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表題作箱庭ろまんす

秋月壮慈,幻想怪奇小説を書く風変わりな作家
玉緒,母を亡くし秋月拾われて育った青年

その他の収録作品

  • 箱庭の酔客
  • あとがき

あらすじ

親を亡くし、一人ぼっちで途方に暮れていた玉緒を拾ったのは、風変わりな作家・秋月壮慈。 壮慈のもとで暮らし始めた玉緒は、主人である壮慈を敬愛し一途に想いを寄せていた。 しかし、いつしか壮慈への尊敬の念は恋情に変わっていった――。 そんな玉緒に、壮慈は自分は恋や執着というものがわからないと告げるが、それでも玉緒の恋情は消えず、ある晩壮慈に抱いてほしいと頼むが……。

作品情報

作品名
箱庭ろまんす
著者
間之あまの 
イラスト
カワイチハル 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
旦那様は恋人を拾う
発売日
ISBN
9784344845541
4

(69)

(35)

萌々

(15)

(10)

中立

(4)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
8
得点
269
評価数
69
平均
4 / 5
神率
50.7%

レビュー投稿数8

囚われたのはどっち?

母が亡くなり、次々と不幸が襲いかかる玉緒。
逃げ出したものの、行く宛もない状態の玉緒を拾う壮慈。
そんな壮慈と過ごすうちに玉緒は壮慈のことを好きになりますが、壮慈は何事にも執着せず愛を知りません。
そんな二人が徐々に想いを通わせるお話なのですが、
執着攻めが好きな私にはたまらない作品でした。

壮慈の玉緒への執着心が凄まじいのですが、
玉緒も同じように壮慈に執着しており
読み終えた時に、囚われたのは果たして本当に玉緒なのだろうか?と思いました。

途中すごく辛くなって悲しくて、涙が出てきちゃうんですけど
ちゃんと二人のハッピーエンドを見ることが出来て良かったです。
間之先生の作品を、まだ全部の作品を読めたわけではないのですが、
どの作品もすごく甘くて切なくて大好きだなぁって思いました。
出会えてよかった作家様です。

0

「たくさんの中から選んだ方が絶対に幸せなんですか?」

間之あまのさんの作品はいくつか拝読しましたが、『旦那様は恋人を拾う』と並び一番好きな作品になりました。執着攻めと健気不憫受けという鉄板は何百作でも読みたい黄金の組合せでしょうが、それだけでなく、恋愛でもそれ以外でも普遍的に何かを探し求める人達にビシッと玉緒から言い切られたような胸に来るものがありました。
『旦那様は〜』と同じく、不幸な生い立ちの子を旦那が拾うお話。道で座り込んでいた子供の玉緒を教会に住む夫婦に預けようとする壮慈、離れたくないけれど何も言えずギュッと壮慈の手を握る玉緒。情景が浮かんできて冒頭からとても好きでした。
その後に家に連れてきて女中キヌと先生のやりとりがまた、弁のたつ二人で面白い!

玉緒が自分には耳と尻尾があるのではないかと確認してしまうくらい、壮慈は膝に乗っけたり撫で撫でしたり、おやつをあげたり昼寝したりと甘々。男の人の「おいで」が好きな方はぜひ!読んでほしいです。
庭で花見をする時の植物の描写も素敵。

暴行未遂で男(外の世界)が怖い玉緒と、可愛くて家から出したくない(彼の美貌が彼自身を不幸にする確信がある)壮慈は題名通り箱庭の中で甘々健全に幸せに過ごすものの、時折やってくる美術商と兄貴に諭される。
玉緒には普通の子と同じように広い世界を見させ、才能を伸ばしてやりたい、初めに見たものを親と思うように壮慈を慕う姿勢から目を覚ましたい。そんな大人達から、“世界を知るほど幸せになれるのか”とブレない玉緒の発言には痺れました。
仕事でも恋愛でも、人生においてもっと出会わなければ、もっと知らなければ、経験しなければと追い立てられる気持ちは皆多々持ちますが、この玉緒の魂からの好きという嘘の無さは響きました。最終的には周りにも認められる(ある意味)二人ですが、何を言われようが二人にとって周りは全く関係の無いお話だと、闇もないような感触で読みやすい中にも芯があって良かったです…

