単行本版
この“逃避行”が終わるまでは 好きでいさせて。
年齢も仕事も、本当の名前すら知らない大人の男への恋…。
決まりきったルーティンの中に突如として現れたイレギュラーな存在。自分の事を何も知らない相手との居心地のよい会話。
高校生のはじめにとって、大人のヒロセのちょっとミステリアスで、だけど言葉の端々から伝わる悪い人じゃない優しさが魅力的に映っています。この年代の子特有の大人への憧れ、まして友達同士の関わりがほとんどなくて自己的過保護になって冒険した事がないはじめには余計自分とは対極の存在で珍しく映ったんだろうと思います。
危ない事をしているのを自分でもわかっているのに興味の方が勝って覗いてしまう穴のような、そんなドキドキさが前半から伝わってきました。
ヒロセに大人の男、恋心を自覚してからは優秀な優等生とは思えないほど大胆な行動をしていて、とても可愛いです♡♡
途中登場する猫のエピソードが「そうくるか…!」と唸りました。はじめだけでなく、ヒロセサイドの感情が見え隠れしていて、はじめと一緒に居てはいけないと過去の自分を思い出しながら、はじめとの律している大人な部分が伝わります。
手を出してしまったら終わりって頭では理解してるはずだし、ギリギリのところで理性を保っていたと思いますが…はじめのあんな可愛い姿をすぐ隣で聞いていたら( ◜ᴗ◝)
抑えられるはずがないんだよなぁ!(いいぞ)
紙 白塗り
上巻ははじめの抜きだけで、Hはありません。
精液の飛ぶ描写が少し大袈裟に感じますが、ストーリーが綿密に練られていて2巻どうなるのか、と先が気になる展開です。
普段読まない分野、30代×高校生にチャレンジしてみて良かった!人物以外の絵の描き込み量がすごく多くて驚きました。
ヒロセと最初に出会うシーンはお互いの良さを絵でしっかり表現してくださっているので、ただ会話をしているだけなのに読んでいてBLセンサーが振れ始めドキドキします。
丁寧に展開していくストーリーが、全く違う環境、年代の2人が惹かれ合うスピードにピッタリで嫌悪感なく読めました。
電気もきてない取り壊し予定のアパートで黒髪同士が会うので絵面が黒っぽいのですが、その暗さがそれぞれが抱えている「生きづらさ、悩み」とリンクし、インモラルな雰囲気にプラスに働きゾクゾクします。
上下巻読んだ後にレビューを書いてます。振り返れば内容の割にやや長かったなとも思うのですが、しっかり楽しめました。長い分はじめ(ユキ)の可愛さに説得力が生まれますしね。ヒロセも愛着が湧いちゃうよな〜という説得力。お金持ちのお坊ちゃんが〜とか、追われてる叔父さんとの逃避行みたいな設定と展開に目新しさはないものの、面白いから何度も焼き直されるともいえる。あがた愛先生の絵が可愛くて安定しているので、だからこそ読める。
家は裕福だけど孤独な高校生が、廃アパートに居座る何かに追われているという男に懐く。導入は斬新で面白いですね。ヒロセが一体何に追われているのか、いつも持っているPCで何を書いているのか、上巻ではまったく分からないので気になります。
一方、そんなヒロセに気を許し、恋にまで発展してしまうはじめは、告白した時ヒロセに言われたように、初めて本音や弱みを晒したことでヒロセを特別に、唯一の理解者に感じている部分がまだ大きいんじゃないかなと。相手のすべてを知らなければ好きになってはいけないのか、というはじめの反論も理解できるし、難しいですね。個人的には現段階で萌えはあまり感じません。下巻でどう展開していくのか楽しみです。
※こちらは上巻の内容のみの感想となります。
大手メーカー斑鳩自動車の社長を父に持つ、成績優秀品行方正だが日々の暮らしに鬱屈した孤独な思いを抱えている学生、斑鳩はじめ(ユキ・受け)と、「悪の組織」から逃げるために解体予定のアパートの一室に潜んでいた謎の背広の男、関谷廣世(ヒロセ・攻め)の、現段階ではあらゆる方面で予想のつかないミステリアスストーリーです。
とりあえず、徹底的にネタバレを避けて読んでいるのですが、結論から言ってまだまだ五里霧中ですね。若干、まだ材料が全部出揃ってはいないんじゃないか感はありますが、今ある情報だけでも色んな展開の予想ができるし、考察がはかどります。
仲のいい友達もいない、家族は忙しい父とハウスキーパーの加藤さんと猫のむくむく。何が楽しいかもわからなくなるようなルーティンの毎日。そこに突然現れた謎の大人の男・ヒロセ。彼と過ごすうちに、はじめは「楽しい」と思えるようになったり、ヒロセのことをもっと知りたいと興味を持ったりしていく。そして、ふとした瞬間にヒロセの指がはじめの唇をかすり、はじめの中で新たな想いが芽生えるわけで…。はじめが意外と思い立ったら即行動で、どんどんヒロセに夢中になる様子に危うい感があったりします。
「嫌な先生の授業の間違いを指摘したら内申点は下がるけれど、人気者になれる。どうする?」というヒロセの言葉に対するはじめの「人気者になりたいわけじゃないけど指摘する。間違ってるから」という答えに、強さと真っ直ぐさ、同時に危うさも感じましたね。
ヒロセは、謎な部分が多いので中々掴みにくい感はありましたが、アパートに潜んでいた不審者の割には正論や良識的な部分がある感じで、はじめの真っ直ぐだけど衝動的な告白を理屈でがっつりねじ伏せてしまいます。でも二人で旅をはじめるうち、はじめの年相応の表情をもっとみたいと思うくらいには情がわいてるみたいだし、自分が隣で寝たことでムラムラしてしまって一人で処理中のはじめに文字通り手を貸したり潤んだ顔に思わずキスしてしまうくらいにはほだされ流されしているようですが、本心はまだ見えないですね。
ヒロセにはかつて、飼いたくて名前をつけたのに飼えなかった「ユキ」という猫がいました。そして、また、名前の知らない「坊ちゃん(はじめ)」に自分のことは好きなように呼んでといわれ「ユキ」と名付けたわけです、が。
はじめの気持ちは依存なのか、恋慕なのか。ヒロセははじめの気持ちをどうするのか、彼の目的は達成させられるのか。
そして、二人の旅の先には何が待っているのか。
色々と考えながら下巻を読みに行こうと思います。