【新死刑法】人が故意に人を死亡させたときは、如何なる理由があろうと死刑とする――。

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表題作僕が君を殺すまで (下)

水谷公平(渡瀬)
34歳,刑務官
織田薫
28歳,元刑事で死刑囚

その他の収録作品

  • 描き下ろし
  • カバー下・人物紹介

あらすじ

殺人犯を擬似的に作られた町の中に閉じ込め、死を迎えるまでを生中継し、エンターテイメントとして消費される世界。
そんな閉鎖空間の中に、あらたに送り込まれた死刑囚の織田 薫と執行官の水谷航平(渡瀬)は、殺すものと殺されるものとして共同生活を始めることに。
織田の犯行動機は男性の同僚との痴情のもつれとされており、同性愛に免疫のない水谷は動揺するのだが…。

作品情報

作品名
僕が君を殺すまで (下)
著者
柳沢ゆきお 
媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス 麗人セレクション
発売日
電子発売日
ISBN
9784801971196
4.5

(63)

(43)

萌々

(12)

(6)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
13
得点
282
評価数
63
平均
4.5 / 5
神率
68.3%

レビュー投稿数13

深く考えさせられました

『僕が君を殺すまで』の下巻。続きものなので上巻未読だと理解できません。上巻を読まれてから、こちらを読まれることをお勧めします。

二人の男を殺した死刑囚である織田と、織田の死刑執行のために織田と同居している執行官の水谷のお話。







上巻で少しずつ心を通わし始めた二人の男たち。

織田はなぜ、殺人を犯したのか―。

刑を執行する人物として水谷はすべてを明らかにしたいと願うが、それはハードルが高かった。

「刑を執行するまで」の一部始終がエンターテインメントとして消費されていること。
自分たちの行動のすべてが監視され把握されていること。
何より、織田自身が、一日も早い刑の執行を望んでいること。

手を尽くし、策を練り、様々な手を尽くして、刑事たちが行きついた「事実」はー。

正直、ああうん、まあそうだよね。
という内容だったことは否めない。
想定通りというのか。

が、そこから、水谷と織田の、本当の交流が始まっていく。

今作品は織田がゲイであるという、その一点においてBL作品と呼べる側面がある。反対に言うと、ほぼ、BLといえる描写はないんです。けれど、ともに時を過ごし、少しずつ相手を知り、そして愛を知っていく。

めっちゃ萌えるんですけど!

で。

凄くお上手だなと思ったのは、表情とか、しぐさ一つで彼らの思いを端的に現しているところ。顔を黒塗りにしていたり、陰で表情が見えなかったり。さらに、現実と夢、現在と過去。そういったものが交差して描かれていくので、んん?と思うところもあるんです。あるのですが、そういった描き方にもきちんと意味がある。

「死刑」という、普段生活していくうえでは関わることの無いバックボーンを描いた作品で、それ故にじっくり読んでほしい作品になっていますが、それだけではなくって、その一コマ一コマにどんな意味があるのか、どんな思いがこもっているのか。そこから、読者が何を感じるのか。

読者の数だけ、感想も分かれそうな作品だなと思いました。

そして、刑の執行について。

んー。
んんー。
これはなー、ここもなー、読み手によって感想が変わりそうだなと思いました。

私は、ハピエンを迎えたと、そう信じたいと、読んでいて思いました。

ほっこり、可愛いお話を好まれる方には正直不向きな作品です。
が、壮大な愛を描き切った作品だと思います。
あなたの正義感は?
モラルとは?

多くの方に読んでいただきたい、奥深く、考えさせられる作品でした。


18

夢中で読みました

上下巻通しての感想ですが、とにかく良かった。
愛と狂気の物語でした。

死刑囚である織田薫が死刑を執行されるまでの間、24時間ライブ放送され、自分の犯した犯罪と同じ手口で死刑執行が行われる世界。
彼が殺したのは元恋人の渡瀬で、渡瀬と身長が同じという理由だけで死刑執行人に抜擢された水谷、任務として渡瀬の顔に整形し織田に近づき、渡瀬として接する内に織田が渡瀬を本当に愛していた事を知り、殺した動機を知りたくなります。
織田がもう一人殺していた事、それが冤罪で、真犯人は渡瀬だったこと、渡瀬の死もまた、限りなく自殺幇助に近いものだったこと…様々な真実が浮き彫りになっていく内に水谷は織田に、織田は渡瀬の振りをした水谷に、惹かれ合って行きます。

織田を調べる内に一人殺せば死刑になるというわかりやすい法律の裏に隠された国家権力の闇に抗うべく、織田の死刑を回避し再審を可能にしようと、水谷の同僚達も協力します。そして迎える結末。

この物語の結末に何を感じるのかは人それぞれだと思いますが、個人的にはこの結末しかないんじゃないかと感じました。
織田は渡瀬を愛し、渡瀬を殺した結果水谷と出会うことができたのだから、渡瀬の事を無かったことにできるはずもなく。
ただ、水谷を思うと…胸が痛みます。

そしてもう一つこの物語には驚きの結末があり、それには狂気を感じました。

ページをめくる手が止まらない、心に残る作品でした。

5

読み終わった後の喪失感が凄い

読み終わった後の喪失感とてつもないです。

ふらっと立ち寄った本屋で何気なく買った2冊がとてつもなさ過ぎて、ほんとに……大事にします、、、この本……

4

最後まで気になる壮大な余韻の下巻!!

本当に、タヒ刑執行されるのか。

下巻では、織田は実は冤罪かもしれないなどの疑惑もあり、死刑執行を取りやめたほうがいいのでは、、、と世間が騒ぎ始めます。


とうとう数日後に決まってしまった、タヒ刑執行の日。


水谷は織田のことを好きだと自覚。

織田を連れて逃げ出そうとするが、粛々と自分へ課せられたものを受け入れ、むしろ水谷の手で殺めてもらうことを望みます。

わかってはいたけれど、いざそのときを迎えると、本当に読んでいて切なくなります。

苦しい。

でも、最期には中の人である水谷と織田とが話せて本当によかったなと。

そもそも難しい話題で、タヒ刑執行後の水谷を想うとどうにもこの結末でよかったのだとは100パー思えなかったりもする制度ではありましたが、でもまたあの終わりでしか織田の苦しみは終わらせることができなかったのかなとか、色々考えさせられてしまいました。


いや、BがLするだけでなく、色々なことへ思いを巡らせ考えることがこの作品の問いかけたかったことでもあるのかなあ、、、
などと、勝手に妄想していました。

なんとも言葉にできない下巻でした。

1

死と日常の狭間に芽生えた『愛』

ちるライブで、アンリさんが白米さんにオススメしていたのを見て、面白そう!と思い、すぐに購入しました!

ストーリーの構成に捻りがあったり、BLとしてのクセがわりと強めであったり、100点満点のハッピーエンドではないお話を読みたい人には超絶オススメしたいです。

絵は、かなり青年誌っぽい感じで、なんならストーリーも刑事事件を扱う青年漫画のような雰囲気……ただ、その中にしっっっかりBL=愛は存在していて……読んでよかったな、こういう作品を見逃さずにいられたことに感謝です。一度ではストーリーの結末や解釈を飲み込みきれないので、時間を空けてまた再読したいと思います!

0

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