でもバカップルぽいというか。自分には所持品もなく、家を守るとしたらこの身ひとつしか受け渡すものがない…というようなことを玉緒が言った時、
壮慈「君の体ももう君のものじゃない。おれのものだ」
玉緒「あ!そうでした…」
って…なんでしょうかねこれ?可愛くて笑いました。

抱かれるシーンは超甘々でありつつ、何をされても許して気持ち良くなってしまう玉緒の狂おしさも感じられて最高でした。
履物を与えないで抱きかかえるとかも、甘々に描きつつ狂気だよね…

挿絵も甘い雰囲気で何度も見返すほど丁寧に描かれているのですが、どうも少女漫画的というか、玉緒が女の子にしか見えないのが残念でした。美人系だと思う。
内容が良いだけに2年前とは思えないカバーデザインもちょっと残念です。

2

究極の箱庭ですね

本の厚さに気が引けたもののつかみが強力で読んでみたら最後まで一日で読めました。嬉しいです。

大好きな【旦那様は恋人を拾う】を連想しました。

世界の中心とはこういうことなのか!と言葉の意味を知った気分です。

長いお話ですが飽きずに読めました。

受けはこんな事を言っては失礼ですが、間之さんのラッキー受けですね。
不憫な境遇から偶然救われてどんどん良い方に転がって。
二人の容姿について詳しく何回も書かれていますね。美貌同士で特に受け玉緒の魔性な傾国の美人ぶりや酔ったときの色気が想像できなくて。でもその容姿のせいで不自由な人生を送ることに。

攻めは良い人で変わり者で玉緒を連れて帰り家に住まわせやっと信用できる大人として玉緒に慕われ。
玉緒もなに不自由なく暮らせて…。

紙一重ですね。
監禁と取るか保護ととるか。
5年も屋敷から出ないで生きてられるなんてすごい!
そして攻めよ、この気持ちは何だろうって言ってないで気付けよ!と後ろから頭をはたきたくなりました。
『可愛いね』は愛しいねでしょ。

玉緒や二人の関係を心配する周囲の人達からの説得で離れ離れに。
でも二人で乗り越えてずっと一緒にいられることになって良かったです。

ああ、あらすじにあまり触れないのもどかしい。

玉緒の気づきや自立にもう少し時間をかけて何かを成し遂げてからの再会の方が良かったのでは?と思っていたら数年後のくだりで成し遂げてましたね。

エッチも話も長かった。
究極の箱庭でした。箱庭というとどうしても狭い、妖しい、隔離されてるイメージがします。
しかし選択した箱庭で出入り自由ですからね。清々しいです。

4

世界は2人だけのもの・・・ではないのです

今回は特別な存在を持った事の無い伝奇小説作家と
行く当てがなく攻様に拾われた孤児のお話です。

受様視点で攻様との出会いから恋人として認められるまでと
攻様視点で本編裏事情を含んだ後日談を収録。

受様の母は「男を狂わせる」とまで言われる類稀な美貌の持ち主で
何かと男に困らされ不幸な人生を送りました。受様はそんな母譲り
の美貌の持ち主です。

母が亡くなってからは引き取られた先でも、逃げ出してからも不幸
に呑まれそうになりながらなんとか生き延びてきましたが、とうと
う夕闇迫る川べりでひもじさと寒さと孤独で動けなくなってしまい
ます。

そんな受様に救いの声を掛けたのが、品よく優し気で男性的な美貌
の主である攻様でした。攻様は怪我をしていた受様に手拭いで即席
包帯を巻いてくれたばかりか、身寄りのない子供達の面倒をみてい
る牧師夫妻の元に受様を案内してくれます。

受様は牧師館まで辿り着いても攻様と離れがたくなってしまいます。
攻様はすがるような瞳の受様にほだされて自分の屋敷へと連れ帰る
事にします。

攻様は独自な美的世界を創る幻想怪奇小説家で、高い塀に囲われた
広大で美しい庭を持つ大名屋敷のような広い屋敷に1人で住んでい
ました。通いで家事をしている高齢の女中には呆れられながらも、
受様は攻様の保護の元に置かれることになります。

