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小説
中原さんの鳥が好きで絶滅危惧種の表記に萌えた。なぜならそこに萌えがあるから。
そこから広がって生まれたこのお話です。
なかなか色んな要素が入り混じり複雑で、身分差が絶対の世界で、お互い生まれる恋心を認めるわけにはいかない切なさ。恋する人を発情させ別の人との情事を隣室で聞かされる辛さ。
絶滅危惧種に気に入られた付き人は殺されるやるせなさ。リヒトもルークも気の毒で。
たまに挟まれる攻めのルーク視点もいいです。
階級社会、身分差、容姿羽根の美しさの優劣、絶滅危惧種の役目などなど社会派ですね。
今作はどちらも男前ですね。クールな有能改革派絶滅危惧種の美しいルークと、最下位種の黒い髪と羽根を持つ貧民街の窃盗団リーダーの美しいリヒト。
お互い心を惹かれ合いながらも階級差から素直になれず…。
でも必ず助けに来るルーク!リヒトが絶体絶命の時の登場にはしびれました。
そしてなんとなく予想していた奇跡も起きて。
めでたしめでたしなのです。
心が濡れた
名言ですな!
二人共何度も狙われ信じていた人に裏切られ、お互いを助けようと自分が犠牲になろうとしたり、二人でなきゃ意味がないと抗ったり覚悟を決めたり。
やっと気持ちが通じ合い結ばれる求められる、孔雀の本気の交わり。
別人のようにリヒトを口説くルークもいいですね。
細かなところが気になってしまいました。
場面転換や時間経過などもっと丁寧に書いてあったらなと思います。
え?お屋敷までどうやって移動したの?近いの遠いの?
え?どのくらいの距離逃げ歩いたの?…など。
些末な事かも知れませんが、そういったところが適当だったり端折られてたり
おざなりだったりするとリアリティーが無い為感情移入出来ませんでした。
それにリヒトは「次に何をするか分からない野生児」のように書かれていますが、
自分には世を拗ねて冷めた振る舞いをしているまだ年若い厭世家、のように感じました。
野生児なら野生児でもっと素直で天然っぽかったり天真爛漫さがあったりすれば
そう感じられただろうけど、無邪気に蛇を捕まえるシーンだけでは、
ただの「キャラの設定」としか思えませんでした。
最後銃で撃たれていますが…銃創とかも全く残らなかったんでしょうか…。
ケガや出血の描写もなく、痛みも感じてる様子がないのが不思議です。
奇跡の変身で全てキレイさっぱり無くなったんでしょうか…?
そういった細かな描写が無いせいで、キャラクターたちの重みや体温、輪郭等を
感じられず終始掴みどころがないもやもやだけが残りました。
命の危機に瀕すると白い鳥人があらわになる、とかなのかなと推測しますが、
小説では一切言及してないのでやはり最後まですっきり出来ませんでした。
今で言う、ただの人類が滅んだ後の世界が舞台。
人間が娯楽や性的な欲望を満たすために、孔雀と人間を掛け合わせたパーピーが元となった人工的に作られた存在があった。
皮肉なことに、生物兵器よって汚染された地球で生き延びられたのは、神経毒に耐性を持っていた鳥人と呼ばれる彼らのみだった。
人類が滅び、文明が衰退した世界にディストピアもののような雰囲気を感じつつ、序盤から既に物語にぐいぐいひき込まれていってしまいます。
こんなに心惹かれてわくわくするような設定と、設定を更に膨らませて巧みに描き、それでいてすっきりとした読みやすい中原先生の文章、そして物語や登場人物をより魅力的に表現し彩る奈良先生のイラスト。
この3つの要素が集まった時点で面白いに決まっていますよね。
本当に面白かったです。
こちらのお話、鳥人の設定や階級制度、どこの御家柄がどうだとか、ピラミッドのような特権階級付近の陰で渦巻く陰謀だとか、設定の数々を文字で並べるとかなり複雑そうなのです。
しかしながら、そこは中原先生の文章の上手さが光ります。
超がつくほど読みやすいんですよ。それでいて面白く、表現が美しい。
あらすじを読んでみても、ファンタジックで、SFのような雰囲気もあって一見難しそうに見えるかもしれません。
けれど、描かれているのはごくごくシンプルなシンデレラストーリーだったり身分差ものだったりするのです。
愛を知って世界が変わったり救われていくのが王子様側だったというのがまたね、良いんですよね。
あっという間にするすると読めてしまうので、普段ファンタジーを読まない方にもぜひチャレンジして欲しい作品。
今作の主人公は、美しいけれどスラム育ちというたくましさを持ったリヒト。
もうこの時点で好きなんだよなあ。
真っ直ぐで、家族や仲間想いで、どんなに不遇な環境下でも折れずに日々を生きている。
美しく健気な受けも好きだけれど、外見と行動がそぐわないこういう自然体でたくましい子も大好き。
一方で、最下層の鳥人にとっては別世界の存在とも言うべき最上位の美しい鳥人・ルーク。
きらびやかに見える特権階級に身を置く彼ですが、蓋を開けて見れば、子孫繁栄・繁殖のためだけに望まない生殖活動を期待され、淡々と義務をこなして生きている。
そんな彼の灰色がかった日々に飛び込んで来た、リヒトという鮮烈な印象の色。
決して交わることのないはずの2人が出逢ってしまってからというもの、これまた見事な化学変化が起きていくんですね。
軽口を叩き合いながら、上位に立つ者・つき人として共に過ごし、お互いの立場による苦悩や人となりを知っていく内に、自らの役割に疑問を持ち始めたり、相手のことがどうしようもなく気になるもやもやとした存在から愛おしい存在へと変化していく様子は流石ベテラン作家様。
どんな階級に生まれたって、立場が違ったって「好き」という気持ちは同じなのです。
つき人としてリヒトがルークをイアンの元へと送り出すシーンは切ないですし、リヒトを特別に想い始めてからのルークのぶっきらぼうさ、ブラッドリーにじわじわと嫉妬心を燃やすシーン、ギリギリの環境で想いを伝え合うシーンが本当にたまらない。
それから、お互いに羽根を拾っていたというエピソードがすっっごく良くなかったですか?
