• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作真夜中に降る光

空間デザイナー:津久井康
チンピラホスト:金崎新二

あらすじ

喧嘩したホストの金崎新二を介抱してくれた津久井康文は、穏やかな男だった。
ゲイだと聞き、なぜか強引に新二は津久井とセックスをした。
「金のためだ」と金を貰いながらも、すっきりはしない。
体の関係を重ねながら、時々痛いものを見るような眼差しで、津久井は新二を見つめる。
津久井への、胸の苦しくなるこの感情は一体何なのか…?苛立つ新二は。

作品情報

作品名
真夜中に降る光
著者
砂原糖子 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
夜明けには好きと言って
発売日
ISBN
9784344807624
4

(50)

(19)

萌々

(17)

(12)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
16
得点
201
評価数
50
平均
4 / 5
神率
38%

レビュー投稿数16

ずっと両片思い

前作があることを知らずに読み始めたので、最初はなぜこの人たちが?と思うような人物が序盤に出てきて不思議だったのですが、気付かないくらい自然だったので、本作だけ読んでも問題ないと思います。私はこの後に前作も読んでみようと思いましたが、全く違和感なく順番通りに読みたい方は本作から先に読まないようにお気を付けください。

ちなみに、この作品は受の新二がすごく好みでした。捻くれてるし気性も荒いし、とチンピラ感満載なのですが、あまりにもチンピラに寄りすぎてレアな受けだと思います。ツンデレというにはデレが少なく、しっかり成人男性として描かれているのがすごく良かったです。こういう受がHの時にトロトロになるのが最高なんですよね。砂原先生、BLの醍醐味わかってらっしゃるなぁと思います。欲を言えば完全に両想い後の濡れ場が見たかったですが、全編通して完全な両片思いなので、読了後に不完全燃焼にはならなかったです。大量のピアスを外して津久井に再調教された新二がこの先どんな風になるのか妄想するのが楽しく、自分に余裕が生まれて、他人に対して優しくなれるようになった新二を象徴するようなラストがすごく叙情的で良かったです。なんか砂原先生の作品って全てにおいてラストが本当に綺麗なんですよね。めでたしめでたしのバリエーションが豊富というか、すべて解決じゃないけど未来は明るい、と言えるような描き方に毎回感動します。
また、本作の描写で他に好きだなぁと思ったのは、津久井の「君があんまり捻くれてるから、自分に都合の悪いことは全部君の嘘に思える」というセリフですね。好き以上の告白じゃん、と思いました。このセリフが一つあるだけで、津久井は新二の意地っ張りに騙されずに二人は上手くいくんだろうなと思える。事件も色々起きますが、それ以上に総じて描写が素敵な作品だと思いました。

3

クズ受けの成長が胸熱

『夜明け前には好きと言って』のスピンオフです。
前作で最悪な印象だった金崎が主人公でしたが、やっぱり本作でもクズでした。

俺様でオラオラな金崎。
どんなに辛い過去があったとしても、歪まない人間はいますよね。生い立ちとか過去とか、そんなもので金崎に同情はできなかった。
たた、金崎が求めているものは分かりやすくて悲しいなと。そして、シンプルだと思いました。

金崎がどんなに嫌な事をしても言っても、それを笑って許せる津久井の包容力が素晴らしかった。
金崎が津久井を好きになる過程が本当に丁寧に描かれていて、そこが何より良かったです。
津久井の人柄と相まって、すごく共感できた。

あのクソ生意気でムカつく金崎が、まさかあんなに素直になるとは驚きました。
それほど津久井を失いたくなかったということだし、津久井の愛が金崎を変えたということだと思います。

承認欲求の表れだったピアスを外し、コンプレックスを克服しようと勇気を持って一歩を踏み出した金崎が愛しく思えた。まさか金崎にこんな感情を抱こうとは……
きっと津久井は金崎を離さないと思うし、金崎も津久井を離さないはず。2人の幸せを願ってやみません。