攻様はその作風からもうかがえるように、独特な感性と考えをもつ
風変わりな人物で、受様をまるで愛猫でもあるかのように猫可愛が
りしてくれます。

受様はそんな攻様の為にできる事をしたいと家事を手伝ったり、
攻様の作品が読めるように勉強を教えられたり、絵の手ほどきを受
けながら幸せな毎日を過ごします。

そして5年の歳月が経ち、受様は清らかなのに婀娜っぽい色香の漂う
美少年へと成長します。しかし、攻様宅からでることなく、攻様だ
けを見て育った受様には己の変化は無自覚です。

成長した受様は攻様の交友関係に嫉妬し、「抱いて欲しい」と願い
攻様は無知なままの受様を拒みながらも、誰にも渡したくないと
受様の願いを聞き入れるのですが、攻様の手は受様はさらに艶めか
せる事となります。

そしてそんな受様に攻様宅に出入りする美術商や、攻様の兄が興味
を示し始め、2人の静かな暮らしが否応なく変化していく事になる
のです。

果たして受様の恋の行方とは!?

世間から変わり者と評されつつ1人で生きる攻様と、攻様に拾われ
攻様の保護の元で育った受様の恋物語になります♪

ひとり親だった母を亡くした受様はひもじさで死にそうなところを
攻様に拾われて十分な庇護を受けて暮らす事となります。

攻様は侯爵家の次男で、美しいものを好む上に目利きでも有り、
芸術家や職人から様々な物を買い付けますが、執着することはなく
美術商へと渡ていました。そうした攻様の執着心の無さは物だけで
なく、対人関係においても発揮されていたのです。

そんな攻様が拾った受様が仔猫が主人に懐くように一途にまっす
ぐに慕ってくるのですから溺愛路線まっしぐらになろうというもの
です。可愛がられた受様は更に懐いていていくというもの♡

また受様が大人の男を怖がっていた事から怖い思いをしないように
と家飼いしていたはずが、大きくなっても1歩も家から出さないと
か大人であるが故に自分の気持ちを故意に認めようとしない攻様に
もうニマニマ笑いが止まりません (^m^)

しかも攻様はいろんな意味で悪い男で、受様の気持ちを知りつつも
関係にはっきりした名前を付けずにおり、バレたら(考えがあるに
せよ)逃下の一手で雲閣れしちゃうのです。

年上としても大人の男としてもどうよ!?と受様の今後にハラハラさせ
られましたが、受様は攻様の思った以上の行動をとって攻様に自分の
手を取らせたのが痛快で、とっても楽しく読めました♪

"幸せ"とは当人たちだけで決めるのではないというテーマが重いです。
物語によってはエンドマークのその先を描いての決着で、攻様の小説
家という職業と、受様に最初に渡された守り刀というパーツ使いも
お見事でした。

攻様が大人であるが故に周りが見えすぎていて身動きとれずだっ
た事は判るし、受様を信じているからこそ2人の未来を受様に託し
たのでしょうけど、策士なのにヘタレみが強いのはこれ如何に!?

受様限定なのかもですけど、攻様がすご~く心が狭くなるのにも
かなり萌えさせて頂きました。

今回は間之さんの既刊から『おとなりの野獣さん』をおススメです。
こちらの攻様も囲い込み系(笑)な溺愛攻です。

5

綾部!!むかつく!!!

たまらない溺愛と執着、それが繰り広げられるのは家の中のみ。
まさに箱庭で繰り広げられる、”ろまんす”という言葉がぴったりな物語でした。

前半部分はまさに2人だけの世界。
出会いは受けが12歳のときで、そこから一緒に暮らし始めて愛を育む。
という若干の光源氏感はありますが、最初は攻めにその気が全くないところがポイントだと思います。

このまま永遠に2人だけの箱庭で生活していくのかと思いきや、そうではありませんでした。
2人は今の環境・状況で満足していると訴えているのに、周りがそうはさせません。
女中や攻めの兄、それから家に出入りする美術商が2人の箱庭を閉じさせてくれず...
この美術商の綾部がとにかく、余計なことしかしないむかつく男なんです!!!
受けを襲おうとしたり、余計な気を回したり...

2人は現状で満足しているはずなのに、それを壊されるような過程は悲しくなりました。
それなら周りが認める形で、一緒にいようと奮闘する2人の切ないこと...
現状で満足しているけれど、同時にその環境に違和感を持っている攻めの苦しみはつらかったです。

溺愛と執着、甘いけれどそれだけではないお話は読みごたえがあって、大満足でした。

7

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