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"高嶺の花"から"ドM"まで、 イシノアヤが描く"イイ男"たちの作品集。
余韻たっぷり、でもどれも違う余韻なんですよね。イシノアヤ作品をまだ読んだことがないという方にも、ぜひおすすめしたいと思える一冊です。
表題作以外に5つの読み切り作品が収録されています。それでも表題作は100ページ以上で、こちらだけでも神を付けてしまおうと思いました。イラストのみで進んでいくコマもやっぱりいいなぁ、私はかなりコマ萌えしました。さて表紙からすると後輩と先輩なのかなぁなんて思っていましたが、ふたりの共通点がスポーツなんですよね。草バレーの試合なんかある意味かなり可愛くて。試合後なんてもうキュンキュンです!試合内容にはまったく目がいかない(笑)。まだドキドキしてるのがちゃんとわかるのに、出会ってからの時間がやけに濃く感じられるふたりでした。これはもう、お互い愛おしくってたまらないだろう…。ラストまでホント、癒されます。
<収録作品と初出>
■『マリーゴールド(&2・3)』初出:OPERA-金・悪戯・告白-
■『華道教室の先生』:OPERA-花-
■『いち・に・さん』:OPERA-あやまち-
■『不毛ランデヴー』:baby-ドドM特集-
■『LIQUOR』:OPERA-酔-
■『窓辺のぼくら』:baby-無機物推奨擬人化特集-(見開き)
※baby(ふゅーじょんぷろだくと)の作品が2つ入っています
あとがきで気づいたのですが「LIQUOR」という作品には、作者の1stコミックス『君に沈む』に収録されている「larghetto」~のキャラが登場します。話が続いている感じではないので、未読でも特に問題ありません。こちらはシリアストーンですが、通してみるとバランスのとれたトーンで楽しく読める一冊という印象でした。一度でも満足だけど、何度でも読みたいと思える、とっても素敵な作品集。表題作は特に、甘さも、笑いを誘うシーンもほどよく、多くの方におすすめできるかと。イラストがお好きなら、ぜひ。
レビューのタイトル、本当は表題作を褒めちぎりたかったのですが、読み進めたら未読の方にどうしてもお伝えしたいことができてしまったのでこんなことに…。
「LIQUORはネタバレ、レビューで前知識を入れると楽しみが3/4減ります」
イシノさんが意図した手法が台無しになってしまうので、なにとぞ!
わたしは作品を読んだあとレビューを書いてから他の方のレビューを拝見させていただくのでフルで楽しめましたが、前もってレビューを読んでいたらここまで胸に迫る感じは楽しめなかったと思ったので、なにとぞ!
*決してLIQUORのネタバレレビューをされた方を批判しているわけではありませんので、そこはどうぞご理解くださいm(._.)m
【マリーゴールド】神×無限大
笑いながら胸きゅん。こういうの、大好きです!!!
製薬会社に勤める音喜多と、早朝ジョギングで出会った塩田のカップル。
音喜多の「塩田さんスキスキ!」で駆け抜ける1話目。音喜多の何もかもに笑えます。笑いながらもきゅんとくる。塩田のちょっとした表情にも萌えまくれます。
付き合い始めてさらなる胸きゅんが心臓を襲いまくる2話目。ヤキモチに胸がジリジリ。音喜多の友人もイイ。塩田が可愛い。可愛すぎる。音喜多も男前でカッコいいのに、あの察しの悪さが最大の魅力…と「あばたもえくぼ」状態に突入してしまうこと間違いなし。
もはやイシノさんはわたしの命を狙っているとしか思えない3話目。塩田が本当に可愛すぎてつらい…。ハムスターのように飼いたい…。このCPで1冊、むしろ10冊くらいは読みたいと思わせる可愛すぎるCPでした。好きすぎる。
【華道教室の先生】萌
華道の先生に恋する男の子のある日のレッスンの様子。短いけど妄想が広がる可愛い作品。
【いち・に・さん】萌
腐れ縁のクズくんとリーマンとその友達 in 競馬場。最後できっちりオチがつく小品でした。
【不毛ランデブー】中立
想像通りの展開で必要以上に胸を抉られたので萌え切れず。
M体質な友人とドSな彼氏のエスカレートしていく関係を横で見ている大学生目線の話でした。痴話げんかで千切られた友人のピアス。最後の回想シーンがつらすぎた…。胸が痛い。
【LIQUOR】萌2
「君に沈む」で出てきたある人物の過去の話。堂々巡りでつらいやつです。
何か書くとネタバレになってしまうので、わたしは書きません。これは何の情報もなしに読んでほしい。じわじわと種明かしされていく展開と最後の爆弾。前情報ありだと構えてしまって、ここまでの衝撃は得られないはずです。
【窓辺のぼくら】
1ページ半の擬人化小品です。可愛いです。
おすすめの読み方はまず「LIQUOR」を読んで、その他の短編や小品を読んで、最後に表題作です。
読後の幸福感をMAXで味わえると思いますので、ぜひ。
表題作、可愛かったぁ!絵も大好きなんですが、イシノ先生の作品でこれほどコミカルに振り切ったきゃわゆいお話が拝めるなんて予想外で、久々に新鮮な気持ちで読ませていただきました。
