単行本版
この“逃避行”が終わるまでは 好きでいさせて。
作者買いしました。
大企業の息子で世間知らずっぽいはじめが、猫捜索の際に出会った怪しい男ヒロセと交流して、少しずつ惹かれていく話でした。
上下巻なので読み応えがあり、描写が丁寧で話に引き込まれました。そこそこ分厚い2冊ですが、あっという間に読み終わってしまいました。
上巻だけ買うと気になる所で終わってしまうので、上下巻セットで購入をお薦めします。
上巻ははじめの話が中心でした。高校生活では周りの人達と上手く馴染めない。家庭では家族とすれ違い、毎日淡々と同じように過ごしているはじめが、猫捜索の際に出会ったヒロセと出会って仲良くなります。
世間知らず故か知らない怪しい大人にも無警戒で、だんだん好きになっていく描写も、普段孤独だから仲良くできた人に安易に惹かれているのではと、邪推してしまいました。
でも純粋で真っ直ぐな愛情をヒロセにぶつけ、行動するようになったはじめは、キラキラしていてとっても綺麗でした。
はじめが言い出した逃避行も、普通に考えたら大変な事になる未来が見えるのに、よくヒロセは付き合うなあと思っていましたが、はじめにぐらついているヒロセを見て、惹かれているならその道もありだと思いました。
逃避行の途中で上巻終わりなので、続きは下巻で!
好きな作家さんの2年ぶりの新刊とのことでとても楽しみにしていました。とても綺麗な表紙でずっと眺めていられます。
作家さんのインタビューで「不穏そうなタイトルだけどハッピーエンド」とおっしゃっていたので、安心して読み始めました。また単話配信の様子を見た感じではエロが少なそうなイメージでしたが、少ない中でもニッチでフェティッシュな要素のあるエロでとてもよかったです。
上巻は既にあらすじを書いていらっしゃる方もいるので割愛します。
恋なんてしたことないような優等生が怪しい男に惹かれてしまう…という何とも気になる出だしから始まるお話ですが、導入から逃避行までのわくわく感がすごい…。ページを捲る手が止まりませんでした。
3話の遊園地のくだりでは初めてのヒロセ視点。彼の過去やこれまでの言動が少しだけ垣間見える。そしていつの間にかヒロセがはじめを目で追いかけているところに萌え…。
逃避行中にふたりの距離がどんどん近づいていく過程にとてもドキドキしました。あっという間に巻末まできてしまい、非常に気になるところで下巻へ…。これ単話で追ってた方はもどかしかったんじゃないかなと思います…。
神です。
息が詰まる日常に辟易していたはじめくんは、偶然知り合った大人のヒロセとの非日常的な時間が大切になり、そしてヒロセへの恋心を自覚します。しかし大人のヒロセははじめくんの気持ちを聞いてもなお廃アパートにとどまる訳にもいかず、場所を移ろうとしたところ、はじめくんが家出して逃避行についていくことに…というあらすじです。
素晴らしい点はたくさんありますが、まずは主人公がいいです。
優秀で模範的な美少年のはじめくんですが、一見大人びている彼はヒロセと一緒にいることで子供っぽさが際立ちます。年相応に無邪気にはしゃいだり、悪いものは悪いと言い切ったり、ヒロセを困らせるようなわがままを言ってみたり。まだ世の中を知らないからこその真っ直ぐさは見ててすっきりしますし、その心を開いた人には懐っこい性格にヒロセも救われます。
はじめくんとは対照的に、ヒロセは世渡り上手な大人という印象を最初に読者に与えます(作者様はずるい大人と表現されています)。ちゃんと線引きをしてはじめくんと接しようとしたところとか、お金ははじめくんに払わせないところとか、大人としての良識がちゃんとしている人なので安心して読み進められました。はじめくんも可愛くてすごく好きですが、このヒロセはまたギャップがいい。序盤は大人としてはじめくんの質問を巧みにかわしたり大人らしい振る舞いをするんですが、その大人っぽさとは裏腹に、彼の隠れている理由には子供っぽさを捨てきれなかった故の葛藤があります。また、序盤はじめくんの気持ちを良識ゆえにかわしていた分、終盤でのスパダリっぷりがとてもよいです。自分は髭があるような年上キャラには興味なかったのですが、ヒロセは魅力がかなり掘り下げられていて受け入れられました。というか髭剃りますしね笑
キャラが魅力的なのはもちろん、冬の日の逃避行も切なく、儚く描写されています。ロマンチックというほどリアルじゃないわけではないけれど、現実感があるかというと一瞬で時間が過ぎてしまうような、そんな逃避行です。背景含め丁寧かつ繊細な描かれ方をしていました。自分が一番好きなシーンははじめくんがヒロセに名付けてもらったところでした。ヒロセといるときだけ「斑鳩の息子」ではないことを象徴しているシーンで、とても綺麗でした。
最後のシーンも感動しました。ただこちらはネタバレになってしまいますので、ぜひご自分で読んでみてください。
なお、エロは一応番外編も含め何回かありますが、ストーリーの切なさを引き立てるスパイス的な感じで、メインではないと思います。もともとエロさを前面に出すタイプの作品ではないので、ちょうどいい感じかと。はじめくんの幼くて綺麗な顔がぐちゃぐちゃ必死になるところや普段余裕げなヒロセが余裕をなくすところはぐっと来ました。
あえて物足りなかった点とすれば、ヒロセがはじめくんに落ちた理由にもっとページ数割いて説明してほしかったです。おそらく悪いことを指摘するのは当たり前と言ったシーンや、無邪気に懐いてくるところが可愛かったのだと思いますが、もっと明確に示してくれれば説得力が増したんじゃないかなと思います。
まとめると、儚く綺麗な逃避行の中でキャラの掘り下げがきちんとなされた作品でした。2冊分の描けるところを描き、描けないところを余計に入れないしっかりとした仕上がりです。作者様は後書きで連載中にスランプがあり、また、背景が大変だったとおっしゃっていますが、素晴らしい作品を描いて頂いて本当に感謝しています。
またこのような「二人の世界」を丁寧に描き上げた、切ない境遇を乗り越えるような純愛モノに出会えるように祈ります。
これは新味のない物語だが、あがた愛先生はそれを新しい模様に書いた。一人の学生、一人の逃亡者、二人で逃亡の旅に出た。とても刺激的に聞こえます。私は斑鳩の勇気に感心しました。彼は今年私が見た最もかわいい役の一つで、勇敢ですが、無鉄砲ではありません。自分が何がほしいか知っています。広世と斑鳩はとても特別な人で、孤独のため、いくつかのつり橋の効果が惜しんでいます。とても感動的です。しかし、愛の深さの責任の切さは、私はこの物語の結末があまり満足していないことを提出しなければなりません。彼らの再会のシーンに止まったほうがいいと思います。要するにとても、とても優秀な物語で、私は心からすべての人にお勧めします。(英語から翻訳)
何故でしょうか?
確かに大人の攻めはずっとパソコンいじって仕事してる風だけど、相手の受けが学生なので、仕事の話は出てこない。身分を隠してるのだから尚更だ。
下巻の後半回答部分で初めて攻めの仕事や抱えている事情が明らかになるのですが、それもそれ程多くのお仕事事情が出てくるわけでもなく。
けれども、大好きなリーマンお仕事ものと同じ読後満足感でした。相手は学生ですけどリーマン物好きにも是非見逃すことなく読んで欲しい作品です。
最後に、攻めの紳士っぷりが本当に魅力的だって事、そして彼を今回の行動に突き動かした行方不明の友人と連絡が取れた真のハッピーエンドに拍手。