イラスト付き
明日もきみと一緒にいたい
クロスノベルスさんの半額セールにて、ずっと気になっていた夕映月子先生のこちらの作品を購入。
歳の差15歳の、ほのぼのしつつも切ない田舎同居ライフのお話です。
主人公で受けの壱(いち)くんが作る料理がとにかく美味しそうで、読んでてお腹が空きました…リアルにぐーっと鳴ってしまった;
33歳にしてIT企業の元社長(現会長)、フェラーリに乗っていていかにも"The・お金持ち!"な攻め・世古(せこ)。
そんな彼が壱の村へ1ヶ月の「田舎生活体験」にやってきて、一人じゃ何もできない彼のため、
壱が通いで家政婦をすることになりー
というお話です。
狭い村の中で自分の性志向を隠し、一生ひとりで生きていく覚悟を持っていた壱。
中卒で茅葺職人として懸命に働き、双子の小さい弟妹たちの面倒をみて、
一生懸命に「普通」であることを強調して村の中で浮かないようにしている姿が切ない( ; ; )
腑抜けた33歳児(スペックだけはやたらいいけど!)・世古のお世話をし感謝されることに
自分の価値を見出してしまう、弱くて柔い部分を持った受け君です。
男前受け大好きなので、この”可愛い”でも”美人”でもなく”カッコいい"系の壱くん、
とても好きなキャラでした。
一方、攻めの世古には、そのヘタレっぷり、一人じゃなーーんにも家のことができないダメっぷりに「ちょっとなあ…」と思っていたのですが。
お話が進むにつれ、これぞ年上の魅力、とでもいうような甘い包容力を見せてくれるようになり印象アップ!↑◎
お互いがお互いの持っているもの・できることを差し出して…
年齢差や収入差は変えられないけれど、支え合う姿はとても素敵な、対等な関係でグッときました✨
世古さん、ずっとずっと壱くんを幸せにしてねー!!
…と、うるさい小姑のような気持ちで本を閉じました笑
あとがきによると、夕映先生、田舎で生まれ育ったとのこと。
「ない」こよによる不便さよりも、「ない」ことの豊かさに触れる生活。
…アニ○イトやと◯のあな通いができない生活、、今の自分には無理かもーーー!と
思ってしまったBL脳の自分がだいぶ恥ずかしいですが;
自分のできない体験をさせてもらえるのが、物語の魅力ですもんね!
みずかねりょう先生の麗しい挿絵、見ていてため息が出ました。
夕映先生の新作はもう読むことができない…というのが大きなダメージで本当に悲しいですが、
先生の未読の作品、これから大切に一冊ずつ読んで行き、既読のものも何度も読み返して噛み締めたいです。
溺愛だぁ東京からど田舎に1ヶ月移住体験をしにきた世古と地元で育った壱の物語。世古は壱がかわいくてかわいくて仕方ないんだなぁっていうのが伝わってきてニコニコしてしまったけど壱はいつか帰る世古への思いをセーブしなくちゃって耐えてて切ないのなんの。先生があとがきで人生の楽園的あこがれの田舎暮らしについて書かれたとあったけどまさにそんな感じ。女子にとっては暮らしにくそうだが、2人にとっては楽園になるのかな。世古はもうちょっと家事頑張れよって思ったけど
「夕映月子」という情景を連想するペンネームを使う人だけに、山や里が舞台の物語が多い作家だと思います。
この物語も、昔の「結」という相互扶助制度が残る山里の茅葺職人の卵と恋をして、燃え尽き症候群から再生をした都会のイケメン社長の物語。
何もないわけじゃなくて、不便な生活かもしれないけれど、
電磁波の障害も無くて、健康回復に良い水と空気と土と人情がある
・・と田舎の良さを強調した内容。
311があった時期にデビューして以来、「読んでホッとしてもらえるお話」をモットーに執筆されて、
持病がおありだったようだけど、もっと長生きして欲しかった。
哀悼。
なんとなく”お嫁さま!”に抵抗感じちゃう、、、と思っていたのですが、読み始めたら楽しくてスルスル抵抗なく読了しちゃいました。表紙とタイトルの印象を裏切らない展開ですが、舞台となっている土地(東京から車で5時間の”果の村”)の自然や人々、風習がいきいきと描かれていて、ちょっと日常を離れて見知らぬ土地を旅行してきた気分にもなれます。