ワークアウトのジョギングをキッカケに知り合った二人のお話。音喜多の一方的な片想いかと思いきや、塩田ももしかしてもしかすると?っていう、彼のもじもじリアクションがいちいち可愛い。ツンデレでもクーデレでもないの。照れデレ?体育会系でアホ気味なワンコの音喜多も可愛いいし、社会人でオトナ同士のラブがこんなに可愛くていいのかっ!けしからんっ!…ほぼ可愛いとしか言ってませんね。。
同時収録作品がこれまた期待を裏切らない、ちょっとブラックなスパイスが利いています。やっぱり、イシノ作品はホンワカ可愛いだけじゃないところがわたしには魅力なんです。花を活ける男は官能的なのかも…と妄想が広がる「華道教室の先生」、ギャンブルにハマっている男にこっそりハマっている男を描いた「いち・ に・さん」、ドMの友人を不憫に思ううちに彼に惹かれていく「不毛ランデヴー」、そして最も興奮させていただいた「LIQUOR」。『君に沈む』に収録されていた短編で、非常にミステリアスでありながら印象的なキャラクターとして描かれていた樫井の過去が暴かれていきます。
樫井と他校の先輩との間に浮かび上がる、やるせない恋情。それはいつまでも宙ぶらりんで、どこにも納めようがない。だから樫井さんは捕らえどころがなくあんなに儚げだったんだね。思いは通じ合っていたはずなのに、報われないままずっとその思いを胸に秘めて生きていかなきゃならなかったから…。
最後の最後、カーテンを擬人化した「窓辺のぼくら」も、とってもステキでした。
イシノ作品、大好きです。
個人的には表題作の『マリーゴールド』がイチオシ。
とにかく可愛くて幸せでどストライク!
最初から最後まで、ずっとにまにましつつ読破。
塩田さんが可愛くて仕方ない!vvv
これだけで一冊読みたかった!v
その他の短編は、
『マリーゴールド』とはちょっと雰囲気の違う作品があるので、
精神的にも肉体的にも痛いのが苦手の人は要注意。
短編も全部が全部痛いわけではなく、
『マリーゴールド』と同じように、
気持ちよく微笑んで読み終えるものもあります。
しかし、痛いのも含めて評価は「神」!
全部読み終わった後にも、また読みたくなる。
クセになる作家さん。
先のhepoさんの評価に深く同意。
『マリーゴールド』か『窓辺のぼくら』を最後に読むと、
幸せ感に浸りつつ本を閉じられます。
イシノアヤさんの読み切り集。
表題作(全三話)の他に5つの短編が収録されています。
○マリーゴールド
年下わんこの音喜多くんとしっかり者美人・塩田さんの物語。
公園でのランニングが切っ掛けで知り合い、
音喜多くんのスゴイ告白(笑)を経て付き合いはじめたふたりの
絆を深め合っていく日常が、キュートに描かれています。
注目は塩田さんの素敵な笑顔!
照れた顔もすごく可愛いのですが、爆笑したり、
音喜多くんを見つめる慈しむような笑顔が最高にイイ♡
布団の下で手を握り合うシーンと
世界でたったひとつだけのメダル(作製シーン含む)を贈るシーンは、
胸キュンと同時に心がほっこりしました。
糖度高めのほのぼの可愛い物語です♪
○華道教室の先生
華道教室の先生と生徒の話。
会話がとても少ないお話なのですが、
それが高嶺の花の先生の高貴さを際立たせています。
わんこっぽい小椋くん(生徒)の恋心が可愛い☆
○いち・に・さん
競馬トリオのお話。
お尻を触る男、触られる男、目撃する男。
競馬場で繰り広げられる、男たちの日常?
○不毛ランデヴー
SMなふたりとMな友人の話。
単体でSMのふたりの話より、友人が加わることで
短いお話ながらすごく面白く感じました。
”痛みが甘美”というM体質の描写が良かった。
○LIQUOR
一番印象的で、好みの作品でした。
親の再婚でふたりが兄弟になる、という設定はよくありますが、
こちらは捻りがあり、それがひどく切ない。
現在のふたりを描いた後に出会いを描くという話の見せ方も、
コマ割りを含め非常に秀逸で、
セックス中の涙の意味が後になって更に胸を突きます。
個人的にふたりの学生時代に超絶萌えました!
ブレザー男子と学ラン男子(最強タッグ)が徐々に恋心を詰めていく、
神社でのキスシーンに萌え度MAX...!!
好みが分かれる物語かも知れませんが、
ほのぼのテイストではないイシノさんの魅力が
どのコマを切り取っても楽しめる素晴らしい作品です。
○窓辺のぼくら
黒と白、カーテンの擬人化。
詩的でリリカルな2Pの漫画。
最後に、装丁他について。
主役CPに添えらたマリーゴールドの装丁は本当に素敵で、
見開きの橙色の紙に描かれた蔵書票のデザインのような一輪の花も、
とてもお洒落でテンションが上がります。
又、マリーゴールドの英名は本来”marigold”ですが、
そこを敢えて”marriage gold”と表記しているところが
すごく粋で(深読みすれば、あのメダルが結婚メダルになる♡)、
物語にぴったりだと思いました。
色んな設定が満載で、装丁を含め隅々まで楽しめる一冊。
評価は神寄りの萌×2です!