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ユニコーンのイケメン王子は処女厨でした

unicorn no ikemen ouji wa shojochu deshita

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表題作ユニコーンのイケメン王子は処女厨でした

スヴェン、真白を『運命の処女』と呼ぶユニコーン
常盤真白、ユニコーンとの出会い馬好きになる大学生

その他の収録作品

  • 馬には添うてみよ
  • あとがき

あらすじ

大学生の真白は、幼い頃見事な一角のあるユニコーンと純白の翼を持つペガサスに出会って以来、白馬に夢中になった。現実にはあり得ないと理解しつつ似た馬を探し続けていたある日、運命の出会いをした思い出の地でユニコーンを見つける。思わず優美な一角に触れるが、気づくと見知らぬ豪奢な部屋にいた。そばにいた銀髪外国人風の男はスヴェンと名乗り、自分の真の姿はユニコーンで真白を『運命の処女』だと妙なことを言い――!?

作品情報

作品名
ユニコーンのイケメン王子は処女厨でした
著者
白露にしき 
イラスト
亜樹良のりかず 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778127190
3.2

(12)

(0)

萌々

(7)

(2)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
2
得点
36
評価数
12
平均
3.2 / 5
神率
0%

レビュー投稿数2

麗しのユニコーンに迫られて

今回は『運命の処女』と結ばれる運命の『選ばれし血』のユニコーンと
ユニコーンとペガサスと出会って馬好きになった大学生のお話です。

攻様が運命の相手である受様と結ばれるまでと2世誕生の後日談を収録。

受様は9才の時、両親に連れられて高原の牧場を訪れます。その牧場は
ごく普通の牧場でしたが、受様は羊や牛を眺めながて歩き回るうちに
迷子になってしまいます。

いつの間にか森に入っていた受様は帰りたい一心で走り続け、木立の
間に佇む2頭の白い馬に気付きます。1頭は白鳥の様な翼を持ち、もう
1頭は額に角を備えていました。受様が凝視していると2頭はくるりと
身を翻し駆け出します。

もしかして牧場の馬かも、と夢中で2頭を追いかけた受様は崖に落ち
かけ、角のある白馬に体当たりされた事から意識を失い・・・次に目覚め
た時には羊の放牧場の近くでした。

2頭との出会いは夢だったのだと結論付けた受様ですが、後に受様は
神話上の存在として、翼を持つペガサスと角を持つユニコーンを知り
ます。そしてユニコーンを含む馬の事を色々調べるうちに馬への好意が
募った受様は理想の馬を求めて牧場や馬場を訪ね歩くようになります。

大学生活も残り少なくなった受様は就職を見据えねばならなくなり、
夏休みにかつてユニコーンの夢を見た牧場を12年ぶりに訪れます。

夢の馬達に似た馬との出会いを求めてる受様でしたが、世の中そう上手
くいくはずもなく。場内を一周して帰ろうとしますが、受様の方向音痴
は未だ健在でふと気づくとまたまた迷子になっていました。

しょっちゅう迷うため度胸だけはついていた受様は、思い出に浸るのも
いいかと独り言ちて周囲を見回し、この場所が12年前に迷った場所では
ないかと気づきます。

木の間から受様の方を覗く影に気付きます。木漏れ日が差し込み、全景
を表した影は夢のユニコーンにそっくりな優美な角を持つ白馬でした。

驚きながらもゆっくり近づいた受様はその美しさに息を飲みます。お伺
いをたてながら触れた角は内側から熱を発するように温かく、しっかり
とした実感を感じながらも、コレが現実なはずがないとは思う受様でし
たが、突然頭の中に「触れたな」という声が響きます。

やはりお前こそ『運命の処女』。ようやく手に入れた

続けてユニコーンから発された言葉に驚きすぎた受様の視界はグルグル
回り、ユニコーンに倒れ込み、受様は意識を手放します。

次に受様が目覚めたのは、洋画などでしか見ない貴族仕立てな天蓋付き
のベッドでした。傍にはハリウッド映画かショーモデルの様な銀髪の
イケメンが佇んでいたのです。このイケメンこそが今回の攻様です♪

