【新死刑法】人が故意に人を死亡させたときは、如何なる理由があろうと死刑とする――。

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表題作僕が君を殺すまで (下)

水谷公平(渡瀬)
34歳,刑務官
織田薫
28歳,元刑事で死刑囚

その他の収録作品

  • 描き下ろし
  • カバー下・人物紹介

あらすじ

殺人犯を擬似的に作られた町の中に閉じ込め、死を迎えるまでを生中継し、エンターテイメントとして消費される世界。
そんな閉鎖空間の中に、あらたに送り込まれた死刑囚の織田 薫と執行官の水谷航平(渡瀬)は、殺すものと殺されるものとして共同生活を始めることに。
織田の犯行動機は男性の同僚との痴情のもつれとされており、同性愛に免疫のない水谷は動揺するのだが…。

作品情報

作品名
僕が君を殺すまで (下)
著者
柳沢ゆきお 
媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス 麗人セレクション
発売日
電子発売日
ISBN
9784801971196
4.4

(64)

(43)

萌々

(12)

(6)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
13
得点
282
評価数
64
平均
4.4 / 5
神率
67.2%

レビュー投稿数13

BLを読まない人にも読んでほしい作品

上巻を読み終えてから見る下巻の表紙は、苦しい展開を予想させて嫌な結末、悲しい結末を想像しながら読み始めました。
この時点で、上巻と下巻の表紙を見比べて、そのメッセージ性の強さに身震いしました。

死刑判決が下される理由となった2つの殺人のうちの1つが冤罪であったことに気がついた執行人の刑務官とその仲間たち。
仲間の1人の権力者の息子が動いたことにより、死刑制度に関する政治、権力の黒いあれこれが明るみになっていきます。
死刑囚が犯したとされる2つの殺人に対する疑問から、死刑制度自体にも疑問を抱く、執行人とその仲間たち。
それぞれの気持ち、正義、事情があって、それぞれの動きがあります。
これらの展開がすごく骨太かつ社会的、考えさせられることの多い作品でした。

ラストに関して、私はまだ消化しきれていません。
でも、これがこう、とはっきりさせて納得させなくていい、どれが現実でどれが夢なのか、希望なのか、わからなくてもいい、と思いました。

これはBLというジャンルに分けてしまうのはもったいない作品だと思いました。
現代社会の抱えるいろいろな問題、未来に起こるだろういろいろな問題、愛、人間関係、法律、正義、たくさんのことを考えさせられるすごいお話でした。
ジャンル分けとっぱらって、BLを読まない人にも、BLを苦手とする人にも読んでもらいたい作品でした。

0

最後まで気になる壮大な余韻の下巻!!

本当に、タヒ刑執行されるのか。

下巻では、織田は実は冤罪かもしれないなどの疑惑もあり、死刑執行を取りやめたほうがいいのでは、、、と世間が騒ぎ始めます。


とうとう数日後に決まってしまった、タヒ刑執行の日。


水谷は織田のことを好きだと自覚。

織田を連れて逃げ出そうとするが、粛々と自分へ課せられたものを受け入れ、むしろ水谷の手で殺めてもらうことを望みます。

わかってはいたけれど、いざそのときを迎えると、本当に読んでいて切なくなります。

苦しい。

でも、最期には中の人である水谷と織田とが話せて本当によかったなと。

そもそも難しい話題で、タヒ刑執行後の水谷を想うとどうにもこの結末でよかったのだとは100パー思えなかったりもする制度ではありましたが、でもまたあの終わりでしか織田の苦しみは終わらせることができなかったのかなとか、色々考えさせられてしまいました。


いや、BがLするだけでなく、色々なことへ思いを巡らせ考えることがこの作品の問いかけたかったことでもあるのかなあ、、、
などと、勝手に妄想していました。

なんとも言葉にできない下巻でした。

1

ラスト3回声が出た

織田の表情が柔らかく笑顔が見られるようになり。殺害容器の真相がわかり、ふむふむやはりそうかと。
しばらくして水谷がセリフではなく素で話していて。
気づいたらBLということを忘れて、この先どうなるの〜と夢中で読んでいました。

ラストの場面で思わず、え〜?!と声が出て
……てことにしたんよな、と思いながら読んだのですが。

その後の美羽の衝撃の事実にまた、えーっ?!と声が出てしまいました。

ラスト、水谷が織田の首を絞めないだろう…と思って飲み込まずにいたので、何度か読み返しました。
その前の2人のセリフがあたかも殺人の再現のようでよく出来ているなと感心。
水谷の言葉と号泣していることからやはり執行したのだろうなと解釈せざるを得ない…なと。
その瞬間、及川が上に詰め寄るも
「わかるよ わかっているんだよ」「及川くん 我々は 無力だ」のセリフが効いているし。
モニターを見る同僚たちの声と表情、船越が必死に言葉を打つさまが緊迫感を増すのが上手いっと感じました。
その後の3ページもめちゃくちゃいい。
このラスト10ページほどが本当にすばらしい。
ここへくるまでのここまで、その後もいいです。

政治、法律、死刑制度、エンタメ消費、脚本家、執行人、愛する人の罪…いろんな立場、視点から描かれているすごい作品でした。

個人的には及川の「上へ行く」「ぶっ潰してやる」がめちゃくちゃかっこよかった。及川の顔も好き。
及川が日本を変える物語を見てみたくなりました。

0

役を演じている二人は。。

上巻で、嫌が応にも期待が高まった下巻ですが、実はよくわからなかった。。

一緒に暮らすうちに、相手の本当の姿が見えてくる。脚本家がいて、指定された台詞を言っているだけなのに、けがをすると本当に心配してかわいいバンドエードを貼ってくれたりと、何気ないことから次第に役ではなく本当に心の交流が生まれてくる。
いっしょに過ごす時間がながいほど、当然といえば当然かもしれません。
よく人質が犯人に同調してしまうといいますが、人間同士なので、完全に悪、善と切り分けられないこともあるかもしれません。

警察関係者のサポートもあり、動機の部分が解明されていくところは読み応えがありました。
ただ、最終的にどうなったのか、やはり法律通りに殺されてしまうのか。。
というあたりがちゃんと理解できず。。ちょっと難しかった。
でも暖かい交流が生まれたのはよかったです。

0

正解のない問題

雑誌で飛び飛びで読んでいたので余計に読むのを避けていた本をふと今なら読めると思って読みました
内臓が圧迫される様な気がしましたが最後まで読めてよかったと思います

愛は一瞬で細胞から人を変えることがあると思います
だからこそ刹那で永遠なのだと思わずにはいられない

昨今のリアリティショーは興味ないので見ていないのですがジムキャリーの映画トゥルーマンショーを思い出しました
世界観はあれに近いかなと思います(扱うものが違いすぎますが)

衆目に晒されるとどんな名目があってもショーになってしまう大衆の愚かさと賢さが入り混じる社会の中
でも舞台に立つ人間は台本があろうと本物という混沌さがなんとも言えず
現実ではないのにその部分が現実を感じさせられ
ただのフィクションに思えなかった気がします

愛を貫くには難しかった悲しく美しい男達のお話だと思います
愛ってなんなんだと三者の選んだ方法を見ると何一つ正解じゃないと思うのにこれしかなかったと思います
3人の心の動きがとても切なく
どうしようもない閉塞感にただただ立ちすくんでしまう様な読後感でした

読んで幸せになるわけではないと思いますがBLの奥深さを経験するにはすごくいいと思います
読めてよかったです

0

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