単行本版(特典付き)
もう隠せない。 この子が、愛おしい…。
ヒロセが何者なのか、何に悩みながら何から逃げているのか判明する巻です。上巻から読むことをおすすめします。
一般的には許されない、社会人と未成年の恋愛。けれど、この作品からはそれぞれがお互いを想うに足る十分な動機と理由があって成り立っているのが伝わってきます。
「さよなら共犯者」の一番のテーマとも言える【正義とは何か?】にも通ずるものがあるな、と思いました。
自分にとって、正しいと思った事を行うことで起きる弊害。普通の人間ならば、自分一人が正しいと貫く事で周りから浮いてしまったり叩かれたりを想像して結果周りに合わせてしまう事が大半でしょう。ヒロセもそんな自分に悩みながらも、まっすぐ「ダメな事はダメ」と言えるはじめが眩しく、自分のしようとしてる事が間違いでは無いと勇気づける存在になったのだと思います。
また、はじめにとってもヒロセの存在は、今まで自分と他者をどこか違うものとして捉えがちだった自分を変えるきっかけになったのだと思います。ヒロセとの出会いが、父親やクラスメイトとの関わり方を変えていった事は間違いありません。
たとえ一般的には許されない関係だったとしても、二人の間には年齢を超えた互いを想う純愛が感じられ、お互いの存在が相互救済になっている二人で読んでいて胸を打たれました。
再会のシーン、本当の名前を呼び合うところは上巻を読んでいる方ならグッとくる事間違いなしです。お話作りが丁寧で全部が繋がっていて無駄がないところ、本当に上手だと思いました。
罪を犯した共犯者としての二人が、恋人同士になって新しい関係へと変わっていく。英語の【Escape from the every day】というタイトルにもエモさを感じます。
表紙も上巻→下巻と、二人の関係の変化が感じられ素敵でした。
「さよなら」は共犯者である廣世に対しての言葉なのか、共犯者という存在の自分に向けたものなのか?分からないまま下巻を読み始めました。
上巻と同じように落ち着いた雰囲気を壊すこと無くゆっくりとした流れの中、少しずつお互いのことを知り気持ちが近づいていくのが逃避行中のタイムリミットと重なりなんだか切ないです。
決して自分から手を出してこようとしない廣世と、恥じらいながらも欲望をぶつけてくるはじめの素直さにドキドキしました。
はじめが未成年、高校生なので購入するのを少しためらいましたが全くの杞憂でした。
純愛。純粋で真面目な2人の優しい恋のお話で胸が温かくなりました。
正直言って、じゃあ淫行はいいんかい!って疑問が生じるわけです。教師の誤字なんかより余程問題だろう。この逃避行中にはじめが事故に遭うとか、万一何かあったとすれば弁解の余地なし!はじめは子どもなので自分の見える範囲の正義しか見えておらず、ヒロセは大人だから自分に言い訳をし…と、この作品の根の部分に関わるモヤモヤがあるものの、BL作品としてみれば萌えられるのでまぁいいかという。自分も二重規範の共犯者。
可愛い高校生とその可愛さに悩まされる大人の関係性、そこに加わる性的要素…うん、BL的萌えはもりもり。はじめがよくいる真面目ちゃん受けで終わらず、あがた愛先生の作り込みがしっかりしていて個性があるのが大変可愛い。
逃避行系の物語ですが、まとめ買いしたので夢中になって読み切ってしまいました。
表紙とか暗めで(すいません)、タイトルも物騒なので避けたくなるのですがこれは読んでよかったと思える作品でした。
訳ありのサラリーマンと、大企業の息子の逃避行。受け様がついていっちゃうのですが、もうホントにこの受け様が可愛くて可愛くて!健気さとエロさにキュンキュンです。
未成年だし、巻き込んじゃいけないと壁を作り続ける攻め様もあまりの健気さに絆され、愛しちゃうんです。
理性の壁をぶち壊す受け様、最高でした。え、思い返してもこれ名作でしょう!
二人の恋は燃え上がりまくり愛し合って、でもきちんと終わりもきて。
未成年者略取誘拐罪になると思いきや、なんとかセーフになり!←ここはまじで安心しました。。
逃避行ではなく、きちんとした形で2人繋がることができて本当に良かったです。
その後の話でも未成年とはセックスしないと攻め様頑張るのですが、やはり受け様の可愛さ+健気+エロに負け理性ぶっ飛ばしてくれました。もうこの人間くささ、攻め様良きすぎます。がっつくよね、ありゃ。
わざとらしいあざとさじゃなく、優等生なのに清潔感のある小悪魔的魅力をガンガンだす受け様に、メロメロに溺れていく攻め様、最高の構図でした!
これはオススメしたい!
うーん、私自身は恋をするのに年齢差は関係ないという考えなはずなのですが、なぜかこの作品の2人にはその障壁が大きいように感じてしまって、あまり萌えられませんでした。何が引っかかるのか自分でもはっきりと分からないのだけど。はじめが恋するのはまだ理解の余地があるのですが、それに引きずられてヒロセもすんなり、という所が違和感あるのかな。
なんというか、精神的な繋がりを強く感じている関係性だと思うので、体の関係にまで発展しない方がもっと自然に読めた気がします。最終的にそこに行き着くとしても、それはもっと先で良かったかも。親友且つ同僚の存在を背負いながら、大企業からの圧力を感じながら、落ち着かない生活をしながら、ずっと年下の同性に恋をしてその身体に欲情できるほどの心の余地や変遷があるとは思えないというか。父親に話をつけにいく覚悟や行動力はすごいと思いましたが、そこで許す父親もなんだかリアルじゃないなぁと。共犯者という関係は魅力的でしたが、個人的にすんなり飲み込めない点のある作品でした。