚目は無く文末の署名は本を貸した友人の名。
その友人は急に東京を去るという。それは渡せなかった手紙の所為か…。

ただ一人が手紙を盗み読まなかったことからはじまった過去と感情と関係が絡み合う4人の男の恋愛物語。
花城の過去との決着、廣瀬の不安、有原が追う手紙の行方、澤の優しさ…
それぞれの想いの行き先が見えてくるシリーズ3冊目。
「やぎさん郵便」17.5話〜23話までを収録。

作品情報

作品名
やぎさん郵便 2
著者
草間さかえ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
シトロンコミックス
シリーズ
マッチ売り
発売日
ISBN
9784799724811
4.5

(195)

(144)

萌々

(30)

(13)

中立

(4)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
22
得点
883
評価数
195
平均
4.5 / 5
神率
73.8%

レビュー投稿数22

恋文の行き着く先

待っておりました本当に!
前巻から2年以上経ってたんですね…。
「マッチ売り」と「やぎさん郵便」1巻を引っ張り出して
きましたよ、ええ。

※ネタバレ多!


前巻では花城と廣瀬がうまくいけばいくほど絡まり合って
いた澤と有原でしたが、今巻で大分(ほとんど?)ほどけ
ましたね。
澤は前巻から有原への想いが垣間見えていましたが、
今巻はもうひたすら萌えました。
悶えるほどに!
怪我をしている有原の身体を拭いてあげたり、有原の帯の
長さ(腰回りの長さ)を完璧に把握していたり、笑顔が
見たいと思ったり。
ニヤニヤが止まらない。
一方の有原も、澤の優しさに触れ、自分の望みを叶えよう
としてくれる澤に心を開いていきます。
恐らく前の男には出せなかったであろう素の自分を澤が
認めてくれて、一気に心の枷がとれたように感じました。
目に映る風景が澄んで見えたのも、廣瀬に宛てた恋文
のことを人に話すことができたのも、廣瀬への恋が
終わって、気持ちの整理がついたからだと思います。
花城とは違った方向で複雑な有原の心をシンプルに捕えた
澤、あっぱれ。
有原の身体に執拗に跡をつけたり、廣瀬に恋文を返して
もらいに行った時の言葉だったり、もうなんかダダ漏れ
だったけどw
志緒さんと夢子さんの女性キャラがいい味出してました。

花城と廣瀬は相変わらずラブラブ。
廣瀬の寛容で純粋な愛で、廣瀬との未来を考えられる
ようになった前巻。
今巻では、過去のトラウマと自らの行いを清算するべく、
性的トラウマの原因となった学生時代の先輩に会いに
行きます。
過去の先輩と自分としてではなく、現在の小説家と出版社
社長として清算しようとする花城は堂々としていて、自ら
過去を断ち切る力と自信を身に付けたように思えました。
廣瀬の愛の賜物ですね。
会った後に笑いながら廣瀬の背中に飛び乗る花城は
可愛かったです。


前巻から澤と有原の行方が気になっていたので、
そっち寄りのレビューになってしまいましたが、
澤×有原の幸せな予感が見えて大満足です。
とにかく澤萌えな2巻でした。

そして、2巻で終わりかと思われた「やぎさん郵便」、
まだ続くのですね!
3巻が最終巻ではないかとのことですが…デジャヴ感が
強すぎます先生…w
もうここまできたら何年でも待ってやろうじゃないか!
と思いつつも、やっぱり1年くらいで出してくれると
ありがたいな~…なんて…。
次巻も楽しみです!

10

BL史に残る作品

待ちに待ったシリーズ3作目。

完結は4作目までおあずけとなりましたが、
まだ続きがあるという楽しみが増えました。

シリーズ1作目から感動と衝撃を受けていますが、
今回も期待を裏切らない、いや、期待を遥かに超えた内容でした。

草間さんの、独特の絵の雰囲気と、
作品にぐんぐん引き込む絶妙なアングルやコマ割り、深いセリフで、
読んでいる間、まるで自分がお話の世界にタイムスリップしたかのように、
陶酔していました。

3作目で、花城と廣瀬が出会ってから、まだ5日しか経っていないのに、
花城、廣瀬、澤、有原の気持ちの変化が、
間接的でありながら、あざやかに描かれていて、
過去のエピソードとで、とても奥行のあるお話になっています。

花城、澤、有原は色っぽくて、
廣瀬はふわふわで、
肌や髪の質感まで伝わってくるようです。
4者4様の魅力にあふれていて、
母性愛をくすぐられます。

4人の気持ちの変化に伴い、
キーとなる有原が書いた手紙の意味が徐々に変化していく様子には、
息を飲みました。

花城が廣瀬に甘えてる所が、
可愛くてたまりません。
それも、廣瀬がいつか、
自分から去っていくのではという不安を常に抱えているから、
せつなくもあって胸がきゅんとしめつけられます。

4作目、本当に本当に楽しみにしてます。


6

澤の見せた独占欲と優しさにくらくら!!