攻様は『選ばれし血』のユニコーンであり、ここは受様の世界とは違う
世界であるノイエンベルグで、受様は『選ばれし血』を持つ者と結ばれ
る定めの『運命の処女』だと言い出します。

攻様は『運命の処女』が誕生したと聞きつけて様子を伺いに行き、受様
に出会い、それ以来成長を見守ってきたと言います。正しく処女でも
男の受様に受け入れられる話ではありません。

攻様は心身共に成熟した『運命の処女』を迎える日を待ち焦がれていて、
角に触るという合図も難なくクリア下請けを嬉々として連れ帰っていた
のです。そして早々に受様の初夜を過ごそうとするのですよ♪

果たして受様は攻様から貞操を守りきれるのか!?

王位継承が絡む『選ばれし血』の攻様と『運命の処女』と呼ばれる受様
の再会から始まる異世界トリップラブコメディになります。

攻様の世界は人間に似たオモーという一般市民と、彼らを支配している
上流階級にあたるユニコーンとペガサスという3種族が暮らしています。
『選ばれし血』はユニコーンとペガサスにしか出現せず、『運命の処女』
を娶った者が次代の王となるのです。

受様が昔、攻様と出会った時に一緒にいたペガサスもまた『選ばれし血』
を持つ者であり、人型に変ずると金髪のくるくるロン毛のイケメンです。
そして『運命の処女』を巡る攻様のライバルでした。

煌びやかな攻様の押しの一手に徐々に絆されていく受様でしたが、攻様
が自分を求めるのは『選ばれし血』 故で、自分が『運命の処女』では
無かったら好かれなかったのでは!?とぐるぐるし出すのです。

そんな時に『選ばれし血』のペガサスが受様を攻様の城から強引に連れ
出すという手段に出て、さらに一波乱!!すれ違っていた2人が結ばれる
までたいへん楽しく読めました♪

攻様がユニコーン、ライバルがペガサスというととてもロマンチック
な雰囲気を感じさせる設定です。事実、攻様はとってもロマン派な
夢見る乙女の王子様ぽい言動を取ります。

しかし、受様がドを越した馬フェチという以外はかなり現実的な思考の
持ち主でして、キラキラな攻様が甘々な台詞で口説いたり、迫っても、
素直に蕩けてくれないばかりか冷静にツッコミをいれるのですよ(笑)

その結果、素敵なはずの攻様の口説き文句が、微妙にズレてイタイ系
の残念な攻様になっちゃうのが、とっても面白かったです (^-^)v

攻様のライバルだったペガサスも実にいい味を出していて、2人の恋を
後押ししていました。彼の恋物語もぜひ読みたいな。

今回は擬人化繋がりで紀里雨すずさん『王の初恋と運命の黒翼』を
オススメ作とします。鳥人ファンタジーになります。

2

二人のズレっぷりに爆笑しました

個性的でユニークな設定や、適度にギャグの入り交じった軽快な文章が好みで、毎回楽しみにしてる作家さんです。
今回も、BL界では格好いいはずの攻めを、勘違い系のイタイ攻めにしちゃう受けのツッコミにゲラゲラ笑っちゃいましたよ。
いや、確かにユニコーンって「清らかな処女のみに気を許す」と、処女厨だけど!

あと、ゲラゲラ笑えるだけでは無く、恋愛のキュンキュンしちゃう甘酸っぱさや、切なさなんかもしっかり書かれてる所も素敵でした。
あんまり評価されてないんですけど、もっと高く評価されてていい実力のある作家さんだと思うんだけどなぁ。


内容ですが、ユニコーンで「選ばれし血」のスヴェン×馬好きの大学生で「運命の処女」である真白による、異世界トリップものでテンポの良いラブコメになります。

幼い頃にユニコーンとペガサスに出会い、馬好きになった大学生・真白。
幼さ故の夢と現実が混同したものだと思っていたのに、かつて出会った場所で再びユニコーン見つけてしまうんですね。
思わずそのユニコーンの一角に触れると、何故か気がついた時には見知らぬ世界に。
しかもそばに居た銀髪のイケメン青年から「運命の処女だ」と口説かれー・・・と言うものです。

