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天国ホテルにたどり着く前の現実の部分から既にゾクゾクがとまらないストーリー…!
ものすごくひき込まれました。
康と春希との熱を感じるやり取りや、
もうこの世には居ない月彦への春希の想いを知る中で、『生とは、死とは』ということをものすごく考えさせられて。
一括りにファンタジーだとするにはあまりにも深い、生きることに対しての意味を改めて探りたくなるような展開だったなと思います。
康と春希のそれぞれの揺れる気持ちに胸が締め付けられますが、それでも少しずつ状況も心も動いていく様子に釘付け。
月彦はどこまでもフラットな立ち位置なのがちょっぴり寂しかったけれど、皮肉にもそれが非現実的な天国ホテルでの唯一の現実なんですよね。
なんだかなぁ…。と思いつつ、最後には月彦がふたりを助けてくれたのには感動でした。
春希視点、康視点と交互に描いてくれているので
不思議な時間を過ごす彼らのことを深く知りながら読むことができました。
ゾクゾクしながら感動もできて、ものすごく大満足な一冊でした。
天国ホテル。どこにあるかは誰も知らないが、そこに行けば死んだ人に会えるという。
ピアノを教えてくれて、人生を変えた大切なひと、月彦が病死した。その事実を受け止められない春希の心の中に、天国ホテルの噂が刻まれる。
月彦の甥である康は春希を心配し旅行に誘うが、二人が乗った観光バスが山の中で事故に遭ってしまう、というところから始まるお話。
いろいろ考えさせられました。
メインキャラである上記の3人の思い出も、行きつ戻りつ明らかになっていきますし、バスに乗っていた他の乗客たち数名についても、そのバックボーンが語られます。
それらを踏まえて、この不思議な場所で起こる事柄を登場人物の思考に寄り添いながら一緒に体験していくような形で読み進めると、この先どうしたらよいのか、何が正解なのか段々分からなくなっていきました。
亡くなった月彦を慕う春希が可哀相で、そんな春希を元気づけようとする康が可哀相で。
何年経っても忘れられない月彦が目の前に現れて、一緒にピアノを弾いて、共作していた曲の続きを一緒に作って、話をしたり食事をしたり、そんなことを毎日していたら、それはもう取り込まれますよ。ここに残る選択をしたとしても、それは仕方が無いと思いました。誰も責められない。何が幸せかなんて、見ていれば分かります。
特につらかったのが、月彦が亡くなって2年後かな、春希の誕生日を康がお祝いした場面です。279ページ。「笑いたくない。楽しいなんて思いたくない。何かを欲しがったりしたくない。幸せになんてならなくていい」この科白には打ちのめされました。康もショックだったでしょう。そこから年数が経っているとはいっても、だからいまこの場所で、最終的に康がくだした決断も私には納得のいくものでした。
翻ってこのお話のラストシーンは、私は個人的には実は違う結末の方がよかったのではと思いましたが(仕方ないよな、とは思っています)、著者の優しさが多分に反映された内容で、あるべき姿、理想ともいえる帰着点でした。
うずくまっているところから立ち上がるまで、かかる時間も必要なエネルギーもきっかけも人それぞれで、康はそれでも随分待ってはいたけれど、本当はもう少し春希には時間が必要だったんじゃないかと思いました。
作家買いです。
ソフトカバーも購入していたのですが、冒頭が重くて当時は挫折、なんとなく読まないまま月日が経ち…。というところで文庫版を見つけて購入しました。
この作品は『生とは何か。死とは何か』を考えさせられるようなお話でした。高遠琉加さんがあとがきで書かれていたのですが「死」よりも「死なないこと」の方が怖い、と。それが如実に描かれている作品でした。
最初に述べたように、冒頭が重い。あまり気持ちがいいとは言えない恐怖が、背後からじっとりと忍び寄るような感覚。あまりの息苦しさに、前半は20ページほど読むと一旦本を閉じて時間を置いてから読む、を繰り返していました。
同時に天国ホテルにたどり着いた、主人公を含めた3組の「生きた人」。それぞれの死者との関係性。三者三様の選択。
最後、康がどのような選択をしたか気付いた時には思わず涙が出ました。
ファンタジーとはいうけれど、どこか哲学的。