待たせていただきましたとも!
でも、このクオリティですから苦になりませんよ…!!
澤と有原の距離がぐっと近くなった今作は
とにかく!!たまらんです!!!
私は年下ワンコ攻めスキーなので
どちらかというと廣瀬×花城寄りかと思っていましたが
そんな事ないです。引けを取らないこの濃密さ!!

思いのほか芯の強い有原が愛しくなって
優しくしたくて笑顔を見たいのに儘ならない澤が
廣瀬に、件の恋文の後ろ半分を返せと言って
「あれは俺のだ」
そう宣言したのは、手紙の事ではなくて
きっと有原自身を意味しているのでしょう。
その迫力に一瞬のまれた廣瀬ですが、たぶんわかってない…w
当然、有原の想い人(元)も花城の恋人も廣瀬だなんて
面白いわけないですからね…。
普段仏頂面なのに有原には柔らかい表情になる澤、愛しい。

悔やむ事ばかりではなくなった有原は
澤にはあれやこれやといちいち反論するけど
心を許していなければ逆にそういう態度に出られないんじゃないかと。
澤に優しくされて、自分もそれが嫌じゃなく
感じてしまう事に戸惑うのも可愛い…。
酒の所為だなんてわけあるか!!弱すぎるけどw
(ホントに他では酒飲んじゃダメ!!!)
もう全てを委ねてしまえばいいのに。

廣瀬は「いつか誰かに騙されるぞ!」って花城に心配されるけど
花城の頼みだから一つ返事なだけでw
愛撫の途中で中断させられても
我慢出来ない奴だと花城に思われたくないなんて、
いじらしいわ……。
我慢する必要は無いと思う花城の気持ちもわからなくないけど
快楽に流されてるだけじゃなくて
ちゃんと好きなんですよって事ですよね。
花城、わかってあげてww
いや、わかんないのが花城かww

そんな花城は相変わらず艶っぽいけど、
廣瀬といる時の幸せそうな笑みも好き!!
発想の転換も素晴らしく、こういうのも才能なんだろうな。
んでキビキビ働く姿にまた廣瀬は惚れ直してしまうわけだ!

廣瀬は優しいから、もし有原が想いを告げたとしても
傷付けないように振ってあげるんだろうな。
今では全て知られてもいいと思えるのは、
もう気持ちの整理がついたから。
澤に惹かれているから。

澤は初体験の相手で花城を引きずっていてだけで
恋とはまた別モノだったんですね。
そうじゃない、本当の恋を見つけられて良かった。

個人的に廣瀬と有原も無くは無いけど、
お互い遠慮しちゃってうまくいかないタイプなんだろうなぁ;
澤と花城は常にぶつかってそうだしw
やっぱり、納まるとこに納まるわけでww

あと、相変わらず女性キャラの嫌味の無さには
ホント感心してしまいます!!
うまいなぁ…と唸るしかないですよ…。

早く続きを読みたいけど終わって欲しく無い(泣)!!!!

6

実は尽くし型

 美人で強い受けが大好物の日頃の嗜好から言って、断然廣瀬×花城組ヒイキかと思いきや、巻が進むごとに澤×有原組の方に肩入れしたくなっちゃうから自分でも不思議です。前者は放っといてもまとまるでしょ、しょっぱなから理屈も段取りもすっ飛ばしてあれだけラブラブだったのだから。でも後者の方は、出会ってすぐに身体の関係に持ち込まれたのは同じでも、その経緯があまりに殺伐としすぎてて、どう転んだらそこにラブが芽生えるのか気がかりで。目が離せないじゃないか、と思ってたら、この巻では随分と糖分が増量されてました。特に澤!