どちらかというと、リヒトのことがどんどん気になって仕方がなくなっていってしまっているルークに萌えました。
今後の2人がどう世界を変えていくのかが楽しみです。
設定がかなり特殊な分、お話の展開がシンプルかつスタンダードなので、序盤から伏線が分かりやすく描かれているため、リヒトの変化についてはすぐに想像が出来てしまいますし、暗躍者に関しては引き際があっさりとし過ぎていますし、ちょっと後半がギュッと詰まり過ぎてしまっているように感じてしまいました。
ただ、それを込みにしてもとっても面白かったんですよね。
今回はカップリングにものすごく萌えた!というよりは、お話が純粋に面白かった。
なので、限りなく神に近い萌萌評価で。
個人的にですが、この世界観でもっと読んでみたいかも。
だって、設定的にもこれだけだなんて勿体なさすぎると思いませんか?
あとは、今作はルークとリヒトの2人に目がいきがちですが、普通に考えるとイアンの恋心があまりにも切なすぎるので…どうにか彼の救済スピンオフなんてものがあったりしないかな?なんて。
特権階級らしさあふれる彼が本気になってしまうような、そんなブラッドリーの恋のお話も読んでみたいです。
茶目っ気あふれる先生のあとがきまで好きな作品でした。
皆様の愛あふれるレビューを見ると、読まずにはいられなくなりました。
とっても面白かったです。
中原先生の描く鳥人達の世界にうならされました。
絶滅危惧種優位の世界、なるほどなー。
受け様は低危険種とよばれる漆黒の髪と翼を持つリヒト。
生きる為に犯罪まがいのことをしながら、家族や仲間達と助け合い必死に生きている。
攻め様は絶滅危惧種Ⅰ種の、虹色の羽を持つルーク。
Ⅰ種の最重要責務は子をなす事。
窃盗団のリーダーとして捕まったリヒトはルークのつき人、子作りのためにルークに奉仕をする仕事をすることに。
ただの高慢ちきな絶滅危惧種Ⅰ種さまさま、と思っていたルークの置かれている立場の苦しさを知り、少しずつルークに惹かれていくリヒト。
でも、ルークには子作りをする相手がいるわけで、自分が奉仕した後、隣にいるその相手の元へと送り出さなければならないリヒトが切なかった。
仮面を付けている様で、あまり自分の生の感情を出さないルークが、リヒトの為に必死になる姿は、とても萌えがあふれました。
また、ルークの嫉妬心を煽ってくれたルークの友人にはグッジョブ!!!と拍手モノ。
攻め様の焦燥や嫉妬、大好物なのでにやにやがとまりませんでした。
立場が違いすぎて、なかなか相手への想いを認められない2人。
ようやくはっきりと気持ちを認めて覚悟を決めたら、とても強かった。
生きるのを諦めず、でも相手を失った世界に未練はないから、と立ち向かう姿はかっこよかったです。
性欲が薄いと言われてる絶滅危惧種Ⅰ種のルークが、最後には何度も「愛してる」と告げながら情熱的に愛し合っていて、人って変わるんだね、よかったね、と微笑ましく見ました。
そしてまた、奈良先生の描くイラストがとても秀逸でした。
野生児感たっぷりの愛嬌あるリヒト。
月夜に浮かぶ力強いルーク。
口絵の、ルークの羽で抱きしめられてる姿は美しいけど、リヒトの物慣れない表情はとてもかわいい。
眼福なイラストをありがとうございます。
今回は最上位の特権階級である虹色の羽の鳥人と
貧民街で育つ最下位種である黒い瞳と羽の鳥人のお話です。
攻様の付き人となった受様が攻様を変え、世界を変える存在となるまで。
鳥人たちの世界は種族によって7段階の階級に分かれています。絶滅した
とされる白色の羽をもつ種を除き、最高位の特権階級は虹色の羽をもち
絶滅の危機に瀕するために保護の対象となっている絶滅危惧Ⅰ種です。
次に位置する緋色の羽をもつ絶滅危惧ⅠA種と絶滅危惧Ⅰ種は翼が大きく
空を飛ぶ能力を持ち、政治にかかわる権利を与えられ、贅沢な暮らしを
しています。
かつて地球を支配していた人類が殺し合いで滅んだことから、鳥人たちは
できるだけ争いを避けるために、美しく色艶のいい者がいる事で、国力を
誇示していたのです。
青色の羽をもつ絶滅危惧ⅠB種、鴬色の絶滅危惧Ⅱ種、黄土色の準絶滅危