BL小説というよりは「たまたま主人公が同性に恋をしていただけの一般小説」と表現した方がしっくりくるくらいです。
重苦しくて、人の生き死にだなんて盛大なテーマを掲げていて、ほとんどはっきりとしたBL色は感じない。万人に受ける作品ではないでしょうが、私はとても好きでした。
是非、余韻に浸れる時に読んでいただきたいです。
閉ざされたホテルに集う死者と、迷い込んだ生者。
読んでいて景色が浮かび、ピアノの音まで想像できて、映像作品を見ているようでした。
あらすじから、そうは言ってもどうせ生きてる人間の方を選ぶんでしょ、と高をくくって読み始めたのですが、作中どんどんダークな雰囲気になっていき、春希にとって亡き月彦がどんなに大きい存在だったかを知ると、もう春希は康を選ばないのでは・・・とはらはらしてしまいました。さらに死んだ人を生き返らせる方法まで出てきて・・・結末には心底ほっとしました。
BL色は少なめです。
恋愛ではあるのだけれど、康と春希がもう何年も一緒に暮らしているからか家族のような雰囲気すらあります。
ずっとBL色控えめでお話が進んでいくので、最後二人が結ばれる描写は唐突感があるかも。キスだけで終わっても良かったのかな、それだと物足りないかな、悩ましいところですね。
それでも充分心に沁みる物語であることは確かです。読み終えた今も、「天国ホテル」はどこかにあるような気さえします。私はまだ行ってみたいとは思いませんが。
文句なしの神作です。生きるって何か、家族って?愛って?とたくさんのことをこの本は投げ掛けてくれます。
レビューが既にたくさんついているので私は既読者向けにこの思いをまき散らしたい!
月彦さんは心が凪いで全幅の信頼を置ける相手だったけど、康は春希にとってまさに太陽だったんですね。日向に連れ出してくれる人。(ここら辺ツリーハウスの描写からもよく分かります)
月彦を失って自分の殻に閉じこもろうとしていた春希に大切な人を失っても、もう一度生きること教えてくれた人。そんな人のこと好きになってしまいますよ。
この物語は死者に会って過去に生きる後ろ向きな物語かと思いきや、最後まで読むと分かるんですが春希がもう一度人を好きなるために過去に決別し前を向くための、実はめちゃめちゃ前向きな話なんですよね。
そりゃ人間だから心が揺らぐことがあって春希も月彦に会ってもうこのままでいいやって一瞬思った。だってそこには変化はないけどその分穏やかでいられる。でもやっぱり現実に引き戻してくれるのは康なんですよ。心を動かすことは生きること。それには大変なエネルギーがいる。けれど康といたらそれが楽しいと思える、生きたいと思える。
生きるってなんて素晴らしいのか。
楽譜のシーン
春希の『違うんだ』ってセリフ最初読んだ時は何が違うの?早く正気に戻って!って思ったけど、これは本当に違くて、天国ホテルに来た春希の目的は月彦とずっと一緒にいる事じゃなく、この曲を完成させる事だった…。
もしかしたらそれは意地のようなものだったのかもしれない。けど春希にとってはこれを完成させなければ前に進めない重要なアイテムだったんですね。
またここでうまいなと思ったのはそんなに完成にこだわっていたのに結局天国ホテルでは完成には至らなかったわけです。ちゃんと現実に戻ってきて、最後は自分の手でこの曲に終止符を打つ。これでもう月彦がいなくても大丈夫なんだなと、やっと思い出にする決意がついたんだな、と。そしてこれがラストの『終止符を打つ』にかかってくるわけです。
終止符を打つ、過去と決別し、新しい物語を始める。まさに2人の物語はここから始まるんです。もう先生の文章のうまさに膝を打ちました!!!これはやられた!
最後のセックスシーンですが、いろんなレビューサイトで綺麗なこの作品に取ってつけたようなセックスシーンはいらないってよく目にしました。
とんでもない!
これは愛の行為なんですよ、果てしなく。
春希は生を感じるものを嫌悪してましたよね。生肉、卵…。セックスなんて『生』の行為そのものですよ!そんな春希が全てを受け入れて人を愛して、愛されることを知って、ああ生きてて良かったなって、この温もりを失わなくて良かったなって想ってることが痛いほど伝わる。なんて尊い行為だと涙して読みました。
BLの萌的な意味だけでなく絶対必要だったと私は思いましたね。
