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つらい別れを経て再会した明渡と苑のその後は……? 「キス」続篇!!
キス読了後、救いを求めてすぐに拝読しました。
続編作品のタイトルが変わるのは
二人の関係が生まれ変わることをあらわしているのかと思います。
一穂先生があとがきに
「明渡と苑をキスから心配してくれた読者の皆様に感謝」とあり
あとがきで登場人物について言及することが少ない先生の心遣いを感じました。
心配していた2人は東京でつかず離れずの距離。
明渡が苑のいる東京にいることで、
離れがたい気持ちが伝わります。
苑の気持ち次第だと思っていても
自発的に動くことはなく、切なくなります。
「寂しかった」と苑の口からでたときに
明渡がせきを切ったようになった瞬間も
やはりせつなかったです。
もう失敗はしたくないという思いから
お互いが手探りで、もどかしい。
苑と同じような境遇の子供、実留と出会ったことで
苑の気持ちが噴出。
同類拒否、トラウマ、同情、嫌悪、
愛されていいわけがないという思い。
苑には実留のことが手に取るようにわかる。
羞恥、恐怖、喜び..読んでいて泣きました。
苑と違い、実留は行動に出たことで
トラブルはあったものの、
新しい世界を手に入れます。
実留は苑のトラウマを上書きしたかと思いました。
苑はまだ自己肯定はできないものの、
愛し、愛されて良いことに気づき
本当によかったです。
最後ランタンでの二度目の告白は
新生、真正の明渡の気持ち。
ぐっときました。
苑はこれから人生かけてペースを取り戻し、
自分のこと愛せるようになることを願います。
自分に重ね合わせて読めました。
一穂先生の作品を読んだあとは
いつも前向きな気持ちになれます。
今作もyoco先生の絵が美しかったです。
めちゃくちゃに心が抉られ、ものすごく消耗した前作。
それでもその先を知りたいという気持ちにさせてくれる終わり方だったので、何が起こってもしっかり受け止めよう。と覚悟して読みました。
再会から1年、付かず離れずな距離感を保っていて
表向きにはこれまでと変わらないふたりのように見えるけれど。
その心が交わるにはまだまだ遠くて、何度も胸がギュッとなりました。
苑の自己評価の低さは相変わらずですがさらにぴったりと心を閉ざしてしまっていて、
あの別れが苑にとってどれほどの重さがあったのかが伝わり、悲しみがぶり返してくるようでした。
ただそれほど危うい関係に思えなかったのは、明渡が前とは変わったなと感じたからだと思います。
病気の前後のような気持ちの変化ではなく
意識丸ごと変わったような、いい意味での余裕が生まれたような…そんな変化。
苑との今後についてある程度の焦りはあっても、長い時間を掛けて苑の閉じた心に寄り添っていこうという決意も感じて、前とはまったく同じではなくても、たしかにそこには愛があると感じられるのが嬉しかったです。
でもそのあたたかさは苑にも伝わっているはずなのに、手を伸ばすのも受け止めるのも簡単ではない彼の気持ちもよくわかるんですよね。
すぐそばの幸せをあえて掴めないもどかしさ、本当に切なかった…。
そんなふたりの日々には自分たちの問題以外にも
小さな痛みの種がいくつも散らばっていて、
すべてが彼らの道を阻んでいるのでは…?という錯覚に陥るほどでしたが。
ひとつひとつ目を背けずに向き合って、最善ではなかったとしても進む道を選択していくことを今度こそ苑が諦めないでくれたので、
ふたりは明るい場所に辿り着けたのではないかなと感じました。
それぞれにたくさんの傷を負って、違う種類の痛みを抱えて過ごしてきたけれど。
それがようやく報われた結末、本当に感動しました。
これからの日々にふたりなりの幸せが待っていてくれることを心から願います。
(明渡は頭の怪我に本当に気を付けてほしい)
通して読み返すには勇気が要るくらい重たい2作ですが、とっても心が満たされた作品でした。
キスの続編。わたしの解釈ではスッキリです。
きっと読む年代によって受け取り方が変わるお話かなと思います。自分の場合は。
行ったり来たりの苑の思考にも同感で、そしてだからこそ今一緒にいたい明渡の思考にも賛同です。
そして、自分の子供時代を思い起こさせる子供がどの様に物語、二人に絡んでくるのか、すごくどきどきしましたが、良かった。ちゃんと優しい大人がいて良かった。苑も少しずつ大人になっていて、自分の殻を纏っていたけれど、実は手を差し伸ばしてくれていた人がいたことに気づき、最終的に明渡に辿り着いて。こういう、徐々に色んなことに気づけていくところが、このお話にはたくさんあってそこも好きです。
最後の一瞬のドキドキさせる展開も一穂先生らしくて良かったです。
果菜子の夫になる人が魅力的!明渡とのやり取りも好きな箇所。
読めて良かった!
2人の複雑な感情が絡み合ってしんどい展開もたくさんあったけど苑の心の成長をラブ で感じたなぁ。特に苑の自己肯定感の低さは根深い、あんな家庭で育てば当然のことだけど…あの子と出会ったことも大きなきっかけだったのかな。 キスであることが起こった時の苑の決断は辛かった!初めて強い感情で求めたものが手をすり抜けていくことの残酷さよ…。ラブで明渡の心情が描かれていて、苑の行動をわかっていてもまた起こるのではないか…と想像してしまう彼の辛さもそれでも求める心の強さもまた感じた。 2冊で1つの大きな物語でしたね
「キス」の続編です。「キス」を読み終わっていてもたってもいられず、すぐこちらを読み始めー
もう、最後のプラネタリウムでの明渡の願い事に、涙が溢れて止まらなくなってしまい、しばらくページがめくれなかった。。
ハッピーエンドながらも、どこか常に切なさを感じさせられ、涙してしまう物語でした。
前作での辛すぎる別れと再会。続編のこちらは、上階の水漏れという偶然の出来事から明渡の部屋で一緒に暮らすことになったものの、キスだけはするという微妙な距離感のままの二人と、そこに昔の苑を彷彿とさせるような子供が現れー
と続くお話です。
この、”昔の自分を彷彿とさせられる”存在である実留(みのる)に対する苑の感情が、とてもリアルで痛々しくそして生々しく感じられ、胸が痛みました。
その「愛されたい」と願う心の内が、そして愛されたいからと甘えるその子供ながらの態度の全てがリアルに分かってしまう苑。
不快だと感じ、見たくない、手を貸したくないとそっぽを向こうとするも、実留が公園で捻挫をした時には放っておけず手当をしてあげる苑。
「自分がしたような経験は他の誰にもしてほしくないから」と言って手助けしようとするのが映画やドラマや物語のヒーローなのかもしれないけれど、苑は決してそうではないんですね。
そこがとても人間らしいと思ったし、今まで無感情になんでも受け入れているように見えて、実は「愛されること」を乞い願ってきた自分、というものに初めて気付き、見つめることができた。それは苑の再生にとって必要な過程だったんだ、ということが明渡の言葉を通して痛いほど伝わってきて、読んでいて胸の痛みが最大限になった箇所でした。
高校時代の、苑がまだ明渡に恋をしていなかった頃のランタンの思い出が呼び起こされる秀逸なラストには、感動の涙が止まらなくなりました。