で、このイケメン青年がユニコーンの人間に変化した姿。
ユニコーンの中でも「選ばれし血」と特別な存在である彼は、「運命の処女」と、これまた特別な存在である真白を嫁にすべく、熱く燃えていて・・・と言った感じでしょうか。

こちら、個人的に一番面白かった所なんですけど、受けのごくごく常識的で冷静なツッコミと言うか、二人のズレっぷりと言うか。
えーと、スヴェンですが、BLでは割とスタンダードな格好いい攻めなのです。
銀髪のキラキラ王子様で、自信に満ちた態度に、甘い口説き文句の数々。
私が知ってる受けはですね、そんな攻めの言動にドギマギして惹かれてゆくのです。
それが定石なのです。

が、今作の受け、真白に限っては、至って冷静と言うか現実的。
こう、「健やかに育ったお前の姿はどんな宝物よりも魅力的で、性別なんてどうでもよくなった」と言われれば、どうでもいいことじゃない、重要課題だと(内心で)ツッコミ、「お前はキラキラしていて・・・」と言われれば、「なんて恥ずかしいセリフを・・・」と呆れる。

いや、しつこいけど、普通に攻めが言えばうっとりしちゃうセリフばかりなんですよ。
甘~~い!と読者も萌え転がっちゃうセリフなんですよ!
それが、至って現実的な受けのツッコミにより、普通なら格好いい攻めが勘違い系のイタイ攻めに・・・。
受けへの愛を滔々と語っている攻めを、ノリに付いていけず引き気味見ている受けと言う斬新さなのです。
いや、熱烈な口説き文句をげんなりとして聞いている受けと言う、なんともシュールで笑えちゃう展開なのです。
スヴェンかわいそう・・・。
ずっと見守ってきたのに真白の中ではストーカー認定って、マジでかわいそう・・・。

と、まぁこんな調子で、完全に温度差がある二人。
いざスヴェンが「ーというわけで、初夜と行こうではないか」とやる気満々で押し倒そうとすれば、全力で抵抗し・・・みたいな。
もうこれ、漫才かい!みたいな。

で、上手いのがここから。
最初こそスヴェンの完全な一方通行で、ズレまくりの二人。
それが共に過ごして素のスヴェンを知るに連れ、徐々に変化して行く真白の気持ちー。
スヴェン自身に惹かれて行くんですね。
が、スヴェンがこれほど自分を望むのは「運命の処女」だからで、自分自身が求められているワケでは無い・・・と言うスレ違いです。

う~ん・・・。
ここでの真白の揺れ動く気持ちが丁寧に綴られ、なんとももどかしかったり切なかったりでジレジレさせてくれるのです。
また、終始真白視点で進むのですが、スヴェンの真白への愛情と言うのは疑いようが無いんですよね。
実は、めちゃくちゃ健気なんですよね。
「お礼に何かしてあげる」と真白から言われれば、「お前から抱き締めてほしい」とおずおずと両手を広げみたいな。
いやもう、可愛すぎる!
もうこの二人、一体何やってんだ!!
どう見たって相思相愛なのにーーー!!!
と、めちゃくちゃ読者をジレジレさせてくれるワケです。

あとこちら、基本的に笑えて可愛いラブコメでして、嫌なヤツだったり悪役も出て来ません。
痛い展開もゼロです。
まぁそんなワケで、オチもなんともあたたかくて素敵なものです。
もう一つ波乱なんかが欲しい方には物足りないかもしれませんが、気負わずに楽しく読める作品を求めてる方にはピッタリじゃ無いでしょうか。

最後になっちゃいましたが、念願の初エッチでのスヴェンの暴走ぶりには笑っちゃいました。
「そんな事を言ったら逆効果だ。有頂天だ。ああ、何を言ってるんだろう」みたいな。
いや、良かったねえ、スヴェン!

7

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