ホスト三部作(違う?)のラストに見合う、素晴らしい作品でした。
クズ受け最高ですね!受けザマァに目覚めそう。

2

野良猫も愛を浴びて

「夜明けには好きと言って」のスピンオフ作。
本作の主人公は、あの意地悪ホスト・金崎新二。
時間軸は、「夜明け〜」の後半くらい。

新二はいつも何かに苛立っていて、すぐキレる暴力的な男。
冒頭、酔っ払いと喧嘩して雪のちらつく路上で伸びていたところを一人の男に助けられる場面。
この男性は物静かで、礼儀正しくて、まるで聖人のように新二に接してくる。
新二ははじめ戸惑い、いつものようにイラつき、だけどその内…
…というある種王道的なBLとも言えます。
「夜明け〜」の白坂同様、親の愛に恵まれず、辛い子供時代を過ごしてひねくれた新二が、何を言っても何をしても、脅しても遠ざけようとしても決して自分を見放さない津久井の愛情で変わっていく。
この新二は本当にはじめどうしようもない半グレ的なオラオラ系ホストで、読んでいても魅力を感じられないんだけど、段々自分で自分の幸せを遠ざける哀しくて寂しい怖がりやということが見えてきて可哀想になってきます。
そこを根気強く寄り添う津久井に「どうかあなただけは!」という気分に。
終盤、気持ちが通じてきた後にまた事件が起きて、エ〜ッという気分ですが、これが白坂同様、新二の生まれ変わりのきっかけになっていくのかな…
津久井は非常に教養のある紳士なんだけど、Hの時はナカナカ。
新二の顔や耳、乳首、へそ、ペニスにたくさん刺さっているボディピアスをひとつづつ外してその穴に舌を這わせ…
優しくも有無を言わせず感じ悶えさせる。かなり官能的です。
私は「夜明け〜」よりこちらの方が好みだったかも。萌x2寄りの「萌」で。

3

女性キャラ、嘉帆が一番好みだった(萎えさせてごめんなさい)

電子書籍で読了。挿絵なし。

電子書籍のリストを見ながら「あれ?砂原さんの昔の本で読んでいないやつがある」と何気なく購入したものなんですけれど、白坂と黒石がチラッと出て来るところで「あれ?この人達、なんか知ってるぞ」。
このお話『夜明けには好きと言って』のスピンオフだったんですね。好きな作品だったのに、読んだのがかなり昔だったのですっかり失念しておりました。いやー、呆けたものです。
もう10年以上前の作品なので、時代を写し取っているとは言えない感じはあります。こんな事を言ったら失礼ですが私の中では、ホストという職業も以前の『キラキラしさ』がなくなっておりますし。
ただ、前作でも、今作の初まりでも、本当に嫌な奴でしかない金崎が、カラッカラに乾いている状態からどんどん潤っていく様子の描き方がお上手で、最初と最後では人が変わったようなのに違和感がない所が「すげぇ」と思った次第です。

一つだけ疑問なのは、金崎の元カノで嘉帆という女性が出てくるのですが「どうして彼女だとダメだったのかなぁ?」ということ。とってもいい女だと思うんですよね。金崎、ヘテロ寄りだし……
個人的には『夜明けには好きと言って』の方が好きだと思っちゃうのはその所為かなぁ。

1

愛を知らない猛獣が「人間」になるお話

「夜明けには好きと言って」が好きだったものの、金崎か~と思って敬遠していた続編。
読後感は「ああ、よかった…金崎が”人間”になった…」という安堵感が広がった。

砂原先生のツンデレや意地っ張り受けは嫌いじゃなくてむしろ好きなのだけど、金崎は「暴力をふるう」のがどうにもダメだった。
女の子にまでバイオレンス発揮してて、これは報いを受けても仕方ないよなというレベル。ホストの世界がそういうものなんだろうなとは思いますが。
でも、因果応報を理解して受け入れる度量の広さがあるのが良かったと思う。

最初の方は読むのが苦痛だったけど、途中からは金崎の幸福を見届けたいという気持ちで読み進めていた。
お金を理由にしないと安心できないというのは切なかったし、幸せになれよ~と思うくらいには金崎のことも理解(?)できるようになったけど、萌えたかと言われると萌えは感じなかったので中立と悩んだものの、良作だと思うので萌え評価に。
津久井さんは途中まではどういう人かよくわからず謎でしたが、後半から弟のことでなるほどと合点がいき、さらに最後のダークサイド降臨で好きになれました。
三木乃さんの言う「要領よく」「昔はそれなりに遊んでた」という過去を知りたくなりました。

金崎がなぜ白坂に絡んで来てたのか、これを読んでその理由がわかったのが良かった。
自分と同じく母親に疎まれているという境遇の白坂と話してみたかったんだな…と。白坂がちゃんと話せていたらどうなっただろうと思ったけど、考え方が180度違うからきっと相容れずに決裂して余計にひどいことになったかもしれないとも思う。
金崎も白坂と黒石へのわだかまりを昇華できて、自分もまた彼らと同じく幸せな光のもとへ進めてよかったなあとしみじみとした。両親への思いはそうそう簡単には昇華できない、一生続くものかもしれないけど津久井さんがいれば大丈夫だろうなと思える。
個人的な萌えはありませんでしたが、良作だと思います。

4

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP