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表題作あなたは三つ数えたら恋に落ちます

雉真玄哉,35歳,消費者金融代表取締役
雲母琉星,500万の借金を肩代わりすることになった売れないホスト

その他の収録作品

  • 記憶の中のメロディー
  • あとがき

あらすじ

500万円の借金と引き換えに出された条件は
「俺を惚れさせろ」!?
コワモテ借金取り×売れないホストの
催眠術からはじまる恋v

夜道でサラ金に囲まれ、五百万の返済を
迫られてしまった――!? 身に覚えのない借金に
青ざめる、臨床心理士志望の琉星。そこに待ったを
かけたのは、眼光鋭く威圧的な空気を纏う男。
助け舟かと思いきや、雉真と名乗る新たな
借金取りだった!! 琉星の経歴を面白がった雉真は、
「催眠術で俺を惚れさせてみろ」と挑発。
渋々暗示をかけると、鬼の形相から一変、
蕩けるような笑顔で愛を囁いて!?

作品情報

作品名
あなたは三つ数えたら恋に落ちます
著者
海野幸 
イラスト
湖水きよ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199010194
3.9

(63)

(19)

萌々

(31)

(8)

中立

(1)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
11
得点
244
評価数
63
平均
3.9 / 5
神率
30.2%

レビュー投稿数11

攻め、強制的に恋に落ちます

との事で、めちゃくちゃ楽しみにしてました。

知らない間に連帯保証人にされ、500万もの借金を負わされてしまった主人公。
回収に来た借金取りに余興とばかりに脅されて、催眠術をかけるんですね。
すると、借金取りは態度を一変。
「惚れた」と、甘く優しく口説いて来てー・・・と言う、笑いあり、ホロリあり、激甘ありのラブコメになります。

こちらですね、表題作がとにかく可愛いし甘いしで、王道の萌えを堪能出来るあたたかいお話なんですよ。
なんてったって、攻めの激変ぶりが見ものだし。
や、作者さんもおっしゃられてますが、塩対応の攻めが受けにメロメロに豹変する、その破壊力たるや!
普通はこうなるまでだいぶ時間がかかるのに、ヤツは催眠術で強制的で変化ですよ。
なので、序盤から激甘ですよ!

まぁそんな感じでオチまで最高だったのですが、なんと言ってもグッと来たのが書き下ろしの続編。
攻めの過去に焦点が当てられた、すごく深みのある優しいお話なんですよね。
少し切なくもあるけど。
彼の中の小さな子どもは、やっと泣き止めたのかなぁと。

こう、受けがわりと危なっかしい部分があるので、攻めに出会えて良かったねぇ的に思ってたのです。
でも、逆だったかと。
受け、めちゃくちゃ男前じゃないのよ!と。
個人的にこういうお話に弱いので、なんだかホロリと来ちゃって。
すごく素敵だと思います。

で、内容としては、借金取り×売れないホストによる催眠術から始まる恋って感じのお話でしょうか。
友人から連帯保証人にされてしまった底辺ホストの琉星。
回収に来た強面借金取り・雉真ですが、琉星が心理学を専攻していたと知ると、面白がって自分に催眠術をかけるように脅すんですね。
そこで、渋々「あなたは僕の事が好きになります」と暗示をかける琉星。
すると、雉真はこれまでの恐ろしい態度を一変。
琉星に「惚れた」とメロメロになってー・・・と言うものです。

で、繰り返しになりますが、この琉星にメロメロになった雉真と言うのがとにかく楽しいのです。
そもそも雉真と言う男ですが、剣呑な表情に「内臓を売るぞ」って感じで、最初は借金取りそうろうなんですよ。
それがそれが、催眠術にかかったとたん激甘に変身。
「惚れた」「頼む、囲わせてくれ」と、もう情熱的な口説き文句のオンパレード。
や、他の借金取りにも狙われている琉星は、彼と同居する事になるんですよね。
すると、朝からココアを持って起こしに現れてな具合で、これでもかと琉星を甘やかしまくる。
くっ、ちょい悪い感じの男前な攻めが、ひたすら受けにメロメロで甘やかしまくり。
まだ開始20ページ程度なのに、なんて、なんて、甘い・・・!と。
これ、別のレビューでも書きましたが、海野先生天才じゃないの!と。

と、最初こそ雉真との生活に戸惑いしかなかった琉星。
しかし、共に暮らして雉真の仕事ぶりを見るうちに、その威圧的な態度の裏に隠れた不器用な優しさや思いやりなんかを知ってゆくんですよね。
そして、いつしか彼に惹かれてゆく。
しかし、雉真が自分に対してこれほど優しいのは、催眠術にかかってるからでしかなくて・・・と、思い悩むようになる。
そんな中、雉真が隠していた驚きの事実を知ってしまい・・・と続きます。

これね、表題作ですが、とても可愛いし甘いのです。
ちょっぴり切ない部分もあるんですけど、基本的にはひたすらハッピーモード。
なんと言ってもオチが最高なんですよね!

いや、これな、鋭い姐さんはアッサリ見抜きそうな気もしますが、私は完全に騙されたんですよ。
なんなら、いいように踊らされたんですよ。
でもその分、この結末に嬉しくて嬉しくて。
もうね、特に事実が判明してからの雉真の一言に、ゴロゴロと萌え転がっちゃって。
ああああ、雉真、格好よすぎ!
このセリフを海野先生ファンのみんなと分かち合いたいのに、完全にネタバレだから言えない・・・!
でも、とにかく格好よすぎーーーー!と。

他、二人の心が通じて結ばれるこの表題作を経て、ここから書き下ろしの続編になります。

本格的に臨床心理士を目指すべく、雉真と同居しながら勉強に勤しむ琉星。
そんな中、同じく大手の消費者金融を営む雉真の父親が現れてー・・・って所でしょうか。

これね、琉星を庇った事で雉真が怪我を負い、その為ラブラブ介護生活と、これまた基本的に甘々展開だったりします。
だったりするんですが、実は雉真の父親との関係に絡めて、彼の過去が語られるんですよね。
これがちょい切ないと言うか痛々しいと言うか。
家族だからこそ、ややこしい部分ってあると思うんですよね。
特に、雉真の中には傷ついてる、まだ幼い子供が居たんだなぁと。

で、私が一番素敵だなぁと思ったのが、ここでの琉星の行動やセリフなんですよね。

えーと、この琉星ですが、ちょい危なかっしいと言うか、若干頼りないと言うか。
どちらかと言うと、雉真が保護者みたいな印象だったんですよ。
私の中では。
彼が居なければ、もう身ぐるみはがされちゃってたんじゃないの?的に。
こう、支えられてる存在であって、あまり支えにはなれてないみたいな。

が、ここで琉星に対する印象がガラッと変わりました。
こいつ、強い!
めちゃくちゃ精神的に逞しい・・・!みたいな。
ああ、この二人の関係、私が思ってたのと真逆だったんだなぁと。
真逆と言うか、決して琉星は支えられてるばかりの存在では無かったんだなぁと。
これは雉真も惚れて当然だわと。
いやね、あまりに琉星が男前すぎて、もう雉真が抱いて貰えよ!と。
尻で抱くんでもいいけど。

ちなみに、こちらのオチも最高でした。
ああー、また完全に踊らされた!と、連続なので悔しかったですよ。
気持ちいいけど。

最後になっちゃいましたが、催眠術を応用(?)したエロも最高でした。
琉星、私もチョロすぎて心配だよ。

9

愛の催眠術士w

強面な街金×カウンセラーを目指す売れないホスト。
強さも弱さも両方もっているキャラが魅力的で、可愛くて優しいお話です。
受けの前でだけデロデロな攻め、大好き♡
ここに最大級の萌えを感じました‼︎

見に覚えのない借金を背負わされた流星は、借金取りに拉致されそうに。そこに現れた雉真に助けられたかと思いきや、雉真自身も借金取りで……と、いう始まり。

心理学を専攻していた流星のキャッチコピーを面白がる雉真に「惚れさせてみろ」と脅され、催眠術をかけることになった流星。
初心者の催眠術なんて効くはずがないと思っていたら、あら不思議(笑)
「頼む、囲わせてくれ」……って、どんな告白よw

そこから、雉真が流星を甘やかす甘やかす。
債務者には恫喝も辞さない屈強な雉真が、流星相手にメロメロになっているギャップが最高!
態度が違い過ぎて笑っちゃいます。
そんな雉真が魅力的で、さり気ない優しさにキュンキュンしちゃいました。

流星は、ホストとは思えないほど純情で汚れてない。
弱々かと思えば、一本筋が通った心の強い子です。
雉真との過去エピソードを通して子どもの頃から変わらぬ強さを感じるのですが、そこが何より凄いと思いました。

催眠術はもちろん……というオチで、これは想像通り。
その後もたびたび催眠術が登場し、これが2人のコミュニケーションみたいになっていて可愛かったです。

実は雉真は父親との柵があり、心にわだかまりを抱えています。
だけど、そんな事を感じさせないくらいしっかり自分の足で立っていて、仕事に対して強い信念を持っているところも素敵でした。 
今の雉真に、過去の流星が大きな影響を及ぼしているところも熱いんですよね。
そして、父親との間をナチュラルに取り持つ流星がナイスで、これからもいい緩衝材になってくれそうな予感です。

流星が恋に落ちるのも納得の雉真のギャップ、溺愛ぶりにニヤニヤが止まらなかったです。
大きな出来事は起きませんが、スイートでライトな仕上がりになので最後まで楽しく読めました。

エロ描写も丁寧にしっかりあります。
キスの雨を降らせる雉真に、これまたキュンでした♡

7

ええ話やなあ

先生買い。今回も先生らしい笑いあり、ホロリありなお話でした。めっちゃ印象に残る何かがあった訳ではなかったので萌2にしました。雑誌掲載された本編140Pほど+その続き140P超+あとがき。

深夜の公園のベンチで強面の方二人に挟まれ、あれこれ聞かれている琉星(りゅうせい)。どうやら高校時代の同級生の連帯保証人になっていたらしい&その肝心の債務者がとんずらしたらしいということで、取り立て屋がやってきたようで・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
尾白(とんずらした奴)、加賀地(攻めのライバル消費者金融)、攻め父(消費者金融経営、後半登場、し・ぶ・い!&こ・わ・い!!)