惧種までは朱の違いはあれど、それぞれに職を持ち、働いて生計を立てて
いますが、絶滅する恐れがないとされる焦げ茶系の羽をもつ低危惧種は
最下層とされ、その日暮しの貧しい生活を強いられているのです。
受様はそんな低危険種の中でも不吉とされる黒い羽根をもつ鳥人です。但
低危険種の中にごく稀に生まれるとされる美しいさで、上尾筒の目玉模様
も銀のラメを施したような輝きを放つほど魅力的な容姿をもっています。
受様はその容姿を最大限に活かして美人局をしたり、比較的裕福な屋敷を
貧民街の仲間達と襲って金品を得ていますが、生きていくだけで精一杯な
のです。
ところが仲間達とある屋敷を襲って逃げる際に、絶滅危惧Ⅰ種である虹色
の羽をもつ鳥人に追い詰められてしまいます。この虹色の羽の鳥人こそが
今回の攻様になります♪
攻様はその場を圧倒するほどの力強さを感じさせる美丈夫で、巷を騒がす
窃盗団の捕縛の為に空から受様を追撃し、捕える事に成功するのです。
受様は仲間達を逃すために単身捕まりますが、受様が連れていかれたのは
特権階級のみが住む「特別区」で、緋色の瞳の男達に投獄する代わりに、
攻様の房事のサポートをする付き人になれと迫られる事になります。
受様に求められているのは色仕掛けを活かして繁殖に乗り気でない攻様に
子作りをさせる事のようです。絶滅危惧Ⅰ種は繁殖力が極端に低く、攻様
は花嫁候補もいるというのに房事に積極的ではなかったのです。
逃げれば地区の者は皆殺しだとまで言われては受様に選択肢はなく、せめ
てもと攻様に尽くす代わりに地区の生活を保障して欲しいと交渉します。
面白がった攻様は受様の要求をのみ、受様を付き人とします。
しかし、実は受様の美人局は睡眠薬を用いたもので、実技の経験は皆無な
のですよ。そんな受様に攻様の付き人としての役目を果たせるのか!?
人間の滅亡した後に誕生した絶対的な階級カースト世界で、貧民街育ちの
最下層種の受様と特権階級の最上位種の攻様との出会い、やがては鳥人世
界の基盤までもを変えていく身分差恋愛ファンタジーになります♪
鳥人たちの際上位種として虹色の羽引継ぐ種を残す事を課せられている攻
様ですが、特権階級の生まれに胡坐をかくことなく、市街地の視察や警察
に出向いて治安の状況を聞いたりする他に、他地区の虹色の羽の鳥人たち
とも熱心に意見交換をする多忙な日々を送っていました。
攻様の伴侶候補は繁殖のために一時的に性転換した男性で、受様がサポー
トに入ることにも好意的でした。しかし受様はなかなか攻様をその気にさ
せる事ができず逆に不慣れな姿をさらしてしまう事になります。
それでもなんとか夜のサポートをし、外出時には毒見役としてのサポート
も行うようになりますが、馬車の脱輪を装って誘い込まれたパブで、受様
が毒見した菓子で生死の境をさまよったり、農村部で行われた神事中には
飛行していた攻様の翼に矢が射かけられる惨事まで起こるのです。
徐々にきな臭い状況に追い込まれていく攻様なのに、付き人に過ぎない
受様を庇われた受様の心は千々に乱れます。その上、一線まで超えてしま
ってさらに大混乱!! そして攻様が低危険種である受様に執心しているとの
噂された事で、受様までも命を狙われる事に!!
徐々に追い詰められていくようにしか見えない2人の未来にハラハラが止
まらず、まさか、まさかな展開に、ドキドキも止まらず2人が幸せになる
まで、たいへん楽しく読ませて頂きました (^O^)/
俺様な攻様の見え難い優しさとか奔放な受様の意外な真面目さとか、お互
いが相手の羽をこっそり大事にしてる事とか、互いに見えない部分で見せ
る姿にもキュンキュンさせられました。
所々にちゃんと伏線は張られているのですが、丁寧に微妙に積み重ねられ
て気づけない!! 故のまさか、まさかな展開とタイトルに込められた意味が
絶品だったので「神」評価とさせて頂きます♡
奈良先生の緻密で華やかなイラストもお話の雰囲気にぴったりで、とても
素敵でした。翻る上尾筒の目玉模様とか、羽が舞い散るシーンとか、どの
イラストもとっても良かったです ヾ(≧▽≦)ノ