大家族の長男で茅葺職人見習いである壱(受)が、農協職員の父親から任命されて、お試し移住する都会のIT企業社長(攻)の面倒をみることになることから始まるラブストーリーです。オカン&長男気質の受のキャラクターがよかったです。責任感が強くて働き者、地元と家族を愛する隠れゲイで、照れるとすぐ赤くなる純朴なところが嗜虐心を煽りますw。攻は田舎に高級外車乗り付けるちゃうところが、軽くいけ好かない印象ですが、仕事以外では何もできない天然系33歳児というところです。
なんといっても、”いちにい”の作る素朴なごちそうが美味しそうで美味しそうで…、地元の新鮮な食材を使った野趣あふれる田舎料理なんですが、読んでいるだけでも元気が出そうなんですよね。ときに”命をいただく”気持ちで感謝しながら調理して無駄にしない、丁寧なくらしぶり、と3歳の双子ちゃんたちにほっこりします。
受の作る栄養たっぷりのごはんを食べて、近隣の農作業を手伝ってりして徐々に、都会暮らしに疲弊してた攻が元気を取り戻していくという、攻の再生が描かれています。また、都会の人にくらべたら大したことないんだろうけどさ~とちょっと卑屈になりがちな田舎暮らし、受の何気ない日常について、丁寧で豊かなくらしぶりを評価して、”それは、しあわせなこと”と肯定する攻さんの態度が、実は受さんの自己肯定感を高めているんですよ~尊い!
2人のコミュニケーションの端々から、”好き好き”以外の普遍的なメッセージが読み取れて、さらっと流せない深いものがありました。もちろん、夕映先生らしい、濃厚なえちえちもたっぷり楽しめて(若葉マークだけど頑張り屋さんな受と年上らしいゆとりの攻♪)、いろんな視点から楽しめる作品でした。
東京のITイケメンセレブの田舎移住体験。
壱が家政夫をつとめることになった移住者の世古。世古は疲れ切ってボロボロになって田舎ドリームを求めてやって来て。
壱が何もかもお世話してお料理して食べさせて1週間で3キロも幸せ太りさせて。
幸せほのぼのなのですが、田舎ドリームは大人の思惑もあり。世古と村の大人の間で悩む壱。
田舎の事情も興味深く面白かったです。
それに壱の作る料理もとても美味しそうで。
朝ご飯や昼と夜の仕込みやオヤツまでパパッと手際が良くて。
壱はいつのまにか世古に恋をして。
田舎の集落の貧乏子沢山の家の長男で、性指向のこともあり孤独で。必要とされることだけが自分の居場所みたいに思っちゃって。
なし崩しに始まった世古と壱の行為と関係。
壱には世古が人生で初めてのぬくもりで、大切にこの先一生思い出にしていこうと健気で泣けてきます。
しかし!世古は男でした。
壱の家族の前で土下座して壱をくださいって。
一ヶ月でもう壱がいなきゃ生きていけなくなってしまったんですね。
ちゃんと好きって言わないから…。プンプンですよ全く。
18年隠してきた秘密も実は…で。
晴れて新居を構えて新婚生活。嫁ぐってこんな感じなんだなあとこっちまで寂しくまたワクワクしました。
途中までは世古は東京に帰るんだよね、壱は残されるのかな?とハラハラしましたが無事に結ばれて、新居やライフラインまで整えて、素晴らしい!
世古はしっかり地固め?スケールがすごいことしますがそれもこれも壱を守るため、二人を村に受け入れてもらうため。しびれます!
短編では幼妻を娶った世古のハッピーな頭の中のお話です。こんなに骨抜きにされちゃって。どちらも冥利につきますね。
本編では男らしかった壱が世古視点だと、可愛くて愛しくて健気でたまらんのです。
ちょっとアホの子かな?な世古ですがちゃんとしてますね。
双子も可愛いし壱も嫁いだし、めでたしめでたしです。
普段は嫁ものは自分の中で当たり外れがあるのですが、このお話は素直に喜べました。
イラストもさすが安定のみずかねりょうさん、とっても眼福でした。