++攻め受けについて

受けは超×100のお人よし。色々真摯に考えるし物事を真正面から受け止めようとするし、でも天然成分が入っているのかな?あんまりコチコチの頭でっかちくそ真面目という印象は無くて、読んでいて気分が楽です。

攻めは受けを猛烈に好きで、多分絶対離れないと思っているはずの強面言いたい放題がなりたてる百戦錬磨35歳!これぐらいの年齢がやっぱ好きだなあ。いいように受けを転がして、でも受けのお人よしなところに救われるところもあって、この二人の関係性はめっちゃホンワカできる大好きなものでした。

サブキャラの攻め父の渋さ(主に挿絵ビジュアル)に腰が砕け、攻め受けともキャラもまあまあ好きな方で、お話も良き!と思ったので、総合的に萌2にしました!海野先生お好きな方でしたら安心してどうぞ!

7

借金もの?いえいえそれだけではありません。

琉星のお人好しで思慮深くて素直で都合の悪いことや怖い危ないことから逃げないところがとっても良かったです。

たくさんの線がのびて、線をたどったり絡まったり。見事な回収でした。

そして借金や消費者金融について、心理学についても考えさせられました。

雉真も高校時代にすさんだところから目を覚まし、自分なりの消費者金融業をまっとうするのもすごいですね。

しつこいですが、あらゆる線がのびてますので読んでる時はちょっとしんどいです。特に借金ものは苦手でしたので、追い詰められる琉星が気の毒で。
一度は逃げずに借金を返すのですが、窮地に立つと判断力が働かないのでしょうか。違法に連帯保証人にされたのに、息をつく暇もなく返済を迫られ。

催眠術や暗示が鍵になるのですが、ヤラレタ!またも海野さんにすっかり。いや、ちょっとはそうかもな?と思ってはいたのですが。
でも線の先を知ったときは感激しました。

二人が一生かかって消費者金融業と心理カウンセラーとして仕事でも繋がって仲良く良心的な商売をして、なおかつラブラブでいられるといいですね。

あと、琉星の琉の字が表紙と帯では流になっててどっちが本当?と迷いました。

琉星視点なので雉真の描写は多いのですが琉星はどんな人だったのかな?と気になりました。
すっかり雉真に捕まっちゃって。極限状態でこんなに愛しくされたら…と心配ですが、ちゃんと琉星も雉真と別れる気はないみたいですね。
意外とたくましい琉星です。借金の時もそうでしたが男前ですね。
雉真も懐が深くて琉星にだけはメロメロで。

今回はなぜか雉真と琉星のキャラというか人となりが掴みにくい感じがしました。そのまま終わってしまって。

琉星の子供の時から変わってないのがすごいですね。

4

設定の生かし方が見事

念のためネタバレありに設定していますが、内容をぼかしたレビューです。


「頼む、囲わせてくれ」

なんて、斬新な愛の言葉から始まるお話。
こちらの作品、またしても海野先生にやられたなと。
これだから先生の作品を読むのがやめらないんだなと改めて思った次第です。クセになりますよ。
いやもう、どうやったらこんなお話が思いつくのでしょう。
先がなかなか読めない展開ですごく面白かったですし、なによりもメイン2人が甘くて頭を抱えて萌えた。
現代もののBL作をお求めの方や、なおかつちょっと変わった職業に就いている人のお話が読みたい方、甘みあり、人情味ありなお話が読みたい方はぜひ。

消費者金融会社の社長…いわゆる借金取り×知人の連帯保証人にうっかりされてしまっていた500万円の借金を背負うことになった売れないホストと、一風変わった設定の2人。
主人公である琉星が心理学をかじっていることもあり、なりゆきで"琉星のことが好きになる"催眠術を雉真にかけることになるわけで。
どういうこと?って思いますよね。私も思いました。
正直言って、あらすじを読んでもなんのこっちゃという感じだったんですよ。
でも、ものすごく気になりませんか?

ここからが海野先生のすごいところ。
この突拍子もない設定と導入から、こんなに萌えてしまうお話になるとは思わなかった。催眠術の生かし方が上手いんですよ。
序盤からずっと、攻めの雉真の二面性に萌えて萌えて仕方がなかったわけなのですが、受けの琉星もただのお人好しな流され受けにならないところもすごく良かったんです。
受けも攻めも好みでしたし、2人の関係性もなんだかとっても良い。しかも溺愛で糖度が高い。
はー、これは萌えてしまったなあ…

前半では展開の面白さと甘みと萌えがじわじわと沁み渡り、後半では胸がじんわりとするような感覚というのかな。
1冊でテイストが違う2つのお話が読めるのです。
読みやすい文章とたっぷりの甘さはそのままに、後半で魅力的なキャラクターをさらに掘り下げていく。
掘り下げの部分がまた非常に救いのある良いアプローチでした。
すっかり私も「この本に夢中になる」催眠術にかかってしまっていたようです。

3

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