 基本的に、こまやかに受けの面倒をみる攻めに弱いんです。澤はその冷酷そうな見た目を裏切る実はかなりの世話好きで情の深いタチ。生い立ちからして女郎屋に拾われた捨て子で、女ばかりの中で可愛がられて育ったため、よく気が回るし小まめに動くのをいとわない。絶望的な男運の悪さで、恋も学業も生活も八方ふさがりで、やや自棄になりかけていた有原をかまいたおす。あたかも雛に餌を運ぶ親鳥のようにせっせと餌付けする。

 当初恋文をネタに脅されて関係をもった格好の有原が、澤に心許せなかったのも当然だけれど、人間も本能に支配される生き物なので、心底嫌いな相手と一緒だと、何を食べても美味しくないし、ましてやその傍らで熟睡なんて到底出来たもんじゃないと思う。でも有原が最初に澤につれて行かれた店での支那そばの食べっぷりはそりゃあ見事なものだったし、抱かれた後はいつも爆睡して寝過ごしてもいる。自分に触れてくる澤の手が、ひとでなしな言葉とは裏腹にひどくやさしいことは、結構最初の段階で身をもって感じ取っていたんじゃないか。

 そしてこの巻では、さらに澤は言葉でも態度でも、自分の身のうちからあふれてくる情を隠そうとしなくなってます。夢子から「有原は笑うと可愛い」と聞き、なんとかしてその顔が見たいと躍起になる澤。喜ばせようと思って廣瀬から取り戻した恋文の片割れを渡したのになぜか消沈する有原。(手紙が戻れば、澤といる理由もなくなるー そう思ってのことだけど、この時点での澤にはそこまで深読みできなかったみたい)ではこれでどうだ! と満を持して回収してきた退学届を見せたら、今度はポロポロ泣かれてしまって焦る焦る。(この場面、澤の胸に身を預けた有原の「ふぐっ」がすごくカワイイ)
 相変わらず身体に触れると抵抗する有原に、「怒らせたい訳じゃないんだが・・・俺はこれで普通なんだ」とつい澤の本音がポロリ。かたくなだった有原もようやく「腹は立ちますけど怒っている訳じゃありません」と譲歩? してみせる。澤の悲願である有原の満面の笑みが見られる日もそう遠くないのかも知れない。

 前の巻で、澤も自分も「碌でもない過去ばかり」だと有原はため息をついてたけど、碌でもない同士が寄り添ったからといって、さらに事態が悪化するとは限らないよね。そこは組み合わせの妙で、案外よい方向に化けるかもしれない。マイナスとマイナスを掛け合わせるとプラスになるように。少なくとも澤は、絶対に有原を傷つけたりしない。

 

5

人物達の表情に魅せられます。

草間さんの絵もお話も大好きで全部揃えておりますが、何となく表情が硬いと言うかどこか素っ気ない様な印象がありました。しかしこのシリーズではその印象が見事に覆され、それぞれのキャラの浮かべる様々な表情に、(こんな風にもお描きになるんだ)と、新鮮な気持ちで一杯です(もっとも、それまでの自分が気づけなかっただけなのかもしれませんが……)。

この2巻(シリーズ通しては3冊目)は、中でも有原の鮮やかな表情の弾ける一冊でした。一番印象に残るのは150~155ページ辺りの、澤に手紙のもう半分を渡され、全て揃った際の一連のシーンでしょうか。色々な事が重なって突然ほろっと涙を零す有原の、そして今作の帯にある印象的なセリフを口にするその姿も、何と言うかとても鮮やかでした。ひっそりと控えめな彼だからこそ、その感情の発露がより一層色鮮やかに感じられます。とは言えそれは決して我儘とか癇癪とかそういう類のものじゃなく、(おそらく無意識なのでしょうが)澤への少しの甘えも含んでいて、そんな有原の姿はもういじらしくて可愛くて仕方ありませんでした。ここは澤の気持ちにぴったり同化して読んでしまいましたよ。有原を愛してしまう澤の気持ちがとても解ります。本当に素敵なシーンでした。今からドラマCDが楽しみです。是非制作して欲しいなぁ。

他の方も仰いますように、夢子さんと志緒さん、本当にいい味出していましたね。草間さんはこういう脇のキャラの描写がつくづく巧みだなぁと、改めて感心させられました。セリフや容姿がもう本当に忘れがたい人達です。廣瀬・花城組も、今回は主に花城の心の中に進展があった模様で、次巻も楽しみです。花城の中に漠然と感じられる寂しさの様な虚無感の様なものが、廣瀬の存在や過去の克服によって少しでも取り去られたらいいなと思います。

4

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