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あんたの先生の性癖、教えてあげようか?
under skin
淡々としていて、終始低温のまま進む復讐劇。
甘いお話ではないです。どちらかと言うとビター。
少しのダークさとシリアスさが混ざったお話でした。
ストーリーも悪くなく、お話として面白いです。
ハッピーエンドでもあると思うのですが、甘さがないからか、ややひんやりとした読後感。
WO◯OW系のドラマのような、ほの暗い雰囲気といった感じでしょうか。
議員秘書である弘瀬が不思議なキャラクターなんです。
仕事はきっちりとこなしているものの、感情の起伏があまりないというか、何を考えているのかが読めないとてもミステリアスな人。
秘書として仕える議員・河田に対してもそこまでの情は感じられない。
かなりドライな人物かなと思います。
そんな彼が何故か目を離せない、河田の愛人である青年・晃。
過去に自殺に追い込まれた両親の復讐をするべく、その原因となった河田の愛人の立場に収まる晃。
薬漬けになってまで憎い河田と身体の関係を持ち、週刊誌に情報を売るために行為を記録し続ける。
もう捨てるものがないからか、非常に冷めた目をしていて痛々しいんですよね。
河田との関係を利用しようと画策している事を弘瀬に勘付かれ…と進むのですが、なんとこちらの作品、復讐ものだけではなく再会ものとなっています。
当時まだ中学生だった晃と、晃の父親の元へ通っていた弘瀬には面識があったというもの。
弘瀬は、当時からまだ代議士時代の河田の秘書として仕えていたようなので、晃にとってみれば結果的に両親を死に追いやった憎しみを抱く対象の1人なのです。
晃の正体を知り、記憶の中の過去の晃を思い出し、現在の驚くほど復讐には向いていない虚勢を張ろうとする痛ましい姿を見ては、同情ともあわれみでもなく、劣情めいたものを抱いていく弘瀬。
一方の晃も、復讐のためだけに生きてきたはずが、憎むべき相手・弘瀬を憎みきれず、河田への復讐心も次第に揺れ動き始める。
晃が、あの事件さえなければどこにでもいる普通の男の子でいられたんだろうなと思えるほど、あまりにも復讐には向いていない、心を殺しきれていない不安定な男の子なんです。
弘瀬は晃のそういう面を見てぐちゃぐちゃとした気持ちになったのかななんて考えたり…
うーん、これ、弘瀬の気持ちがすごく分かりにくいんですよ。
分かりにくいのですが、晃に対してだけ歪んだような、特別な感情を抱いているのは伝わるんです。
晃は晃で、弘瀬に対しての気持ちがなんなのか分からなくなっていく。
この2人の間にあるのは愛情なのか、それとも執着なのか、依存なのか。
それは読み手の受け取り方次第かもしれません。
憎しみと愛情は、執着という面では似たものなのかもしれないなと感じます。
攻めからの直接的な愛情表現や言葉がないとすっきりしない!という方は物足りなく感じるかもしれません。
ただ、この作品の雰囲気であまりベラベラと愛の言葉を口に出してしまうと、弘瀬というキャラクターがブレるというか、らしくない気がします。
その後の描き下ろしではほんのり甘さが見られるので、個人的にはこのくらいの分かりにくさが丁度良いのではないかなと。
しっとりとしたほの暗さが魅力的な作品でした。
言葉に出来ない複雑な関係性がお好きな方におすすめの作品です。